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「定額給付金」の是非がお茶の間でも話題になっているようである。
2兆円といえば途方もなくでかい金額だ。これをいわゆる「ヘリコプターマネー」のように全国民にばらまけば、一人につき1万5000円を受け取れるという。
ところがこのカネ、よく考えてみれば自分たちが払う税金なのだ。特別会計から国債の返済にあてる「埋蔵金」を切り崩して財源にするわけだから、その分いつかは増税で搾り取られる。
この配分をめぐって、麻生政権の閣内が揺れている。所得制限を設けるかどうかをめぐってである。
麻生首相は先月30日の緊急経済対策会見で、「全世帯給付」を明言。中川財務相も「迅速にやるためには一律にせざるをえない」という姿勢を示した。事務が煩雑になるというのだ。
ところが与謝野経済財政相が「高年収の人に生活支援はおかしい」と言い出したことから、空気が怪しくなった。
麻生首相は「常識的に、高い給料もらっている人が、もらうかっていう話だ」と、麻生節でドサクサ紛れに発言を変えた。
もともと「定額給付金」は、公明党の「定額減税」案の代替としてひねり出した選挙対策用の政策だ。そんなこと国民は先刻承知で、とにかく評判がよろしくないのだが、いったん公明党にすり寄ってぶち上げてしまったのだから、取り返しがつかない。
せっかくの2兆円をバラマキではなく、必要なところに優先順位をつけて重点的に配分すれば、どれだけカネが生きてくるだろう。もったいない。それが大多数の国民の声ではないか。
「定額給付金」はいまや、選挙対策どころか麻生政権の命取りになりかねない。
さて、アメリカでは大統領選の開票が始まったようである。日本時間午前11時現在、予想通り、オバマが快調なスタートダッシュをしているようだが、まだ大勢が判明するまで数時間かかるだろう。
アメリカといえば深刻なのが10月の自動車販売台数のさらなる落ち込みである。前年比32%減というのは尋常ではない。こんなことでは、自動車産業と関連業界は壊滅的な危機に瀕することになる。
日本国内でも軽自動車を除く販売台数は13%減だ。部品をつくる中小企業と、その高度な技術を守っていくことが日本政府の経済対策でできるのか。
いくら金融機能強化法で銀行に資本注入しても、「さほど資金を必要としていない優良企業」には貸したいが、「すぐに資金が必要な危機的な企業」には貸したくないのが金融機関の本音だろう。
国内銀行の貸出残高は1999年には472兆円あったものが、2008年3月には419兆円に減っている。このうち中小企業向け貸出残高は、1999年3月が235兆円、2008年3月は184.4兆円である。つまり減少分のほとんどが中小企業向け融資という勘定だ。
融資が減った分、増えたのが投資であり、有価証券残高は1999年3月が122.6兆円、2008年3月には185兆円に増加している。
この膨大な有価証券が今回の金融危機で大きく値下がりし、金融機関への資本注入の必要性が出てきたのである。
しかし、借りたくても借りられない、貸したくても貸せない。それが現実の一断面であり、貸せずにだぶついたカネは金融商品に向かうことになる。
そのうえ、政府の金融機能強化法改正案は昨日のブログで書いたように投資優先の農林中金や実質破綻状態の新銀行東京への資本注入も含まれる。
与党はこの改正法案に関する野党との修正協議を打ち切り、今日5日、衆院財務金融委員会で採決する方針だが、当然、民主党は主導権を握る参院において、法案修正を求め徹底抗戦するだろう。
そうなると、11月30日に会期末の臨時国会は大幅延長され、政府は財源捻出が難しい第2次補正予算案を提出しなければならなくなる可能性が強い。
緊急経済対策の公約を掲げて解散するというタイミングを逃した麻生首相は、現実の予算編成と向き合わねばならない。
つまりは評判のよくない「定額給付金」の具体化にも決着をつけなくてはならなくなったということだ。
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農林中央金庫理事長、上野博史。この10年間、理事長の椅子に座り続け、報酬は年4100万円。官僚OBとしては異例の高給だ。
10月31日、彼は衆院財務金融委員会に参考人として招かれた。予防的な公的資金の資本注入ができるようにする金融機能強化法改正案の審議。民主党は農林中央金庫を法案の対象に含める政府与党案に難色を示している。
なぜなら、中小零細企業への貸し渋りをなくする緊急経済対策がこの法案の狙いなのに、農林中金は融資業務より国内最大規模の機関投資家として名を馳せているからだ。
ここに国が資本を入れても、中小零細企業への融資につながらないというのが民主党の言い分だ。
31日の財金委員会における上野の発言によると、農林中金は、運用資金60兆円のうち、融資に10兆円、投資に36兆円を振り向けている。
同席した第二地銀協会会長、横内龍三は一般的な地方銀行の資金運用の姿を示した。「業界全体では融資に76%、投資に26%くらいを充てています」。農林中金が飛びぬけて投資に傾斜しているのがよく分かる。
上野の腹心、農林中金副理事長、河野良雄が雑誌のインタビューで「うちにとって証券投資は主食である。融資はせいぜいおかずにすぎない」と答えている。
民主党の古本伸一郎は、この発言に農林中金の正体を見る。はなから融資など“副業”に過ぎないのだ。
古本は上野に向かい「金融強化法の枠組みに入らないほうがよいのではないか」と考えをただした。
上野は元農水事務次官。農林中金理事長は歴代の農水事務次官経験者がちょうど10年ごとに順繰りで就いている重要天下りポストである。
青年の面影を残す古本の問いに、70歳の上野は力をこめて言い放った。「今は予防的資本注入の必要は感じていないが、金融機関へのセーフティネットに農林中金が入らないのはデメリットが大きいことを理解願いたい」。
農林中金は、米国の公的資金投入で破綻を免れた住宅公社、ファニーメイとフレディマックの二社の社債(GSE債)を5.5兆円もかかえ、二番目に多い三菱UFJの3.3兆円を大きく引き離している。GSE債は米国債と同格の手堅い債券といわれてきた。
住宅ローン保証の最大の引き受け手として、ファニーメイとフレディマックにサブプライムのリスクがあることを知りながら、米政府の後ろ盾を過信し、格付け機関が適切な評価を下さなかったことにも問題があったのだろう。
かつて農林中金は住専に多額の資金を供給し、バブル崩壊による住専の破綻で危機に瀕したが、いわゆる1996年の「住専国会」で成立した特別措置法で国費投入が決まり救済された歴史がある。
まさにそのときを想起させるように、今度は米国の住宅公社に巨額投資をし、手にした山のような債券の今後の価値に疑問符がつけられているのだ。
700兆円といわれる驚異的な規模の資産を有する両公社は、米国政府の資金投入による実質国有化でとりあえず危機を回避したものの、問題のGSE債を米政府が保証しているわけではない。すでに信頼は揺らいでおり、今後何らかのきっかけで売りの連鎖が始まると、債券価格が暴落するリスクがある。
JAバンクなどから資金を集めて運用している農林中金の財務内容は、金融危機による保有証券の価格下落で、すでにかなり悪化していると見られる。GSE債の保有高が巨額なだけに今後の不透明感はいっそう増している。
農林中金の融資残高は10兆円と上野理事長は証言したが、民主党の松野頼久によると、そのうち農業などの生産者にまわっているのは1兆3000億円ていどにすぎないという。
金融機能強化法の趣旨が、金融機関ではなく中小零細業者の救済にあるとするならば、農林中金を他の銀行と同等に扱うことに、いささか抵抗を感じないだろうか。
公的資金を注ぎこんでも、投資損失の穴埋めに使われるだけなら、住専のときと同様、国民はカネを浪費した金融機関から付け回しされる憂き目にあうことになる。
もはや銀行の体をなしてないといわれる「新銀行東京」を金融機能強化法から除外するのは当然のこととして、農林中金についても利権議員らの政治的思惑を排した適正な判断をのぞみたい。 (敬称略)
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歴史認識の問題になると、暗澹たる気分にさせられる。同じ事実でも、立場によって見え方は違うし、個人の感性や価値観によっても違う。これをめぐる争いは世界中に絶えることはなく、しかもヒートアップするのが常だ。
更迭された航空自衛隊の田母神俊雄幕僚長の論文に対する朝日の「社説」と産経の「主張」は、いつもながらの対照を際立たせているが、朝日の異常なまでにヒステリックな論調には、いささか驚いた。
朝日社説は次のような書き出しで始まる。「こんなゆがんだ考えの持ち主が、こともあろうに自衛隊組織のトップにいたとは。驚き、あきれ、そして心胆が寒くなるような事件である」
何ごとが起こったのかと思わせる仰々しさだ。田母神が民間企業の懸賞に、先の大戦や植民地支配についての個人的な考えを述べた論文を応募し、公表されたというのが実際のところで、一般の人なら何の問題もない。
ただ、産経が指摘するように「独断的な表現も多い」のは確かであり、政府の一員として配慮が足りなかったことも間違いない。
朝日は論文の問題箇所として、四つの記述内容をあげている。
「わが国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者」
「わが国は極めて穏当な植民地統治をした」
「日本はルーズベルトの仕掛けた罠にはまり、真珠湾攻撃を決行した」
「わが国が侵略国家だったというのはまさに濡れ衣である」
たしかに、戦争の「被害者」とか「濡れ衣」とかいうのは、いかにも日本に責任がないかのような行き過ぎた表現である。いくらロシアや中国からの圧力を感じ、日本を守るため大陸に進出したとしても、それは日本側の論理であって、責任を免れることはできない。
しかし、冷戦終結後、それまで隠されていた様々な旧ソ連関連の資料が表に出て、史実にもとづく実証的な研究が進むなかで、「戦前の日本を全否定」する歴史観に異議を唱える学者がかなりいることも事実である。その意見に真摯に耳を傾ける態度もまた、必要なことではあるまいか。
田母神論文について朝日は「一部の右派言論人が好んで使う、実証的データの乏しい歴史解釈や身勝手な主張」と論じるが、「実証的データの乏しい歴史解釈」という言葉は、「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」についての朝日の誇大な報道についても当てはまるのではないだろうか。
さて産経は、空自幕僚長更迭の理由となった「村山談話」との相違について言及している。その中身は「先の大戦の要因を日本の植民地支配と侵略」と断じたものだ。
これは、平成6年、自民党が社会党と連立を組み村山内閣が発足、中国に日本政府が大きく歩み寄った時期に閣議決定された政府見解である。「近隣諸国への政治的配慮を優先した極めて政治的なものだった」(産経)
そして、産経は異例の処分を受けた田母神の配慮のなさに反省を求める一方、弁明の機会を与えぬまま更迭した政府の姿勢にも疑問を投げかけ、次のように主張する。
「与党内には今も村山談話の再検討や見直しを求める声が強い。政府見解による呪縛について、内部から疑問を呈したものであるなら、そのこと自体は非難されることではないはずだ」
これに対し、朝日社説は、田母神が「防衛省内では要注意人物だと広く認識されていた」と指摘し、「多くの自衛官もとんだ迷惑だろう。日本の国益は深く傷ついた」と最後まで、扇情的な筆致を貫いた。
この両新聞が相反する歴史観をもとに論戦するのは歓迎すべきことであるが、「要注意人物」かどうかは本質的な問題ではないし、「自衛官が迷惑」かどうかも確かめようがないだろう。さらに「国益が深く傷ついた」というのは、どういうことなのだろうか。
朝日にはそのあたりをもっと詳しく説明してもらいたい。 (敬称略)
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温厚な顔に似合わぬ腕力を有し、いまや数少なくなった“玄人政治家”の匂いを漂わす菅義偉。集団就職で上京、一介の秘書からたたき上げで国会議員になり、自民党の出世街道をかけのぼった男だ。
麻生首相が解散先送りを決断した背後に、選対副委員長である菅の強い進言があったことを、期せずして1日の日経、産経両紙が報じている。菅は中川昭一、甘利明とともに麻生政権誕生に奔走。4人の頭文字を並べて「NASA」と呼ばれる“お仲間”の一人だ。
日経によると、9月30日、麻生首相は与党の過半数割れもありうるという党の情勢分析に「思ったよりいいじゃないか。足りない分はオレの手で伸ばしてみせる」と早期解散に前向きな姿勢を見せた。
これに対し、菅は「今はやめたほうがいい」と経済情勢悪化を盾に解散先送りを主張した。
産経はこう書く。10月9日、麻生は「11月30日投開票」の考えを菅に話した。「今解散すれば大敗しかねない」。菅はそういって必死に止めたが、麻生は聞く耳持たず、細田幹事長に選挙準備を指示した。
その流れが変わったのが10月16日のことだった。これは日経、産経両紙とも一致している。
その夜、都内のホテルに「NASA」メンバーが集結した。麻生は11月30日投開票を前提に「追加経済対策のメニューをずらっと示し信を問えばいいじゃないか」(産経)と語った。
文芸春秋11月号で、「国会の冒頭、堂々と自民党の政策を小沢代表にぶつけ、その賛否をただしたうえで国民に信を問おうと思う」とぶち上げている以上、選挙情勢分析がが多少不利であっても、そうやすやすと逃げるわけにはいかない。
これに対して、菅、中川、甘利の三人は首相に思いとどまるよう必死で口説いたという。三人の心の底には、解散総選挙で敗れて野に下り、自民党が空中分解する恐怖が広がっていた。
この会談のあと、麻生の気持ちはしだいに解散先延ばしへと傾いていった。
ところで、菅は中川とともに、安倍晋三の“相談相手”としても知られる。安倍政権といえば、行き過ぎた「側近政治」が求心力を弱めた例である。
菅ら「NASA」メンバーが、麻生首相の解散時期の判断に決定的な影響力を及ぼしたとなると、ただでさえ党内基盤の脆弱な麻生首相から人心が離れていくことが懸念される。
だから、彼らの当面の関心事は、緊急経済対策発表の記者会見を見たあと、世論調査結果がどう出るかということだろう。世論の支持が強まれば、党内での求心力も高まる。
産経によると、森喜朗は30日夜、ソウルのホテルで麻生の会見中継を見てこう思ったそうだ。
「指導者は国民に安心を与え、この人なら任せてもいいと思ってもらえるかが大事だ。そういう意味でよい会見だったのではないかな」
さて、国民はどう受けとめたのか。麻生の会見の真の狙いは、政策の中身よりも、むしろ森の言う「頼りになる首相」のイメージを発信することだったのかもしれない。
今後の株価も麻生政権にとって気がかりだ。日銀が7年7ヶ月ぶりに利下げに踏み切ったとはいえ、0.5%という低金利から下げられる幅はたかが知れている。
結局、0.2%下げて0.3%にすることに落ち着いたが、世界の中央銀行との協調姿勢を示すくらいの効果しかない。すでに織り込み済みの株式市場は反応薄で、大引けまぎわに急落した。この日は、年金資金の買い観測も空振りに終わったようだ。
31日の日経平均終値は452円安の8576円。再び、8000円割れに向かうようなら、先ごろの急上昇でいったん安堵した国民の心理はよりきついダメージを受けるだろう。
連休明けから、麻生首相の舵取りはいよいよ正念場を迎える。 (敬称略)
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公明党の太田代表と会談し、記者会見場に現れた麻生首相は険しい表情で「国民のための経済対策を発表させていただきます」と切り出した。
「はじめに経済の状況について。現在の経済は100年に一度の暴風雨が荒れている」。
ここを、「国民の皆さん、いま経済は」とカメラ目線で呼びかければ、“キムタク総理”のようになるのだが、そういうキャラではなさそうだ。
ただ、今後の国会で野党の抵抗を受け、緊急対策の是非を問う解散に打って出るならば、わずかな言葉遣いの違いが生きてくる。
そのときは「国民の皆さん、野党が反対している経済対策の是非を判断していただくため解散します」とでも、小泉純一郎ばりにカメラ目線で訴えればいい。
それはさておき、繰り出された緊急対策は国民の心に響いただろうか。定額給付金、住宅ローン減税、高速道路料金引き下げ…。「真水」と呼ばれる国費追加支出5兆円のうち2兆円は「定額給付金」にあてるという。
日経が掲載した経済専門家の評価は「1990年代の景気対策が役に立たなかった経験が生かされていない」「目先の対策重視で資金をつぎ込んだ印象だ」などとあまり芳しくない。
しかし現金かクーポン券を全世帯にばらまく「定額給付金」は、解散先送りを公明党に呑ますため、「定額減税」の代替として持ち出した大盤振る舞いだから、麻生首相にしてみれば仕方のないことだったろう。おそらく本意ではなかったに違いない。
それにしても、かつて同じような「地域振興券」が景気浮揚効果を生み出さず、商店の手間が増えただけだったことを思い起こすと、疑問を感じる人は多いだろう。ある米屋さんは「地域振興券がたまり、その換金のタイミングが遅いため資金繰りに困った」と嘆いていたものだ。
朝日新聞は31日の朝刊から「麻生首相泥沼論」を大々的に展開し始めた。選挙の顔として福田首相と交代した麻生首相は、自公の大方の期待に反して、解散のタイミングを逃し、求心力を失いつつあるというのだ。
とくに、公明党の落胆は激しい。太田代表と北側幹事長が26日夜、麻生首相に膝詰め談判したさい、「誰のおかげで総理になれたと思っているんだ」と迫ったというニュースが共同通信から配信された。公明党は早期解散を念頭に置き、選挙に勝つために福田から麻生への交代を働きかけた経緯がある。
それでも頑として首をタテに振らない首相に、太田代表は30日の首相記者会見直前に会って、真意を確かめようとしたが取りつくシマもない。会談後、太田代表は「今日、明日の解散がないと言うことは了解したということです」と報道陣に語るのが精一杯だった。
すでに総選挙に向かって走り出している創価学会から、太田代表らに対する風当たりが強まっているのは想像に難くない。
ただし、麻生首相は記者会見の最後に「選挙になったからといって行政がなくなるわけではなく、直ちに政治空白が起こるとは考えていない」と、解散カードを引っ込めていないことを印象づけた。
この場面をテレビで見ていたある自民党議員がうめくような声を上げる。「もう事務所経費などで1000万円かかっているんだ。このまま、解散が引き延ばされたら党に面倒みてもらわないとやっていけない」
細田幹事長も「今日、解散するはずでした」と某議員のパーティーでいささか自嘲気味にあいさつ。町村派の派閥総会では、谷川秀善が「前回は解散しないと立ち枯れになると言ったがこのままいくと落穂拾いだ」と罵り、中川秀直は「これでは福田首相と同じになる」と語るなど、危機感が広がった。
麻生首相は「9月の任期満了までの間に最適の解散タイミングが来る」と信じ、解散カードをつねにちらつかせながら何とか求心力を保持していくつもりだろうが、“とてつもなく”厳しい道のりであることは間違いない。 (敬称略)
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政府の金庫は一般会計や特別会計のほか、もう一つデカイのがある。年金積立金というやつだ。
年金積立金はいうまでもなく厚生年金や国民年金の保険料収入が元手だ。そこからから当面の年金給付に必要な額を差し引いた残りを将来の給付のために積み立てた資金のことをいう。
2007年度末現在の積立金残高は、国民年金が8兆4674億円、厚生年金は130兆1810億円。ざっと138兆円もある。
このところ兜町では、政府が株価安定のために年金積立金を使って株を大量に買っているという噂が流れている。これを株価PKOと称するらしい。
1992年から98年にかけて何回か実施されたが、「市場否定だ」という批判が起こり、それ以降は封印されてきた手法だ。
29日の午後2時20分から引けにかけて、日経225先物に入った大量の買いはただものではない。先物につれて現物の株価も見る見る上昇したが、これだけの資金を投入できるのはファンドや金融機関が弱体化している今、政府の介入と見られるのはやむを得まい。
麻生首相は今、なりふり構わず、株の買い指令を出しているのではないか。
この資金源である年金積立金は、国民からあずかった年金保険料そのものであるから、「年金不信」が高まっている昨今、口が裂けても株価対策の市場介入に使ったとはいえないだろう。
かつては郵便貯金などとともに全額、大蔵省(財務省)資金運用部に預託し、そこから「財投」として特殊法人等に貸し付けていた。「グリーンピア」に象徴されるように、公的資金無駄遣いの温床ともされていた。
いまでは、この資金を「年金積立金管理運用独立行政法人」が投資顧問会社などに委託して株や債券で運用、その収益金を国庫に納めている。厚労省が人事を決めるこの独立行政法人は、実質的に政府支配下にある。
しかし、そもそも138兆円ものカネを積立金として市場で運用する必要があるのだろうか。市場が順調なら収益もあるていど上げられるだろうが、昨今のように大荒れの相場では国民の財産が危険にさらされる。
07年度の運用実績からして5兆円超の赤字であり、このところの株価の大幅下落による評価損を考えると背筋が寒くなる。
かりに、株価PKOが本当に実施されたとしたら、これからが怖い。中途半端な市場介入は、一時的な効果しか持たないからだ。
問題先送りは根本的解決にはつながらないということをわきまえておく必要がある。
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麻生首相は思った以上に強情で自信家のようである。細田幹事長と大島国対委員長が「10月30日解散」を求めても、ガンとして首をタテに振らない。
細田と大島を動かしているのは党の重鎮、森喜朗だ。彼には麻生を総裁に推した責任もある。森らは麻生のプライドが暴走し始めていると感じている。
森の盟友、青木幹雄や公明党幹部も困惑の色を隠せない。このまま解散しなければ、炎の中に飛び込んでいくようなものだ。なぜなら、日本はこれから来年にかけて不況がいっそう深刻化する恐れが強いからだ。
解散して、もし民主党中心の政権ができたとしても、未曾有の不況の克服という難題に直面して、打つ手が効を奏さず、政権が瓦解する可能性だってある。長期的に見れば自民党としては、それも一つの戦略だ。
一方、解散のタイミングを失って、仮に来年9月の任期満了までズルズルいくと、民主党の対決姿勢は強まって政策遂行はままならず、不況による社会の不満が自公政権攻撃に向かう可能性がきわめて高い。森らの心配はそこにある。
それでも、麻生首相が解散を渋るのは、ひょっとしたら巷間言われているように「自公で過半数割れ」を恐れていると言うようなことではないのかもしれない。
あえて炎に飛び込むところに、クールな「ヒーロー」でありたいと願う彼の美学があるのではないか。
テレビに映る彼の歩き方を見るがいい。肩で風を切り、颯爽としていて、かっこいい。顔には好き嫌いがあるだろうが、少なくとも笑顔は魅力的だ。つねに「自分は他人とは違う」と意識し、“麻生太郎”を演じている。
愛読書「ゴルゴ13」が、彼の頭脳の波長と合うのはよくわかる。死と隣り合わせの危険に身をさらし続ける日常。殺し屋ではあっても、プロとして自らに課したルールをストイックに守る。それがゴルゴの生き方だ。
ハードボイルドという点では相棒の中川昭一も似たような感受性を持っているように思う。彼らは、国難のときこそ出番だと感じているのではないか。
麻生首相の美意識からすれば、マスコミの記者たちのかまびすしい質問攻めを、低レベルとみなし、つい見下した言い方をして誤解を受ける。記者たちだって、締め切り時間に記事を間に合わせなくてはならないから必死なのだ。
誰が何を言おうと、表情一つ変えず、黙ってやるべきことをやっていく。それがオレのやり方だと思っているだろう。「新聞は見るが読まないようにしている」とうそぶき、夜は高級ホテルのバーに繰り出して葉巻をくゆらせながら時を過ごす。それがオレの日常だと思っているだろう。
悪く言えば唯我独尊。良く言えば、信念居士。さらに言うなら劇画魂か。
国民は今あれこれ考えても仕方がない。麻生流美学にこの国を託しているのが現実だ。いつになるか分からなくなってきた総選挙を待って、麻生流思考法に対する評価を下すしかない。 (敬称略)
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今は、株や土地や商品より現金で持っていたほうがいいと多くの人が考えるから、マーケットの相場は当然、下がる。同じ現金で持つならなら、ユーロよりはドル、ドルよりは円となり、円が買われて独歩高だ。
一時は、ドルに取って代わるかと思われたユーロが意外な脆弱さを露呈し、いまのところは円の強さが際立っているが、これから日本の実体経済の悪化が数字で出てくると、いつまでもこの流れは続かない。
何ごとも変化し、そのリズムに対応できなければつらくなる。衆院解散をめぐる永田町の空気も、麻生首相の心の動きとともに、日に日に変わっている。
政府が市場安定化策を打ち出しても「とてつもない日本」の株価は26年ぶりの安値をつけ、「経済に強い」と自認する麻生首相への風当たりも強まってきた。「何やってんだ、政府は」という投資家の怒りの声も、むなしく兜町に響く。
「いま解散したら自公で過半数を取るのも難しいのでは」。さしたる根拠もない、そんな分析が麻生首相の判断を鈍らせ、解散先送りへ傾いていたのが27日朝までの状況だった。
これに対して、民主党は「それならこちらにも考えがある」と、これまでの柔軟路線を転換させる構えを見せた。28日に予定されていたインド洋給油法案の参院委員会採決を拒否したのだ。
これでは、アフガンへの協力姿勢を米国に示す法案のスムーズな成立が危ぶまれる。麻生首相は思案をめぐらせた。民主党を硬化させてしまうのはまずい。26日夜、都内のホテルで会った公明党の太田代表から「11月30日投開票」を強く要請されてもいる。公明党にも気を遣わねばならない。
答えは、漆間官房副長官への指示となってあらわれた。「11月7日までの間、いつ解散しても対応できるよう準備を進めるように」(産経)。内閣官房はさっそく宮内庁などと日程調整を始めた。
この指示により、民主党の態度が再び柔軟路線に戻るかどうか。今これを書いているのが28日午前10時すぎ。参院外交防衛委員会はすでに始まり、民主党の浅尾慶一郎議員がアフガン問題について質問中だ。
「米英のOEF(不朽の自由作戦)、NATOのISAF(国際治安支援部隊)の活動は国際法上は警察活動であり武力の行使にあたらないが、憲法上では武力の行使にあたる」という政府見解について、「ご都合主義ではないか」と追及している。
いまのところ、給油法案の28日採決を見送り、30日の定例日も審議続行するという民主党方針は変わっていないようだ。
時刻は午前11時になった。もみ合いから始まった東証・日経平均の前場引け値は前日比67円安の7095円で終わった。まだ株価反発の兆しはみられない。
この底なしの株価崩落への恐怖感が、政治空白を避けるべきだという声を高め、麻生首相の解散先送り論を後押ししている。しかし、麻生首相に迷いがないとはいえない。
内閣支持率は朝日新聞調査が横ばい、日経新聞調査ではやや低下したが、大崩れはしていない。ひょっとしたら、今が解散の最後のチャンスかもしれない。
年内総選挙見送りの空気が強まるなか、麻生首相は「有利な解散タイミング」を判断する瀬戸際に立たされている。
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9月24日の当ブログで、三菱UFJがモルガン・スタンレーへ9000億円の巨額出資をすることに疑問を呈した。
三菱UFJは、アメリカの会計基準だと、保有株などの含み益の減少により、ことしの3月決算時点で5424億円の赤字に転落していた。
9月24日の日経平均株価は12,031円。アメリカの金融危機が日本の株価に波及し、ここからさらに下落することは目に見えていたはずだ。
案の定、株価は10月24日、わずか1か月で7,649円まで下落、三菱UFJは保有株の時価が下がって深い痛手を負った。
26日の日経新聞によると、モルガンへの出資と株価下落による自己資本の目減りを補うため、三菱UFJは今年度中に最大1兆円規模の増資を検討しているという。
結局、モルガンの救済に動いたわずか1ヵ月後には、自らへの救済を世界の投資家や金融機関に呼びかける状況に陥る始末だ。金融のプロ集団が、専門化しすぎて大局観を失っている証拠である。
利害がからむと、どんなに優秀な人間でも厳しい見方を忘れ、自分に甘い判断をする傾向がある。欲は迷いを生み、迷いの中では真実は見えない。
こういうときは無関係なシロウトの直感のほうが正確なものだ。
さて、日経平均7000円割れが目前に迫ってきた。麻生首相は北京で「株価に一喜一憂しているわけではない」と相変わらずの麻生節を披露したが、本音を漏らした以下の部分はテレビでは流れてなかったように思う。
「過去に例がない話が起きているから、あまり経験則を語っても意味がないと思うが…」
そこが問題なのである。見たこともない“エイリアン”が金融市場を破壊しているのだ。金融政策のマエストロといわれたFRB前議長グリーンスパンは「1世紀に一度の津波」といい、自分の予想をはるかにこえた事態にたじろいでいる。
津波のもとは楽天的で平穏なアメリカの家庭生活だった。
貯蓄など頭の片隅にもなかったアメリカ人は、クレジットカードのリボルビング払いで家や車や家電を買いまくった。いつまでもこの楽しい生活が続くと思っていた。
ところがローン残高を膨らませたあげく、ある日突然、スーパーのレジで「このカードは使えません」と言われ、愕然とする。住宅バブルは崩壊し、クレジットカード破産が増え続ける。
いまになって米国人は教会で「清貧」の精神を学び、貯蓄の大切さを自身に言い聞かせているという。
過度な繁栄こそ危機への序章であることは経済も、人生も同じだ。
1928年12月。この年もアメリカは「未曾有の繁栄が続いている」とクーリッジ大統領が一般教書演説をし、国民は幸せな年末を過ごした。
翌1929年、株や不動産への投機熱がピークに達したとき、ようやく人々は「行き過ぎ」に気づくことになる。
10月24日、「暗黒の木曜日」と呼ばれる株暴落の第一波に襲われ、世界恐慌へのメルトダウンがはじまった。
1932年、株価が底をうってアナリストが「経済は回復しつつある」と解説し始めた。ところが皮肉なことにそれがパニックのイントロとなった。ネバダ州の州立銀行に預金引き出しの人波が押し寄せたのだ。
これに端を発した預金引き出しの取り付け騒ぎが全土に広がり、その翌年、就任直後のルーズベルト大統領は「米国の全ての銀行を閉鎖する」と宣言した。
人は欲望と恐怖のバランスがうまく取れているうちは冷静に判断できる。欲にかられて熱狂しているときと、不安と恐怖にさいなまれているときには正常な判断ができない。
これから邦銀も生保も厳しい経営を迫られる。急激な円高は輸出企業を奈落の底に突き落とすかもしれない。そのときに事実を直視し客観的な判断ができれば生き残ることができる。ゆめゆめ、物分りの悪い上司に意見を合わせたり、都合の良い論理にすり替えたりしないことだ。
GDP500兆円をこえるこの国の経済を浮揚させるのに、数兆円の財政出動でどうなるものでもない。さりとて、巨額負債をかかえる国家に「骨太の方針」を転換させて、大規模な支出をともなう“日本版ニューディール政策”を期待するのも考えものだ。
政府はとりあえず株価の緊急対策として、銀行保有株式の買取りを日銀に要請することになったが、この効果のほども甚だ疑問である。しかし、「経験則が通用しない」とわかっていても、選挙を前に「無策」というわけにいかないのが麻生首相の立場だろう。
ところで、25日のテレ朝「サンデープロジェクト」で、麻生首相の打ち出した景気対策に関する、自民党の菅義偉と公明党の高木陽介の解釈の違いが浮き彫りになった。
「道路財源を一般化し1兆円を地方に」という文言に関し、菅義偉は「現在地方にまわしている7000億円に1兆円をプラスする」という解釈を披露。これに対して高木陽介は「7000億円プラス3000億円で、合計1兆円」と反論した。
連立与党内のこの食い違いは、麻生首相の「お友だち」を中心としたグループと「公明党」が同床異夢であることを物語っている。
解散時期の問題にしても、先送り論の麻生側近と、早期解散を求める公明党や自民党の多くの議員との間で、バラバラの発言が繰り返されている。
こういう連立政権において、迅速で効果的な政策が打っていけるのだろうか。解散を来年に先送りすれば、野党の反発で新年度予算を審議する通常国会の運営もままならず、内閣支持率は落ち続け、それこそ最悪期の解散となることも覚悟せねばならない。
麻生首相は26日、オタクの聖地・秋葉原で街頭演説し、熱烈な声援を受けて、人気に更なる自信を深めたことだろう。新聞は麻生側近の解散先送り論に惑わされ、10月末解散説を取り下げつつある。
ならば、人に指図されるのを嫌う麻生首相にとって、むしろ「10月末解散」を決断しやすくなったと考えるのだが。 (敬称略)
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湘南に「フルハムロード」という可愛い輸入雑貨のセレクトショップがある。この夏にサイパン店がオープンした。店主は三浦良枝さん。かつて「ドラキュラの花嫁」という本を出した。
“ドラキュラ”こと、夫の三浦和義氏はことし2月、サイパンでロス市警の警官に逮捕された。前妻の一美さんと、愛人の白石千鶴子さん。二人の女性の命を奪った男だとロス市警はにらんでいる。
サイパン店の物件を見にやってきたのか、単なる旅行だったかはわからない。日本では一美さん殺害事件で無罪を勝ち取ったが、殺人の時効のない米国の捜査官に、米国領に入るその時を狙われていたようだ。
ところが、思いがけないことが起こった。殺人の共謀罪の容疑でサイパンからロス市警に送られたばかりの三浦氏が、独房の中で、突然この世を去った。つい先日のことだ。独房内でいったい何があったのか。
筆者の友人で、ロス事件当時、捜査当局に情報提供したA氏はロス市警の下記の発表内容に首をひねる。
「10月10日ロス市警本部の留置場で、三浦和義氏は独居房内の2段ベッドの端にTシャツをくくりつけ、首に巻いて自殺した。監視カメラは設置されていなかった」
係官の見回りのわずか10分ていどのスキをついて、Tシャツ一枚で自殺できるものだろうか。自分のシャツを裂いて捻ってヒモ状にし、二段ベッドの柵にかけて首をつれば、理論的には可能だろう。しかし、かなり素早い動作を必要とする。
不審を抱いた三浦の弁護人ゲラゴスは病理学者のブライアン・ポージーに遺体の調査を依頼した。
調査結果はこうだ。「遺体には殴打されてできたとみられる傷が背中の深部にあり、首を絞められてできた可能性のある血腫がある」。つまり、他者の手にかかって亡くなったという見立てである。
留置場で起こった出来事をロス市警が正しく発表しているとは限らない。不都合なことがあれば隠すだろう。
ならば、誰が三浦氏を殺す必要があったのか。警官にその動機があるとは思えない。暴行を加え、誤って死に至らしめたとも考えにくい。
ロス銃撃事件の実行犯はいぜん不明だが、背後に何らかの犯罪組織が絡んでいるとしたらどうだろう。がぜん「他殺説」が信憑性を帯びてきはしないか。
もし三浦氏がが犯人につながる何かを知っている、あるいは知っている可能性を犯罪組織が恐れていたとすれば、その存在を消し去ろうという動機が生まれる。
ロス市警は三浦氏が、直接か仲介人を通してか、いずれかの方法で実行犯グループに殺害を依頼したと想定し、日本では審理されていない「殺人の共謀罪」での立件をめざしたに違いない。
ロス市警が新証拠をつかんだかどうかは定かでない。物証ではなく、事件当時の状況や、三浦氏の虚言癖、特異な個性から三浦氏を「クロ」としているフシもある。
最も有力な根拠は、1981年8月、ロスのホテルニューオータニの一室で、三浦氏が愛人に依頼して妻、一美さんを鈍器で殴打させた事実である。
この件では愛人も逮捕され、三浦自身、殺人未遂事件で有罪が確定し刑に服している。
殴打事件直後の11月、ロスの駐車場で問題の銃撃事件が起き、頭部を撃たれて1年後に亡くなる一美さんに1億5500万円もの保険金をかけていたことがのちにわかった。
三浦氏に疑惑の目が向けられたのは当然だった。この件について、日本の裁判では証拠不十分により無罪となった。
一連の動きをテレビは追い続け、三浦氏は被害者の夫を演じ続けた。三浦はこどものころ芸能界にいた。叔母である元女優、水の江瀧子さんがプロデュースした石原裕次郎の映画に子役で出たこともある。
もう一つの事実は自作自演の放火魔であったことだ。高校生のころ、朝火事の現場に駆けつけて人を救出したが、火を放ったのは三浦氏自身だった。
9件の放火を繰り返し、自ら消防署に通報した。この“狂言癖”はどこから来たのだろう。
一説には、1930年代に「男装の麗人」として一世を風靡した水の江さんが、和義を生んだものの、スターのイメージを守るため公にすることができず、実兄の息子として入籍したともいわれる。水の江さんの実子かどうか確かめる術はないが、事実だとすれば、三浦氏は母の愛に飢えた少年時代を送ったことになる。
三浦氏の芝居じみた行動や虚言は、母性への渇きと憧憬が関係しているのかもしれない。水の江さんはロス事件で世間が騒然となるなか、静かに芸能界から去った。
先述のA氏は「自殺を否定するわけではないが」と前置きしたうえで、こう推理する。
「一美さんの頭部を一撃し、三浦氏の足に命中させて逃走する手口はプロの仕業としか考えられない。そうとう大規模な犯罪組織が絡んでいるかもしれない」
「三浦氏に殺人の共謀罪を適用して取調べを再開したロス市警の真の目的は、実行犯あるいはその背後の組織につながる何らかの糸口を掴むことだったのではないか」
「かりに他殺だとすれば、組織の一味が、ロス市警の警官、あるいは被疑者の中に紛れ込んで口封じに三浦氏を狙ったと考えられないこともない。アクション映画のようなことがあの国では実際に起こる」
「自殺」のロス市警発表に対し、一美さんの母、佐々木康子さんは悲痛な胸のうちを綴った。
「狂言として自殺をはかり、誤って死んでしまったのか、死のうとして死んだのか、それはわからないが、三浦が死んでも、殺された一美、千鶴子さんの無念は変わることはありません」
「狂言」の言葉に康子さんの三浦氏に対する深い不信感がうかがえる。康子さんは「“狂言自殺”の末、誤って死んだ」と疑っているのだ。
一方、三浦良枝さんや、三浦氏の支援者はあくまでロス市警の責任を追及してゆくだろう。疑惑の渦中にある人物を支え続けた良枝さんの本心を推し測ることはできないが、当然ながら支援者たちは三浦氏の「無実」を固く信じているはずだ。
ロス市警が弁護側の提示した疑問にきっちり答えない限り、さまざまな憶測を呼ぶだろう。
一美さんと白石千鶴子さんが何者かに殺められたことは紛れもない事実である。三浦氏の死とともにその真相が永遠に葬られるとしたら、二人は浮かばれない。 (一部敬称略)
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一国の総理ともなると、同時並行的に国内外のいろいろなことを考えなければならない。常人なら1ヶ月も気力体力がもたないだろう。
麻生首相が超高級ホテルのバーで、お友だちをひそかに集めて気晴らしをするくらい、勝手にすればいい。
ところが、目下の世間の関心事、「解散」について、バーに集うお友だちの三人、つまり中川昭一、甘利明、菅義偉が「先送り」を強く進言し、麻生の決断を鈍らしているとなれば、すでに選挙に向けて走り出している議員諸公の気持ちは穏やかでない。
側近三人衆の考えはよくわかる。任期は来年9月まであるのだ。今、急いで解散して、ようやく実現した麻生政権が泡と消えたら元も子もない。1年かけて実績をつくるべきだ。コトあれば馳せ参じる熱血漢たちのそんな言葉は、大将の胸に響いたに違いない。
新聞には二つの説が出回っている。一つは側近たちの進言が効いて、「10月末解散、11月30日投開票」のシナリオが書きかえられそうだという「先送り説」。
いまひとつは、10月30日までに麻生首相はパンチのある経済対策を打ち出そうとしている。これは、対策を発表して解散に持ち込もうという意図の表れではないか、というものだ。
麻生首相は将来の消費増税の方針を打ち出し、財源を示した上で、目先の経済対策で大盤振る舞いをするつもりのようだ。選挙前に持ち出すのはタブー視されてきた消費増税をあえて前面に掲げ、「財源」で民主党との対立軸を際立たせるネライがあるという。
しかし、筆者はここで、解散時期にからむもう一つの麻生首相の関心事を取り上げておきたい。
小沢代表の健康問題である。もともと心臓に持病のある小沢代表は本会議を抜け出して、休憩することがしばしばあった。医師から、とくに食後は休憩をとるよう指導されているらしい。
完全な健康体とはいえない人が、このところ一段と、体調を悪化させているように見える。周辺は「風邪が長引いている」とか「ノドがなかなか治らない」とか言うが、昨日、インドのシン首相との会談をドタキャンしたことで、新聞がにわかに騒ぎ始めた。
実は、麻生首相サイドでは早くから小沢の健康状態に探りを入れている。選挙にめっぽう強い小沢は、いざ解散となれば民主党の心棒となる。その人物が元気に動き回れる時期より、弱っている期間に選挙をやったほうが自民党に有利に違いない。
その弱っている時期が「今」とみるのかどうかも判断の境目だ。今後、時の経過とともに風邪が治り体調が回復すると読めば、解散は早いほうがいいかもしれない。逆に、小沢代表の体調悪化が単なる風邪ではない深刻なものだとすれば、先になるほど小沢の動きを封じることができる。
人の体のことだ。医者が秘密を漏らさない限り本当のところはわからない。健康状態を探るといっても、症状の詳細を聞き出して専門医に意見を聞くことくらいしか手はないが、そこは政治的直感の勝負どころでもあろう。
文芸春秋11月号の誌上インタビューで、鳩山由紀夫が気になることを言っている。「民主党政権ができたときに小沢さんは総理になるのか疑問を持つ人がいる」という質問に、こう答えた。
「ここまできたら逃げられませんよ(中略)総理をやって死んでいただきます、と申し上げました」
もちろん、これは「小沢は命を賭して政権交代に挑む」という民主党の選挙キャンペーンの一つだろうが、小沢の体力の限界が近づいているということを想起させるような発言でもある。
国民も衆院議員の多くも解散を待ち構えている強烈な風圧のなかで、来年9月の任期満了まで政権を維持する根性があれば、それはそれで麻生太郎という政治家を見直さねばならない。
早期解散を前提に協力してきた公明党や、党内他派閥に不義理をしてでも、自らの意思を貫くにはよほど強靭な心身を必要とするからだ。
ただし、麻生個人のその思いと、国益は必ずしも一致しないのも確かだ。一刻も早く国民の信を得て、その声を背景に政策を断行していくことが、閉塞状況のこの国の政治を切り開くのである。
今のまま政権を維持しても、政策の遂行は思うにまかせず、実績などつくりようがない。ボロボロになって来年9月の任期満了を迎えるようでは、自民党はそれこそ崩壊する。
経済のカンフル注射と増税では国民の不安は解消しない。選挙によって生まれる新しい内閣の手で、将来を見据えたしっかりした国家ビジョンと、そこへ向かう道筋を示してほしい。それが大多数の国民の願いではないだろうか。 (一部敬称略)
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2兆円もの定額減税は、公明党にごり押しされて自民党が嫌々ながら実施方針を固めたものだ。それは、多少なりとも政治に関心のある国民なら誰でも知っている。
公明党はこれを選挙を有利に運ぶための最良の方策と固く信じているようだ。減税分の多くはは消費でなく貯蓄に向かい、景気浮揚の効果は薄いという常識的な意見は全く無視されている。
しからば、公明党議員には常識がないのか。そうではあるまい。
元公明党委員長、矢野絢也は文芸春秋11月号に「麻生政権も公明・学会に潰される」という一文を寄せている。そのなかで公明党議員について「各分野のエキスパートも多い。議員としての実力はかなり高い」と評価している。
それなのに、もともとガソリンや食料の価格急騰への対応策だった「定額減税」になぜ今もこだわるのか。原油や商品相場の下落で、年末年始にかけ生活必需品の物価は落ち着いていくはずなのだ。
同じ論述のなかで矢野は公明党議員の心理構造を解き明かしてくれている。
「公明党議員は、創価学会のほぼ丸抱えで選挙戦に挑む。その分だけ、身も心も学会、池田先生にささげるという感覚になる。問題はいざという時に政策と池田氏の守護、どちらを優先するのかということだ。(中略)競合することになれば先生をお守りする行動が優先される」
公明党の議員は、自らがいかに高い政治的見識を有していても、「政局に絡む発言は創価学会の了解なしにはほぼ100%口にすることはできない」のだという。
そして「創価学会では池田先生の発言は絶対的なものとされている」のである。
「絶対の価値観をもった組織」と自由、民主を標榜する自民党が本来、相容れるはずはない。にもかかわず、“学会票依存症”に陥っている自民党は選挙ともなると、池田センセイの意を汲んだ公明党の政策を押しつけられる。ここに、一新興宗教の支配下に置かれたこの国の悲劇がある。
自民党は創価学会の選挙協力という“麻薬”を打ち続けて延命してきたが、そのかわり、学会の裏支配に嫌気がさした多くのまっとうな自民党支持者を失った。
かつて、社会党は自民党と連立政権を組み、そのために党の存在価値を貶めて自壊への道をたどった。社会党員が自分たちの委員長を総理にする栄光を選択したとき、多くの国民は「これで社会党も終わりだ」と直感したはずだ。
目先の繁栄に囚われるものには、将来の失敗が待ち受けている。規制緩和でグローバル経済の波に乗り急成長したアイスランドが、グローバル化ゆえに国家存亡の危機に直面することを、かの国の専門家は誰一人として予想していなかったようだ。
しかし、一般の日本人は「盛者必衰」の理をわきまえている。いつまでも良い事は続かない。調子に乗りすぎてはいけない。それは庶民の常識である。
自民党が創価学会票に頼って政権政党の座を死守するため、公明党の言いなりになっている図式は、わが国民には丸見えだ。細川政権時代、野に下った悲哀を味わいたくないためのなりふり構わぬ姿勢は、醜悪にしか見えない。
そして、その所産としての「定額減税」が、特別会計埋蔵金を充てるといくら言い訳しても、実質的には将来につけ回しをする赤字国債発行と同じであることぐらい、国民はとっくにお見通しなのだ。
同じような公明党発案の愚策「地域振興券」発行当時の1999年と比べ、ネットなどを通じて国民が知りうる政治情報ははるかに豊富である。「よらしむべし、知らしむべからず」はもはや通用しにくくなっている。
国民に意図を見透かされている「定額減税」が少なくとも自民党の選挙を勝利に導く政策だとはとても思えない。自民党再生への第一歩は、むしろ「絶対の価値観をもった組織」との訣別であろう。
民主党も選挙のあと、過半数を制するため公明党と連立するような愚を犯せば、自民党と同じ道をたどることになる。
信仰と政治活動の自由は憲法で認められている。池田大作氏は昭和45年、学会と公明党の「政教分離」を宣言した。本当にそうなれば、何も言うことはない。ところが実際にはその後「政教一致」が強化され続けてきたことは周知の通りだ。
創価学会員が選挙スタートと同時に強力な公明党の運動員となり、民主党を「仏敵」と称して、激しい選挙戦を繰り広げる。こうした「政教一致」をやめない限り、一般国民は公明党を信頼できないだろう。
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いま、国会を覆っている“休戦ムード”をどう読むべきか。
民主党が「解散」という“担保”をとっている証しなのか。それとも自民党が「解散近し」の餌をぶら下げて、それに食いつこうとする民主党を、法案成立協力へと誘っているのか。
外見から判断すれば、11月30日投開票への流れではある。補正予算案や海上給油法案のスムーズな審議に続き、金融機関救済に備えるための「金融機能強化法改正案」の審議にも、民主党は淡々と応じる方針のようだ。10月31日にこの法案が成立する見通しだという。
「金融機能強化法」は地銀などに予防的な資本注入を行い、金融力を強化する目的で平成16年にいったん成立したが、その後の景気回復で、この法律が生かされることなく今年3月に廃止された。
ところが、昨年来のサブプライム危機により、震源地の米国以上に日本の銀行の貸し出しが鈍るという奇妙な現象が起き、上場不動産会社やゼネコンなどが相次いで倒産に追い込まれた。この国の銀行経営は明かに悪化している。
その対策として、この法案を通し、直後に解散する。それが最も自然な形だと思われる。
一方、「解散ニンジン」をぶら下げて民主党を走らせ続け、“資金体力”が消耗するのを待って、総選挙に打って出るという「悪知恵説」も流布されている。細田幹事長や町村前官房長官がさかんに「11月下旬解散」をはやし立てているのがその証拠だという。
この場合は年明け以降の解散、場合によっては任期満了まで引っ張るという可能性がある。
だが、あまりそのような思惑が国民に見透かされることになると、ただでさえ冴えない内閣支持率がさらに低落する恐れがある。経済危機が深刻化すれば、選挙を先延ばしするほど国民の鬱積した不満が政権政党に向けられる。
加えて、解散をズルズルと先延ばしにされて困るのは民主党などの野党だけではない。いくら資金力が上回っているとはいえ、自民党や公明党の議員だって、いつまでも“体力”がもたないだろう。
ブッシュ大統領が呼びかけて11月に米国で開かれる緊急サミットについて、麻生首相はこう言明した。
「解散していようとなかろうと、この金融サミットには必ず行く」
解散がらみの質問には、はぐらかすような言い回しを続けてきた麻生首相にしては素直な発言だと感じるのだが、いかがだろうか。
麻生首相は20日、祖父、吉田茂の墓参りをし、決意を新たにしたように見える。26日にはオタクの聖地、秋葉原で街頭演説をすることが決まった。
いよいよ、“そのとき”が迫っているように筆者には思える。
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マーケットは心理で上下するものだから、マスコミも危機をあおるだけでは能がない。確かにそうだが、それにしても株価を上げるために新聞が一肌脱ごうというのはいかがなものか。
気になったのは今朝の産経新聞である。「大型株 お買い得?」という見出しで、トヨタやソニーなどの優良株が異常な安値の今は買い得だという記事を掲載している。
いわく「トヨタは一株あたり年140円の配当があり、今月17日終値の3420円で買ったとすると、利回りは年4.09%になる」。定期預金のわずかな金利を考えると、株価がさらに下落したとしても高い配当利回りが期待できるという理屈だ。
そして市場関係者は「大型株は売られすぎ」「今後、利回り期待の買いが入るのでは」と指摘しているという。
これを読むと、現時点での利回りのよさが強調されているから、「今が買いだ」ということになる。ところが今後、配当が維持できるかどうかについては「減配や無配のリスクもあるが」と、いとも簡単に片付けられている。
トヨタが減配、場合によっては無配に転落する恐れだってありえないことではない。それが今後数年間に予想される経済危機の深刻さではないだろうか。
トヨタの高級車レクサスの9月の販売実績は前年比77%もダウンしている。世界経済を牽引してきた米国の過剰消費は空中分解し、国民は節約志向に傾いている。トヨタの減益幅はいまいわれている40%どころではないだろう。
これと関連した「ネット証券人気上昇 株暴落後、安値買い狙い」という産経の記事もネットで流れている。
日経平均株価が9000円を割り込んだ10日以降、ネット証券各社に個人投資家からの口座開設の申し込みや資料請求が急増、通常の2-5倍に上っているという。
この理由として「株式投資を始めるチャンスと考えている人も多いようだ」という証券会社広報担当者の分析を紹介している。
個人投資家への株式市場参入キャンペーンを新聞が後押ししている図式だ。
筆者も株を持っているから、どんどん買って株価を上げてほしいという気持ちは同じである。しかし、正直言って、現段階で、楽観的にマーケットを眺める気にはなれない。
気まぐれなミスターマーケットの動きを占うことは誰もできないが、おそらく、日経平均株価は7000円割れするだろうと個人的には覚悟している。もし6000円になることがあったら、余裕があれば買ってみてもいいとは思う。
マンションが価格を大幅に下げても買い手がつかず、不動産関連企業がバタバタ倒れ、引き続いてゼネコンの倒産の急増が懸念される。金融危機は確実に実体経済を侵食しはじめている。
17日のNYダウは下落基調だったが、相場の神様、バフェット氏の「買い推奨」が報じられるや一気に500ドルの急上昇。ところが、そこから下げに転じ最終的には127ドル安で引けた。不安定な状況は依然続いている。
ニューヨークの株式市場が安定しなければ、日本もしっかりとした歩調には戻らない。産経の記事が示すものは、証券会社の危機感と焦りでもある。
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消費者の側に立ち弁護士活動を続けてきた自民党の森まさこは16日の参院予算委で、大立ち回りを演じていた。
マルチ業界との癒着で民主党離党が決まった前田雄吉の問題を追及する役目を任じられ、この日ただ一人の自民党質問者である森のボルテージが上昇するのもうなずける。
「前田雄吉さんの首を切って終わらせてはならない。民主党の体質に問題があるのではないか」。同僚議員の声援を受け、ここぞとばかり、森は興奮した口調で激しく民主党を攻めたてた。
このとき、閣僚席にいた消費者行政担当の野田聖子大臣は複雑な思いで森の弁舌を聞いていたに違いない。森が野田に質問することは事前通告されている。
国会質問の事前通告は通常、前日の夜までに担当官僚が受け取り、答弁メモを作成して、翌朝、大臣に説明する。マルチ商法問題についての所感を聞かれることになっていた。
答弁メモに目を落としながら野田は思った。「この模範回答のままでは、あとで問題になる」。
野田は12年前の衆院商工委員会の議事録を検索し、質問者だった野田自身の発言内容と、出席メンバーに民主党の川端達夫がいたことを確認した。野田は急ぎ、自らメモを書き直した。
12年前のことなどつゆほども知らない森は締めくくりの質問を野田に向けた。
「野田大臣は消費者庁の設立など消費者保護行政の確立に取り組んでおられる。直近のマルチ商法の苦情は増加しており政治的圧力に屈しないでいただきたい。ご所感をお願いします」
野田の答弁は森にとって予期せぬ内容だった。
「12年前、訪問販売法改正について素朴な疑問を持ち、質問しました。マルチはすべて駄目だという動きに懸念を感じたからです。でも、自分の勉強不足で、消費者の視点に立った質問ができなかった」
平成08年04月10日、衆院商工委員会における野田聖子の発言は次のように、マルチ商法を擁護するものだった。
「連鎖販売取引イコール悪であるというような考え方を大きく転換し、次代の産業を支えるベンチャービジネスの一つとして業界の健全な発展を支援するよう国は取り組むべきではないか」
考え方は前田雄吉と変わらない。その人物があろうことか消費者を守る役割を担う大臣に就任している。
森は言葉を失い、議場は凍りついた。「ありがとうございました。これで質問を終わります」と言い残して席を立ったとき、同僚議員の拍手はすっかり勢いを失っていた。
マルチ業界の問題は痛み分けの形になった。自民、民主ともこの問題はもはや避けたいところだろう。
おそらく12年も前の野田の発言を記憶している人はいなかったのではないか。商工委員会のメンバー、甘利明、小池百合子はもちろん、民主党の川端達夫だってそうだ。しかし、マルチ業界の人々はしっかりとおぼえているだろう。
いまマルチ業界が、かつての擁護者野田をどう思っているかは知らないが、消費者担当大臣としての野田の答弁しだいでは、過去の発言を持ち出し永田町に繰り出して反攻に出ないとも限らない。
「告白」を決断させた野田の恐れはそんなところにもあったのではないだろうか。政治の世界は怖い。 (敬称略)
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つねに冷静さを装える麻生首相は凡庸ではない。どんなに激しく突っ込まれようと、「何となく」「…わけではありません」の麻生節で、ヒラリヒラリと身をかわす。
太刀を持って登場した古武士にはこれが気に入らない。小馬鹿にされたと感じるのだろう。「少し思い上がったところがあるんじゃないか」と、民主党、石井一は15日の参院予算委でドスを利かせた。
公明党・創価学会問題。これが石井の最大関心事である。ちょうど1年前、当時の冬柴国交相を相手に、池田大作名誉会長への「P献金」疑惑などで斬り込んだ。今年は、閣僚席に斉藤鉄夫環境相がいるが、役不足は否めない。となると、ターゲットは公明との連立内閣のトップである麻生首相だ。
石井 「創価学会の宗教施設は私の調査では1000箇所ある。選挙になったら選挙マシーンに変わる。創価学会は民主党を仏敵だというが、学会の最高幹部にどうして仏敵かを聞かせてほしい。総理、感想はいかがですか」
麻生 「私は公明党の推薦をいただいてない自民党の国会議員でありますので公明党の選挙運動に詳しいわけではありません。比較ができませんので、コメントは差し控えさせていただきたい」
石井 「そういう答弁ばかり繰り返すから言うが、あなたの選挙区の福岡8区は公明党の票が九州で一番多い。以前の選挙で公明党の宣伝用のテレビにも出てしゃべってるやないか」
麻生 「推薦いただいてないことと、教宣ビデオとは何の関係もないじゃないですか。基本的には」
石井 「いまや公明党の言いなりだ。いまのは強弁でね、しらじらしい。定額減税は財源も決まってないのに約束してる。学会の選挙マシーンはもうすでに定額減税をフレまわって走っている」
白髪ながら太く黒い眉毛は健在だ。石井は麻生首相を睨みつけ、吼えまくる。挑発に乗らない麻生節は、ますます燃えたぎる怒りの炎に油を注ぐ。
石井は、公明党の選挙協力がなければ当選できない自民党議員が多いと断じて続ける。
「公明党の後ろに陰の力がある。それに公明党が唯々諾々と従っている。その公明党が政権の中核に入っている。日本の民主主義にとっていかがなものか」 「10月7日の朝日、毎日、読売に池田会長の写真入り一面広告が載った。こんなことだからマスコミも沈黙している。票とカネの力で政治やマスコミに影響力を発揮する異常事態だ。真摯に問題を取り上げるべきではないか」
これに対して麻生首相いわく。「マスコミへの影響がどれくらいあるか、新聞を読まないようにしているし、広告も見てないのでなんともお答えできません。少なくとも私に公明党から解散時期についての要求もありません」
わが家では朝日、産経、日経を購読しているので、全て確認はできないが、朝日の本日の朝刊に限れば、石井の質疑内容を取り上げた記事は見当たらない。産経と日経は記事を掲載していた。WEB版において読売と毎日が短い記事を流していることも確認した。
朝日が創価学会に配慮したのか、ニュースバリューがないと判断したのかは分からない。しかし、効果のほどが疑問視される「定額減税」を公明党にごり押しされ、自民党が困惑している状況はしっかり書き込んでいる。その記事にこんなくだりがある。
「“定額減税は連立のコストだ。やらなければならない”。党税調幹部の一人、野田毅元自治相がこう語ると、苦笑が広がった」
公明党との関係維持のためのコストとして、国民の血税を使うという論理である。いくら自民党内の会議での発言とはいえおかしなことだ。いかに、国民の意識とかけ離れているかについて、その場の議員たちはもちろん、これを書いている記者も顧慮しているふうはない。
石井は「矢野絢也、竹入義勝、福本潤一、場合によっては池田大作名誉会長の国会招致による、政治と宗教についての集中審議を要求する」と声を張り上げて質疑を締めくくった。
この直後に質問に立った公明党の山口那津男政調会長が「補正予算と関係ないことを滔々と述べるのはいかがなものか」と石井を激しい口調で非難したのはその立場上、当然のことである。
民主党にとって、創価学会問題は、公明党と選挙協力をせざるをえない自民党批判の有力なカードである。矢野らの国会招致要求も、公明党を揺さぶって早期解散に追い込むための切り札として使われてきた。
永田町では10月末解散説がささやかれ、与党は11月30日投開票に照準を合わせて選挙準備を進めているという。
マルチ業界との癒着で民主党離党を決意した前田雄吉の問題がテレビで大きく取り扱われはじめており、この影響で民主党支持率が低下するようなら、麻生首相はまず間違いなく10月末までに解散を断行するだろう。 (敬称略)
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一般にはマルチ商法で知られるが、業界ではどうやら「ネットワークビジネス」というらしい。
平成16年から毎年、衆院予算委員会でこの業界を代弁するかのような質問を繰り返してきた議員がいる。
民主党の前田雄吉。以前からマルチ業界の擁護者として政界では知られていたが、朝日新聞がやや唐突ながら「1100万円の講演料と献金を受け取った」と報じ、問題にした。
先日の当ブログで、小沢一郎周辺のスキャンダルをかぎまわっている連中について少し触れたが、こういう形で出てくることになった。
マルチ商法というと、胡散臭いイメージがつきまとう。しかしこれはネズミ講ではなく、連鎖販売取引として法律で認められたビジネスではある。
「紹介料や販売マージンが得られる」と商品販売にあたる人を勧誘し、入会金や商品購入費などを負担させる。先輩会員が、勧誘して引き入れた会員の販売等の成果に応じて報酬を受ける。だいたいそんな仕組みで、組織は当然,、ピラミッド型だ。
法律を守っていれば問題はない。大儲けできるかのような勧誘をしたり、ときにネズミ講まがいの手口で儲ける悪徳業者がいるから困る。全国でトラブルが絶えないのも事実だ。
さて、問題は前田雄吉の件である。昨年2月28日の衆院予算委における前田の質疑内容を振り返りたい。
この日、前田はまず「世界では標準的ビジネスモデルなのに、日本では無知、無理解、誤解、偏見、勘違いの五段拍子の思い違いで認識が十分でない」と嘆いたうえで、国民生活センターのパンフレットを取り上げた。パンフレットには以下のような記述があったという。
「友だちからのいい話はトラブルの始まり」「「ネットワークビジネスとかたって友だちを勧誘し、会員にすることでマージンを得るというマルチ商法が広がっています」
これについて前田は「海外に私も留学していましたけれども、海外の方が見たら笑いますよ、本当に。ネットワークビジネスを経済産業省は全否定するわけですか」と問いただした。
経産省側が「全てを否定してはいない。ただ連鎖販売取引で年間約二万件の相談がある。悪質な事業者の排除に力を入れ、厳正に対処したい」と答弁すると、前田は「悪いマルチを排除すればいいだけだ」とパンフの回収を主張した。
パンフは国民への注意喚起に必要だとする経産省側に対し、前田は続ける。
「こんなパンフが出回って損害賠償請求が起きたらどうするんですか。いろいろな方が私のところへ見えるんですよ、こんなものを出してもらっては困ると。被害が出たときに、ちゃんと補償してくださいよ」
ここまであからさまに特定業界の立場で政府を追及する議員がいることは、一般国民からみて情けない。
経産省によると、マルチ業界の年間売り上げは、把握しているだけで約一兆一千億円。実際にはこれを上回ると考えられる。前田は「六兆円、800万人の産業だと思う」と言っている。
前田は「悪いマルチ」と「良いマルチ」を区別せよと強調するが、彼が「良いマルチ」と思って、4年間で計150万円の講演料を受け取った会社が昨年、業務停止処分を受けている。
その会社は「ドリーム・オブ・トータル・コミュニケーション」といい、「絶対に儲かるから」と勧誘したことが発覚した。
業務停止処分を受けたあとも献金を返却していなかったことについて、小沢代表は「非常に不適切な行為だ。早急に結論を出す」と、公認候補から外す可能性を示唆している。
“小沢グループ”の一員である前田のマルチ業界との癒着は、総選挙を前にした民主党の不安材料となりかねない。 (敬称略)
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アメリカの一般市民のいったいどれほどの人が北朝鮮をよく知っているだろうか。まして、日本とその国のかかわりに関心を持つ人などごく一部だと思う。
中東方面に軍事的エネルギーを注がねばならない今の米国にとって、どうでもいい北朝鮮にはできるだけ現状を維持してほしいというのが本音なのだろう。
核放棄の意思などハナからないことは承知の上で、ヒル国務次官補が北朝鮮の瀬戸際外交につきあい、妥協を重ね、ついには「テロ支援国家指定」を解除した。
「外交的成果」を企図したものという新聞の解説を、日本人は理解できるわけがない。どこが成果だ。なぜ北朝鮮のウソに付き合うのだ。それが普通の感覚であろう。
しかし、拉致された人もなくテポドンの脅威も感じない多くの米国人は「米政府が北朝鮮の核開発をやめさせるのに成功した」と漠然と受け取っているのかもしれない。
イラクでもアフガンでも失敗を繰り返してきたブッシュ政権が、国民をごまかして「外交的成果」だとアピールするのに、北朝鮮の「エセ核放棄」と、その見返りとしての「テロ国家指定解除」を使うのが最も手っ取り早かった。そう考えることもできよう。
8年前、クリントン政権末期にも、米国務省は駆け込み的に北朝鮮との国交正常化をはかった。いまと全く同じである。そして、結局はその目論見を達成できず、ブッシュにバトンタッチされた。そして、歴史は繰り返されている。
振り返ってみれば、米国は北朝鮮の核カードに翻弄されっぱなしである。
秘密裏に核兵器開発を進めていた北朝鮮は1994年、国際原子力機関(IAEA)の査察で露見した「使用済み核燃料からのプルトニウム抽出」を強行し、IAEAを脱退する動きを見せた。これが国際社会への核による最初の脅しである。
クリントンはこの問題への対応を迫られた。「北朝鮮との枠組み合意」により核兵器開発放棄の見返りに、軽水炉2基の供与と、毎年50万トンの重油提供を約束した。
95年にはこの合意に基づいて、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)を発足、日韓にカネを出させて軽水炉建設を進める体制を整えたが、北朝鮮は約束を破ってウラン濃縮による核開発を続行していた。
つねに核開発というカードで脅しをかけ、核放棄のニセ約束で外国からの援助を引き出す北朝鮮の常套手段を承知しながら、何度も同じような交渉を繰り返してきた米朝の外交関係は不毛としか言いようがない。
アメリカはイラク、アフガン、パキスタンに忙殺され、ロシアとの“新冷戦”にも対応しなければならない。そのうえに、世界恐慌の危機が迫っている。
こうしたなかで、日本政府は多くの自国民が拉致されたテロ事件に対し、何ら有効な対策を打てないまま、米国の「テロ支援国家指定解除」を恨めしげに見つめるのみだ。テロ行為で連れ去られた国民を取り戻すことは、日本政府の責任である。アメリカが自発的に拉致問題解決に動いてくれるはずはない。
北朝鮮のテロによって、人生を奪われた日本人を奪還するため政府は六カ国協議という公式の枠組みだけでなく、情報戦略や関係各国へのロビー活動をより積極的に展開していくことも必要ではないか。
米国の日本無視とも思える北朝鮮政策に対し、「拉致問題が置き去りにされる」と心配する前に、日本は国家の威信をかけ「拉致被害者を取り戻す」と大声を張り上げて宣言すべきであろう。
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「世界は深刻な危機に直面しており、地球規模の対応が求められる」
ブッシュ大統領は、ワシントンに集まったG7、日米欧7カ国の財務相と中央銀行総裁をホワイトハウスに招いて会談したあと、上記の声明を読み上げた。
前日まとまったG7声明は「公的資金注入の必要性で一致した」というだけで、具体性はなく、世界が足並みをそろえて危機の回避に向かっているというイメージを発信することはできなかった。
金融システムの健全性を説き、「対岸の火事」の楽観論を国内に吹き込んできた日本政府も、東証の大暴落や大和生命の破綻などでようやくコトの重大さに気づいたようだが、これから日本に起こる経済危機は「定額減税」や少々のバラマキで乗り切れるような生易しいものとは思えない。
すでに世界規模の信用バブルは崩壊した。米国の不動産神話とローンによる旺盛な消費、それに対する根拠のない妄信を基盤とした金融工学によって、グローバルなマネー経済が膨張し、借金消費大国アメリカへの輸出企業や現地法人は未曾有の大儲けをしてきた。その世界成長モデルは明かに潰えたのである。
日本を代表する企業、トヨタの苦悩がそれを如実に示している。米国での新車販売は9月に前年比32%も減少。この流れを食い止めるため、トヨタは危険な賭けに出た。11月3日まで、11のモデルに対しローン金利0%のキャンペーンを行うというのだ。積みあがった在庫をさばくためのなりふりかまわぬ戦略は、短期的な売上アップの効果があっても、長期的には不良債権の増加につながりかねない。
もちろん、これはトヨタだけの問題ではない。日本の産業を支える自動車メーカーと、それに関わる企業全体がかかえる危機なのである。
日本国内にある下請けの部品工場は、すでに発注の急減少に見舞われ、銀行の貸し渋りにあって、経営難に陥りつつある。町の中小零細工場に受け継がれている日本の高い技術を守っていくことは政府の使命である。
やがて、輸出企業を中心とした収益が落ち込むとともに、雇用不安や消費低落など日本経済に負のスパイラルが起きれば深刻な不況がやってくる。
GMなど米国主要企業の経営悪化にともない、米国が保護貿易政策を強めることがあると、輸出依存の日本経済はますます大変な状況になる。
アメリカは金融機関の不良債権買取や資本注入のために国債を発行して、その購入を日本や中国などに押しつけてくるだろう。ブッシュが「地球規模の対応」を強調するのも、「米経済を支えてくれなければ、あなた方の国の経済も崩壊しますよ」というメッセージではないか。
ロシアは売りが殺到したため株式市場を閉鎖した。アイスランドも、インドネシアも然りである。この動きが他の国のマーケットに広がっていくと、ますます金融市場は追い込まれる。
世界の銀行のデリバティブによる含み損は想像を絶する金額にのぼり、とてもこれを埋める公的資本注入は不可能であるという専門家の指摘もある。
以上、悲観的なことを書いてきたが、不安をあおるつもりはない。日本の直面する現実は、実は甘いものではないことを、われわれはあらかじめ、しっかりと認識しておく必要があると思うのだ。
筆者のような零細小売企業経営者からみると、これまで日本が好況だったというのはウソで、輸出関連を中心とした大企業の利益がGDPを押し上げていたに過ぎない。中小零細企業の多くは不況を耐え忍んで経営を続けている。
これ以上の不況の波が押し寄せてくるとしても、必ずしも悲観する必要はないと、前向きに考えることも必要だ。小売業界では、先行き不安から百貨店の合従連衡が進み、大規模化により生き残りを図っているが、この規模の拡大が正解かどうかはまだわからない。小さな企業や店舗は、小さいがゆえの強みを追求し、小さいがゆえに打ち出せる個性を磨いていけばいいのではないか。
いずれにせよ、世界経済の大変動によって、ビジネスモデルの変革が迫られる時代になる。従来の成功体験や既成概念で経営を続ける限り、大企業といえども安心できないことだけは確かである。
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政治家はどうしても視野が狭くなる。日々、支持者やその紹介で陳情にやってきた人たちと会い、秘書たちが手を回して集めた聴衆の前で講演し、拍手を浴びてうぬぼれる。
そんななかで、聞こえる意見はおよそ世論の大勢とかけ離れている。サイレントマジョリティと乖離し、一部階層や支持団体の声を世論として政策を考えても、結果は悲惨だ。
自民党は赤字国債という借金をさらに積み上げて、緊急経済対策をやるつもりのようだ。もうこれ以上借金を増やさないという誓いもなんのその、支持団体が喜び、選挙で票が集まればいいと思っている。
自民党政調会長、保利耕輔は対策の中身を聞かれ「減税とか公共事業とかが考えられる」とひと昔前の政治家のようなことを平然と言い放った。
麻生総理は10日発売の文芸春秋に「国会の冒頭、堂々と私とわが自民党の政策を小沢代表にぶつけ、その賛否をただしたうえで国民に信を問おうと思う」と書いた論文を寄稿している。
自民党総裁就任直後の9月22日ごろに執筆したものだという。大方の予想通り、麻生は総裁選の盛り上がりに期待して、解散スケジュールを考えていたことがわかる。
ところが、首相就任直後の世論調査がいまひとつパッとしなかったことで、計画が狂い始めた。
あれこれ思案しているうちに、自民党選対が各選挙区状勢を分析した結果が出た。「自公で過半数取れるか微妙」。麻生の迷いは深まった。「自民党の政策を小沢代表にぶつけ、その賛否をただす」つもりの所信表明も、相手にかわされて効果がなく、その後の世論調査で支持率は低落した。
麻生は早期解散にこだわる公明党を尻目に「いまは解散より景気対策」と繰り返す。これに呼応して自民党内は一気にバラマキのための赤字国債増発容認論に傾いてきた。
本来、財政法が発行を禁じているはずの赤字国債を、政府は公債特例法の制定により、毎年発行している。小渕政権時代に景気対策名目の国債を乱発したことが一気に国の借金残高を膨らませたことは周知の通りだ。
この過大な元利払いのため、今に至るまで赤字国債の発行は続いているが、小泉・竹中構造改革以来、赤字国債発行を抑制し、2011年にはプライマリーバランスを黒字化するという「骨太の方針」を政府与党は堅持してきた。
プライマリーバランスの均衡とは、簡単に言えば、借金を新規に増やさないでも、その年の税収などの収入で全ての政策的支出をまかなう財政状態にもっていくということだ。
今になって小泉・竹中路線は何かと批判があるが、少なくとも利益誘導型の公共事業を抑制してきたことは評価できた。それにより利権政治家の力を削ぐ効果も生んだ。
にもかかわらず、公共工事で土木建設業界を潤し、見返りに政治資金と票を獲得するという旧来型の自民党政治が、ここへきて大々的に復活しそうな空気がふんぷんと漂ってきた。この政治の逆行を国民は是とするだろうか。
赤字国債増発という麻薬を打って一時的に元気になっても、それに依存しなければ体がもたなくなる「依存体質経済」にいずれ、陥ってしまうことは目に見えている。
これ以上国の借金を増やして、ますます自由に使える財源を少なくし、増税を繰り返して将来の世代にツケをまわす。こうしたものの考え方がまかり通るのは、戦後さまざまな利権勢力と手を携えて命脈を保ってきた自民党という特殊なムラだけだろう。
自民党幹部からこんな声が聞こえるという。「大盤振る舞いするしかない。財源なんて気にしていられない」(朝日)
もし、麻生首相が「赤字国債増発」という麻薬に手を出したとき、この国の将来への希望が音を立てて崩れそうな気がする。 (敬称略)
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私事で恐縮だが、昨日は夜中に病院に駆け込むはめとなった。不覚にも、自宅の階段で足をとられ、踊り場に倒れこんだ。手に持っていたカップが落ちて水びたしになり、右足の指先が異常にしびれている。指の先が折れ曲がっているように見え、「これは骨折だ」と思い込んだ。
歩こうと思っても、右足に体重がかかると痛くてどうしようもない。仕方なくタクシーを呼び、亡き父の杖を使ってなんとか近くの病院へたどり着いた。生まれて初めて車椅子に座らされて診察室へ向かう。レントゲン検査の結果、骨や靭帯に異常がないことが分かると、痛みはあるものの恐れがなくなって、ゆっくりとなら歩けるようになった。初めての体験にパニクっていたのだろう。
そこで、金融パニックの話である。1929年の世界恐慌を体験した経済・金融専門家はほとんど現存していない。いま生きている人類が初めて経験するといってもいい連鎖的な金融危機の状況を、メディアを通じてわれわれは目撃している。不安が不安を呼び、売りが売りを呼ぶ。東証の株価が一日で952円も下落するという狼狽ぶりがそれをあらわしている。
何が起こっているのか、何が起こるのかがわからない。コトの実態、問題の本質をつかみ、どうすれば金融システムが受けた傷が治るかの確固たる処方箋が示されない限り、人々の不安はぬぐえず、負の連鎖は続く。
この金融危機の実態を見るうえで重要なことは、ドルの基軸通貨体制を脅かす存在であったユーロが深刻な打撃を受けたことだろう。EUは経済通貨の統合をめざしていながら、共通の「金融救済基金」の創設にも足並みが揃わず、自国の金融機関救済に躍起になっている。こんな時に、他国のことまでかまっていられない、という感じだ。
そんななか、ユーロやポンドに対してドルが上昇を続けている。米国を震源地として起きたヨーロッパの信用不安は、皮肉なことに資金を米国債にシフトさせた。もちろん、比較的金融システムの安定性を保っている日本の円を買う動きも目立つ。
イラク戦争は、サダム・フセインが「石油代金をユーロで受け取る」と宣言したためアメリカが起こした戦争だという説がある。米国が世界の覇権を握り続けるための根幹が、ドルで貿易決済をする仕組みである。その意味では、ユーロの弱体化は米国の望むところではないか。
それにしても、アメリカのサブプライムローン債権の混じった詐欺的な証券が世界中にばらまかれ、各国の金融機関と通貨への信用を揺るがせて世界的危機をつくり出し、結局「有事のドル」へと回帰させているという現実をどう解釈すればよいのだろう。
まさか、どこかの陰謀論者が言うように、米国のFRBや外交問題評議会などを牛耳っている一部の大金融資本家グループが、世界恐慌をつくり出し、新たな世界支配のシステムを構築しようとしているということはないのだろうが、そんな疑いさえも抱かせる異常事態ではある。
さて、わが日本の麻生総理は福田前首相より数段、運が強いお方かもしれない。不景気風と東証の株価暴落のショックを利用し、「解散より経済対策」の姿勢を強めて、国民の支持を拡大するという戦略は、見え透いてはいるが一定の効果があるだろう。
遠ざかっていく解散時期。早く意思を示したいと手ぐすね引いて待っているわれわれ有権者はイライラがつのる。一般国民が政治に参加できる唯一の機会が選挙である。その点も麻生首相には忘れてほしくない。
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物質の最小単位「素粒子」まで突き詰めてこそ、大宇宙の謎に迫ることができる。ノーベル賞受賞が決まった日本の三人の物理学者は、知的好奇心のおもむくまま頭脳を働かせ続け、物の根源を解き明かした。
科学の哲人たちに政治が学ぶべきことはないのだろうか。本質を追求せよといくら力説してみても、政治家は孤高を恐れ、徒党を組む。自他を問わずさまざまな欲望の渦の中で、脳の働くヒマもない超多忙なセンセイたちにつける良知の薬は今のところなさそうだ。
さて、衆院予算委の二日目は、これからの道路建設について麻生首相がどう考えているかをうかがい知ることのできるやり取りがあった。
今年5月13日、福田政権は「平成21年度から道路特定財源を廃止し、一般財源化したうえで、必要な道路は整備する」と閣議決定した。何にでも使える財源にするが「必要な道路はつくる」というのがクセモノで、下手をすれば、名前が変わるだけとなる。「必要な道路」の判断基準は明確ではなく、過大な要求を続ける国交省や道路族議員に対する官邸の考えや対応しだいでどうにでもなる。
したがって、「必要と判断する」道路をどれくらい減らすつもりなのか、麻生首相はざっくりとしたイメージくらい提示するべきだろう。それが総選挙をひかえた国民にとって、投票の判断材料の一つになる。
民主党の前原誠司がその点を追及した。国交省の21年度予算の概算要求は、20年度当初予算の1.11倍の3兆904億円を計上している。
前原 「一般財源化して少子化や環境対策、医療、福祉などに予算を大幅に振り向けるのかと思ったら、国交省はそのほとんどを道路に要求している。どういうことか」
麻生 「概算基準に従って要求官庁が要求したに過ぎないので、今から12月にかけての予算編成の過程で中川大臣なり金子大臣のところで査定されるべきものだ」
前原 「道路予算をどれくらい削るのか、総理の決意を聞きたい」
麻生 「どれくらいかと額まで今の段階でいえるほどこの問題について知識があるわけではない。細目は財務大臣に聞いてもらったほうが正確だ」
前原 「人口減少、少子高齢化が進むなかで、革命的な予算の組み換えをやっていかねばならないときだ。総理として半分に減らすのか3分の1にするのか、このままでいいのか、大きな方向の話を聞きたい」
麻生 「予算編成権は内閣にあります。それを第一にきちんと頭に入れて置いていただいたい。どのような査定をするかというのは予算編成権を持っている政府で決めさせていただく」
前原 「あきれた答弁だ。さらっといわれること自体、麻生さんの問題意識が低すぎる」
麻生 「問題をよく理解しているからさらっと言えるんだと私自身はそう思っていますけどねえ。ごじゃごじゃごじゃごじゃ悩んでいませんから」
以上の質疑が物語るのは、麻生首相がリーダーシップを発揮して道路予算を削り、福祉や医療などにまわす、という考えをほとんど持っていないということだ。
ローマ帝国は道をつくりすぎて滅亡したといわれる。東大名誉教授、小林一輔氏は、著書「コンクリートの文明誌」で「人類史上初めてコンクリートの巨大建造物を手がけたのはローマ人だったが、造りすぎに伴う膨大な管理費用によって財政は破綻した」と書いている。その主なものは道路で、東大名誉教授、弓削達氏(故人)によると、アッピア街道を手始めに372本、85,000kmにおよぶ幹線道路を建設したという。
道路は建設されて10年もすれば修理が必要になる。道路や橋や施設を建造し続けると、次から次へと膨大な修理代を必要とし、さらに国家財政を圧迫して、国民の命に関わる食料や医療、福祉におカネがまわらなくなるだろう。今でも、全国の道路を維持管理するのに2兆円以上を要しているのだ。
道路やハコモノ建設の予算を大幅に他の分野に振り分け、土木工事に従事していた人々が、これからの成長産業になるべき農業、医療、介護などの分野に進出できる仕組みをつくっていく。そういうビジョンを麻生首相が示してくれたら、この国の将来に多少なりとも安心感が持てるだろう。 (敬称略)
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史上最悪の国会論戦ではなかっただろうか。6日の衆院予算委。国民の代表としてのプライドと品位をかなぐり捨て、国会を選挙運動の場に変えた議員の姿は醜悪としか言いようがない。
この日質問に立ったのは、自民党4人、公明党3人、民主党1人だ。トップバッターの自民党、保利耕輔が「内閣総理大臣にご指名になられた麻生総理大臣」と二度ほど繰り返して、元文部大臣の国語力のなさを露呈したのはご愛嬌だったが、続く園田博之、葉梨康弘はあからさまな選挙キャンペーンを繰り広げた。
本来、予算委員会は提出された補正予算案に関連して政府に質問すべき場である。ところが、彼らはパネルを提示して、ひたすら民主党の政策批判に時間を費やした。民主党はこれに反論する機会を委員会で与えられていない。
自民党の考え方はこういうことだろう。つまり、委員会を来るべき選挙と関連づけた場合、ふだん通りの質疑であれば、思う存分政府与党を批判、追及できる野党が圧倒的有利となる。自民党がこれに対抗するには、政府への質問をする体裁をとりながら、質問者全員がターゲットとする民主党批判を繰り返せばいい。政府は反論できるが、民主党はヤジることしかできないのだ。
この作戦は山本拓が登場するまでは功を奏したかに見えた。民主党は明かに劣勢に立たされていた。葉梨が、ヤミ専従を社保庁問題に絡め「労組の既得権益を守る政党に改革はできない」とぶち上げていたころ、自民党の攻勢は最高潮に達していた。
ところが、続く山本拓の第一声で、場内の空気はとたんにシラけムードに入れ替わり、麻生首相に困惑した表情が浮かんだ。
山本 「冒頭、地元の鯖江青年会議所の大橋良史理事長から“麻生総理がんばってください”というメッセージを預かってきていますのでお伝えいたします」
この日、世界は同時株安におののき、世界恐慌への恐怖と緊張が高まっていた。そのとき、わが国の国会で、きわめて個人的な挨拶が貴重な論戦の時間を使っておこなわれたのである。
麻生首相はかつての日本青年会議所会頭。山本拓は福井の元鯖江青年会議所理事長である。“青年会議所つながり”をあからさまにした馴れ合いの質疑に誰が興味を持つだろうか。
山本はさらに続ける。「総理に質問を頼まれています。地元の多くの人の意見を集約してここへ持ってきました。(中略)地元の青年会議所とかいろいろな青年会議所や商工会が実際に質問してほしいという素朴な疑問です」
この御仁は、地元青年会議所と商工会のメッセンジャーなのか。それを高らかに公言する愚鈍な正直さには、もはや軽蔑を通り越し、尊敬の念さえ覚える。ただし、これ以上この人の発言内容を書くことは情けなく、耐えられない。
国会は選挙モード一色だ。この現実から目を背け、「選挙をしている場合だろうか」と言っても、いまのままで国民の期待に沿える政治などできるはずがない。これこそ「政治空白」だ。
麻生首相は一刻も早く衆院を解散して国民の意思を問い、国政を正常化すべきではないか。つまらぬ損得勘定はかえって事態を深刻にするだけだ。 (敬称略)
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「ブームは未来永劫続くものではない」。東国原英夫は先日の宮崎県議会で、そう語った。
知事就任以来続けてきた特産品のトップセールスやメディアへの出演について、将来、必ず限界が訪れるということだろう。
お笑いタレントという人気稼業で何度も挫折を繰り返しただけに、テレビというメディアの効能と冷酷さを知り尽くしている。
「そのまんま東」から「東国原英夫」への鮮やかな変身が、思いのほか人の心をつかんだ。妻に去られた哀れな男が、中年からの学問の成果を引っさげて地方政界にデビューし、知事として熱烈な県民の支持を得た。
この成功物語に多くの人が拍手を送ったのも当然だが、東国原が「宮崎のセールス」活動以外に、県政に何をもたらしたかとなると、よくは知られていないのではないか。
県議会で、無所属の議員が「ブームの中で、財政は悪化し将来への戦略が見えない。知事はマニフェスト達成度を“概ね順調”というが、私だったらもっと厳しく評価する」と指摘したのに対し、東国原が発した言葉は険しいものだった。
「私だったら、と言うならば、そういう立場におなりになったらどうですか」
一瞬、議場が凍りついた。「知事になれない者が偉そうに言うな」という意味に受け取った議員も多かったかもしれない。宮崎を全国に売り込むため孤軍奮闘している知事の一時的な苛立ちに過ぎないと思った人もいるだろう。
人のサガとはいえ、卓抜した能力ある人が謙遜を保つのは難しい。
議長が「議会の品位を落とすような発言を控えるように」と注意し、知事も謝ったために、大事には至らなかったが、危険な兆候には違いない。
この出来事があって約1週間後に東国原の運命を変えるかもしれない電話が東京からあった。宮崎1区から衆院選に立候補しないかという話だった。
毎週末になると上京していた東国原がかねてから国政に強い関心を持っていたことはテレビでの言動で多くの国民が感じていたことだろう。失言問題による中山前国交相の突然の引退で訪れた千載一遇のチャンスに彼の心は揺れ動いた。
党選対副委員長、菅義偉のような実力者に、「自民党から立候補していただければ、こんなに心強い候補者はいない」と持ち上げられたら、心が動くのも人情だ。
東国原は「現時点では考えていない」と常套句で内心を包んでいるが、「県民の声があるなら考える」とも語って、国政への意欲をのぞかせている。
問題はこれまで熱烈に応援してくれた宮崎県民がどう感じるかだ。焦って判断を誤ると、県民の反発を招き元も子もなくなる恐れもある。
5日の西日本新聞に、東国原出馬を心配する数人の県民の声が紹介された。
「宮崎的に痛い。せっかく宮崎が活性化しつつあるのに」 「知事になったのは、国政に出るためのステップだったのかと受け止められる。ここは踏みとどまるべきだ」 「もし出馬したら県政が大きく混乱する。宮崎県民も、捨てられたと思うのでは」
いずれも「さもありなん」と思わせる意見である。県民の東国原への期待が痛いほど伝わってくる。
しかし、政治を志す者は、叶うなら一度は国会にチャレンジしたい夢があるのではないか。東国原も例外ではないだろう。故郷・宮崎への想いはあっても、それはそれだ。
彼にとってここは思案のしどころである。チャンスは危険と背中合わせだ。「宮崎の東国原」であればこその人気かもしれない。国政では、自民党のモサたちのなかに埋没してしまうことはないだろうか。先輩たちを差し置いてテレビにどんどん出られるだろうか。
宮崎ブームを生んだことは功績である。知事がいなくても宮崎の特産品等の情報発信ができるよう観光交流推進局に「アピール課」をつくった試みも評価できる。
ただ、それが持続可能性のある仕組みに昇華されているかというと甚だ疑問だ。現実には東国原知事の存在がなければどうにもならないだろう。
まだ知事に就任して2年にもならないのである。少なくとも4年の任期は全うしてほしいと県民は願うのではないか。「ブームは未来永劫続くものではない」としっかり認識している知事が、地に足をつけて県政を進めていく考えがないとは思えない。
むろん「ブームの続いているうちに国政へ」とはやる心を抑えるのは並大抵ではないことくらい、承知のうえだ。かつて参院議員から大阪府知事になり、逆に“お山の大将”になってセクハラ行為で自滅したタレント政治家がいたことを考えると、国会で鍛えられるのも東国原にとってはあながち悪いとはいえない。
それでもなお、ここは宮崎にこだわってほしい。国政へのチャンスを逃したくない気持ちはよく分かるが、宮崎のために徹底して尽くしきることが、自己アピールに精を出さずとも真に尊敬される政治家になる道かもしれない。国政への進出はそれからで十分だろう。 (敬称略)
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小沢民主党は解散へアクセルを踏み込んでいる。対する麻生自民党は「負けるかもしれない」とみて、経済危機を大義名分に解散先送りでかわそうとする。
しかし、ほとんど全ての議員の心は選挙区に飛び、国会にはない。すでに選挙モード全開である。負けることを心配する議員は来年の任期切れまでやりたいと思いつつも、臨戦態勢をとらざるをえない。勝てると自信をみなぎらせる者は一刻も早く戦いたいとはやる。
すでに選挙資金はどんどん陣営のフトコロからあふれ出て、解散がいつになるか選対責任者らに苛立ちがつのる。
当然、政界の視線は解散権を握る麻生首相の動静に集中している。もちろん、伝家の宝刀はチラリとも見せはしない。
「補正予算はもちろん成立させにゃいかんが、消費者庁やインド洋給油法案もあるからね…」
野党の焦りを見透かしたようにジラしにかかるところが麻生の小憎らしいところだが、内心はその不敵な表情ほど穏やかではないはずだ。さすがの麻生も、小泉純一郎ほどのナルシストではない。
小泉は「解散をちらつかせながら任期いっぱいまでやったら民主党は資金が底をつく」と言うが、任期いっぱいまで麻生が人気を保てる保証は全くないのだ。
小泉はテレビ画面の魔術師といえる特殊な能力があり、いわばサビを心得た演歌歌手のような国民への語りかけができる。麻生はというと、声だけは浪曲師のようだが、テレビのフレームにおさめるより、街頭演説で力を発揮できるタイプだろう。
「任期を全うせよ」というのは「詐欺師」顔負けの大芝居を時に応じて打てる小泉のような政治家にして言えることであり、誰しもができることではない。
それに、麻生政権誕生に一役買った公明党が一貫して早期解散を迫っている。背景にはこのブログで繰り返し書いている創価学会問題がある。
民主党はいったん引っ込めていた元公明党委員長、矢野絢也の国会招致を再度、公明党に突きつけてきた。昨日のテレビ番組で、小沢代表は「政治と宗教、憲法上の問題は大きな焦点だ。参院で判断する」と、期間があれば国会招致の可能性が強まることを示唆し、解散先送りを牽制した。
参院本会議代表質問で民主党参院議員会長、輿石東も「税法上優遇されている宗教法人が選挙対策の中心拠点となって、政党以上の選挙を行っている」と公明・創価学会の選挙活動を暗に批判し、公明党を揺さぶった。
公明党は当然、麻生首相の尻をたたく。それでも麻生首相は公明党が納得するギリギリまで解散を延ばし、民主党の敵失を待つ作戦だ。おそらく民主党議員のスキャンダル探しの密命を帯びた人間が徘徊しているに違いない。
時間の制約を意識しつつ、麻生首相は精力的にさまざまな作戦を繰り広げる。福田前首相と違い、前線の指揮官のように次々と攻撃を仕掛けている。衆院本会議で細田幹事長とともに見せた徹底した小沢批判はその一つ。
その一方で、6日からの衆院予算委員会に向けて、民主党など野党の資料収集活動を封じ込める行動に出た。全省庁に「野党からの資料請求があれば事前に自民党に提示せよ」と、党国対委員会名で要請したのだ。野党が「事前検閲だ」と批判の声を上げるのも当然だろう。
「各省庁の事務負担軽減のためのルール作りを目的とした実態把握」という理由付けをして、村田吉隆国対副委員長が山積みの資料をかかえてテレビ画面に現れるという念の入れようだが、見え透いた浅知恵と思われても仕方がない。
いずれにせよ、制約された期間のなかで、麻生首相は標的となるタイミングを虎視眈々と狙っている。“政界スナイパー”、麻生太郎の不敵な面構えと眼光に凄みが増している。 (敬称略)
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今朝の日経新聞のコラム「春秋」は「配役が入れ替わった党首の国会論戦は案の定かみ合わず」と書いているが、筆者には形だけのありきたりな質疑より、よほど刺激的に思えた。
所信表明で意表をついた麻生総理。小沢民主党代表への質問攻めは、邪道ではあるが一つのアイデアでもあった。
その挑発に乗って同じ土俵に上がるのを避けた小沢一郎。代表質問を所信表明に変え、“横綱相撲”をとる作戦に出た。
これも邪道ではあるが、奇襲への対応としてはもっともなアイデアだ。
小沢はまるで総理のように自らの所信を衆院本会議の場で謳いあげることができ、さぞ本望だったろう。
「麻生総理の所信表明には明確なビジョンが全く示されなかった。総理が野党に質問するのは初めての経験だ。せっかくだから所信を申し上げることで、総理の質問への答弁といたします」
このように原稿を読み始めた小沢は、小泉純一郎流に総選挙のテーマを独断で規定した。
「近くおこなわれる選挙は、官僚にまかせっきりで莫大な税金を無駄遣いする自民党政治を継続させるのか、それとも大なたをふるい無駄遣いを徹底的になくして国民生活を治すことに税金を振り向ける民主党政治に転換するのかを国民に選択してもらう選挙であります」
演壇に顔を向けたまま微笑をたたえ、喉を痛めた小沢のしゃがれた声を聞いていた麻生の表情は、その演説が終わるころには険しい色に変わっていた。
最後まで小沢は民主党の公約や財源の裏づけをとうとうと述べ続けた。挑戦する野党党首の鎧を脱ぎ捨て、首相の質問を徹底して無視する小沢の姿がそこにあった。
「政治とは生活だ。政治とは意思だ。国民が決意をすれば政治を変えられる。日本国民が力を合わせればどのような困難も乗り越えられる」
これは宰相が発すべき言葉だ。小沢は麻生の奇策を逆手にとり、「オザワドクトリン」を国民に示した。
麻生は憤然たる顔つきで答弁の壇上に向かった。水でノドを潤し一呼吸おいて、こう切り出した。
「二代続けて首相が任期半ばで辞任し国民にご迷惑をおかけしたことはお詫びする。しかし、それは自民党が政権担当能力を失ったということではない。日本の未来に責任をもてるのは自民党であると信じている」
そして、昨年の大連立の話を持ち出し「あのとき小沢代表は民主党に政権担当能力がないことを自ら認めた記憶があります」とたたみかけた。
さらに「小沢代表が所信を述べることで私の質問への答えとしたのは残念だ。補正予算、消費者庁法案、インド洋給油活動継続への賛否に何一つ答えておられない」と批判した。
麻生首相が逆に挑戦的な鎧兜に身を包み、舌鋒を民主党攻撃に向けている。テレビ画面に安倍晋三、福田康夫の顔が映し出される。なんともいえない複雑な表情だ。
トップが攻撃的なら番頭は物腰が柔らかいものだが、細田博之幹事長はどうしてしまったのか。自分の代表質問がはじまったとたん、小沢が議場の外に出たのでプッツン切れてしまったようだ。予定の原稿を読むのをやめ、いきなり過去の政治経歴を持ち出して小沢攻撃を始めた。
「小沢さんの強引な政治のイメージが、麻生総理との人気の差だ。かつて小沢さんとともに脱党して、自民党に戻っている人がもう小沢政治はこりごりだと言っている」
小沢がいないときに、こんな話をするようでは、恐い動物に遠くから吠え立てる子犬みたいなものだ。小沢に向かって正々堂々とやればいい。10分後には小沢は自席に戻っていたのだ。
まるで自民党が束になって小沢にかかっていっているような印象になってしまうではないか。それほどの強敵なのか、小沢という人物は。彼が議場を出たときの自民党議員の騒ぎぶりは、過剰な反小沢意識のあらわれである。
自民党は負けたわけではないのだ。これでは、最初から負けるつもりなのかと思わせる。「負けるのではないか」という強迫観念があの磐石を誇った大自民党を揺るがせ、かえって自らを追い込んでいる。
先述のコラム「春秋」に、「本当の危機は現実への過剰な適応から始まる」との記述がある。目前の難事に心血を注ぐと先行き、持続可能性を見失いやすという意味だ。
自民党の古賀選対委員長がひそかに各選挙区を調査した結果、今すぐ総選挙に突入したら自公で過半数を取れるかどうか危ぶまれる状況だという。
だからと言って、自民党が焦って「小沢憎し」を印象づけるような低レベルの攻撃を仕掛けていては、それこそ先行きの持続可能性が懸念される。
この日最後の代表質問に立った民主党幹事長、鳩山由紀夫は「国民の皆さん」という呼びかけから演説をスタートし、「国民の皆さん、ご静聴ありがとうございました」で締めくくった。
ここにも、小沢民主をターゲットにした麻生首相の所信表明への痛烈な批判が隠されている。自分たち民主党は国民とともに歩む。国民に呼びかける。その点を強調し、麻生自民党の「反小沢合唱」をかわそうとしているのだ。
聡明な麻生総理のこと、そのくらいのことは先刻承知であろう。一刻も早く、総理としての胆力と大きな器を示し、自らの政治哲学と国家のビジョンを国民に語っていただきたい。 (敬称略)
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自民党は麻生首相を勇敢なヒーローに仕立て上げるため、メディア戦略に涙ぐましい努力をしているのだろうか。
それとも、首相は選挙の勝敗を度外視し、自らの信念に従って国の危機を救おうとしているつもりなのだろうか。
今朝の産経新聞には、まるで歌舞伎のようなドラマが描かれてる。筆者なりの要約をするとこんな感じだ。
自公両党の幹部は中山成彬前国交相の失言もあり、衆院予算委で首相が火だるまにならないよう、代表質問後の「10月3日解散」でほぼまとまっていた。
ところが、麻生首相は「野党の追及を恐れて首相が務まるか」と啖呵を切り、補正予算などの審議入りにこだわった。
自民党の大島国対委員長や、公明党の北側幹事長が必死になって首相を押しとどめようとしたが、首相は頑として聞かない。
「予算委員会は政府・与党の主張を正々堂々と訴えるチャンスじゃないか」。
歌舞伎役者ならこのセリフで大見得を切り、「麻生屋」とでも声がかかりそうな場面である。
世界の金融不安が高まるなか、景気対策もしないで総選挙をしている場合ではない。麻生に呼応するように、そんな声が自民党内でしだいに大きくなっていく。
朝日新聞も「麻生首相が与党内の反対を押し切り補正予算の審議入りを決めた」という、産経と同じような趣旨の記事を掲載した。
東京新聞は「審議に入る方針を決めたのは、衆院選で勝利するために、疲弊した地方経済のテコ入れが不可欠と考えている麻生首相の強い意向を受けたものだ」と書いた。
ところで、政務担当の内閣官房副長官は麻生派の松本純、鴻池祥肇という両側近だ。事務方の副長官はなぜか警察官僚の漆間巌で、政治向きのことにはいささか疎い。
官房長官、河村建夫は伊吹派で、実力者といえるほどではなく、むしろ麻生の個性を引き立てる役割が期待されている。本来、官房副長官は官房長官の補佐役だが、麻生内閣の場合は首相と直結していると考えたほうがいいだろう。
したがって、現下の政局における麻生の信頼すべき参謀は鴻池と松本、この二人に尽きる。
とくに鴻池はそのざっくばらんな人柄から、記者の受けも悪くない。時に分かりにくいこともある「麻生節」の解説を買って出るには格好の人物だ。記者クラブの連中へのオフレコ発言は得意中の得意だろう。
今の自民党は全員が黒子に徹し、“オトコ麻生”を浮かび上がらせて、暗い気質の抜け切らない小沢一郎との対比を鮮明にするという暗黙の了解が広がっているように見える。
そういう“戦術”をより効果的にするスポークスマンとして、鴻池あたりが一役買っていそうだ。
自民党側の意を受けて、早期解散にこだわった公明党もやや譲歩し、どうやら10月3日解散はなくなった。ただ、11月2日か9日の投開票という方針は変わっていないという。
麻生首相は昨晩、赤坂のホテルで鴻池、松本、両官房副長官と日本料理を楽しんだあと、ホテル内のバーで2時間近くにわたり“作戦会議”を開いている。
衆院予算委員会の審議で、麻生首相が鴻池らの期待に応えて大向こうをうならせる答弁ができるのか、それとも守勢にまわり、失言まで飛び出してボコボコにされるのか。問題山積で、野党の追及材料にコト欠かない状況だけに、漫画のヒーローのようにいかないことだけは確かである。 (敬称略)
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「ドル市場の流動性はほぼ枯渇した」。日銀の白川総裁が29日深夜の緊急会議のあとに語った言葉は世界を覆うマネークライシスの深刻さを物語った。
日米欧の中央銀行10行が米連邦準備理事会(FRB)からドルを調達し、自国に供給する額を大幅に増やすことになった。
そうでもしなければ、ドル資金の血流がストップし、金融システムが壊死するということだ。
米国では最大7000億ドル(約75兆円)の公的資金を不良資産買い上げに注ぎこむという、米自由主義経済の原則に反する窮余の一策「金融安定化法案」が下院で否決された。
背景には「なぜ税金でウォール街の金持ちを助けるんだ」という国民の反発がある。怪しげな金融商品でしこたま儲けてきた連中が滅びるのは自業自得ではないのか。そのツケをどうしてまわされなくてはいけないのだ。そういう一般大衆の気持ちに下院が逆らうことはできなかった。
米国の短期金融市場はすでに崩壊同然の状態だという。株式市場は底なしの下落が続き、大恐慌前夜の空気が広がっている。恐慌は経済理論の範疇を超えた、極めて心理的なものだ。不安の連鎖が取り付け騒ぎに発展すれば、預金量の10%もない準備金では顧客への払い戻しに対応のしようがない。
銀行どうしが互いに信用できないのが今のアメリカの実態だ。ドル資金枯渇の影響は、産業全体におよび、資金繰り悪化による黒字倒産が続出する。
これを書いている30日午前9時47分における日経平均株価は前日比552円安の1万1191円だ。米経済の悪化が、日本経済の先行きに大きな不安を投げかけている証拠である。
日本でも、上場不動産関連企業が相次いで破綻しているが、これはサブプライム危機により不動産価格の下落が続き、金融機関からの融資枠が絞られたためだ。日本でも資金繰り倒産の連鎖がすでに始まっている。
不動産業だけではない。さまざまな業種で倒産が急増している。顧客が多額の料金を先払いする業種では、顧客の受ける被害が甚大だ。
先週金曜日の午後、大阪梅田の著名なビルにある海外留学仲介大手「ゲートウエイ21」で騒ぎが起こった。
通路にまで大きな声が響いていた。「これでは詐欺じゃないか、カネを返せ」。12億9000万円の負債をかかえ破産申し立てをするというウワサを聞きつけ、すでに前払いしていた留学予定者が返金を求めるためにやってきたのだ。
その日の午前中まで、平常どおり留学前の英会話授業がおこなわれていた。午後からの異変はあっという間に、受講生に広がった。コースによって料金は違うが、なかには300万円を前払いしたばかりだという人もいる。
破産申し立てにより、前払い金の総額9億5000万円が返還されない恐れが出てきた。留学に将来の夢を託していた若者も多い。「人生設計を狂わされた」などという悲憤慷慨の声を今朝の朝刊各紙は伝えている。
さて、昨日、わが国会では麻生首相の所信表明演説がおこなわれた。日本はこの世界的な金融危機にどう対処するのか。注意深く耳を傾けた。
日本経済の立て直しについて3段階で臨むとし、当面の景気対策に言及した。その中身は次のようなものだ。
まず「政府・与党には安心安全のための緊急総合対策があります」と述べ、その内容を「農林水産業、中小零細企業、雇用や医療に不安を感じる人々に安心をもたらす」と説明した。そのあと、公明党が強く提案した「定額減税」の実施を具体的に明言した。
金融危機に関しては「米国経済と国際金融市場の行方から目を離さず、実体経済への影響を見定め、必要に応じ、さらなる対応も弾力的におこなう」という考えを表明したが、たったこれだけである。
結局、麻生首相の具体的な経済対策は「定額減税」だけがはっきり見えたが、景気対策を盛り込んだ補正予算の柱となる内容やそのネライについての説明はなかった。
そればかりか、いきなり「民主党に要請します。緊急総合対策実施の裏づけとなる補正予算の成立こそは焦眉の急であります。のめない点があるなら代表質問でお示しいただきたい」ときた。
そもそも所信表明演説は国民に向かい、政策のビジョンを示すものである。この日、国会に提出されたばかりの補正予算の中身は、一般国民にまだ公開されていない。ならば、その予算の骨格をまず国民に説明することに心を砕くべきである。
その最も大事な表明を省いたまま、民主党の代表質問に言及するのは、「国会村」の内向きのやりとりであり、首相の心に物言わぬ大多数の国民が存在しているとは思えない。
麻生首相の「代表質問的所信表明」に対し、民主党の小沢代表は「所信表明的代表質問」で自らの考えを述べるという。どちらがより具体的に日本の危機を救う内容なのか、よく吟味しなければならない。
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「大臣として失格」「よく言ってくれた」。賛否の入り混じるなかで、中山成彬が国交相を辞任し、政局はいよいよ風雲急を告げている。
日教組の一部強硬派が教育を政治利用している側面は否定できず、中山の発言に喝采を送る向きがあることもうなずけないことはない。
ただ、中山に知恵が欠けていることも事実だ。国交相の記者会見で、聞かれてもいないのに日教組を持ち出してどうするつもりだったのか。
成田闘争はごね得であり、戦後教育が悪かった。その元凶は道徳教育に反対している日教組だ―。どうやら、そのような理屈で成田空港問題と日教組が結びついたようだが、短絡的な論理という批判は甘んじて受けなければならない。
日教組を問題にするのなら、文科相時代に大いにやってほしかった。国交相の発言としては大きな違和感を感じる。
総選挙を前にしたこの時点で、日教組の政治団体「日政連」から8人の国会議員を送り込んでいる民主党を明かに攻撃する発言は、就任直後の公式な記者会見の場においては、いささか大臣としての品格を欠くものだったといえる。
ただ、文科相時代に中山が日教組問題に黙っていたわけではない。平成17年07月20日衆院文部科学委員会で、中山文科相に、自民党同派閥の佐藤錬議員が質問した。いわば出来レースの質疑である。
佐藤 「日教組に対する御見解を伺っておきたい。(中略)偏向教育を特徴づける教育の内容は、反日自虐教育を初め、共産主義、社会主義礼賛教育、ゆとり教育、ジェンダーフリー教育、異常な性教育、反自衛隊、反安保教育などであります」
中山 「佐藤委員がお話しなさったようなことがあったということも事実だろう、このように思うわけでございまして、そのことが今日のさまざまな場面におけるいろいろな問題となって出てきていることもあるのではないか、このように考えているわけでございます」
以上のように、佐藤に中山が同意する形で、二人三脚の日教組批判を繰り広げた。
ところが中山はこのとき「平成七年でございますか、日教組も運動方針を転換いたしまして、それからは参加、提言、改革ということを掲げまして、かなり現実路線といいますか・・・」と日教組に配慮した言い回しもしている。
これは村山内閣時代、文部省と日教組が歩み寄り、日教組が日の丸・君が代闘争を棚上げし、対決から対話路線に方針転換したことを指している。
実はこの転換が組織内の対立を生み、現在の日教組の問題をより複雑にしている面もある。
中山は日教組の方針転換にふれたあと、「一部におきましてはまだまだ本当にひどい教育もなされているということを考えるわけでございます」とも述べている。
教育は社会全体の問題であり、一部の組織だけの責任に帰するのは間違いだろう。しかし、例えば「男女の性差」という自然の摂理を無視した、無理な平等意識は、この国のかたちと美風を少しずつ破壊しつつあるように思えてならない。
命と平和の大切さと同時に、公の精神、人に対する尊敬と感謝、そして個性の違いや男女の性差を認め尊重しあう心を育てるために、どのような教育のあり方がのぞましいのか。今後、国民全体でしっかりと考えていく必要があろう。
中山の稚拙な言動が本来の教育論議に水をささないよう祈るばかりである。(敬称略)
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