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2007年4月30日 (月)

団十郎を招いたガルニエ

「無間地獄から生還」した市川団十郎はパリ・オペラ座(ガルニエ)でお家芸の「勧進帳を」演じた。

白血病を克服しての大舞台。ルドルフ・ヌレエフが数々の名演を繰り広げたネオ・バロック様式の劇場は、三色の幕が開くと同時に、東西の伝統美が融合した異次元空間となった。

「ゆったりした動きと激しい感情表現。本当にすばらしい」

大成功に終わったこの公演を企画したのはオペラ座バレエ団のブリジット・ルフェーブル芸術監督だ。興奮気味に語るこの芸術家には何が見えていたのだろうか。
役者の派手な衣装や顔の隈取り、まるで浮世絵を見るような光景、不思議な節回しから紡ぎだされるポエムのような台詞。月並みに言えばそんなところだろう。
しかし、芸術家はもっと哲学的だ。

「伝統様式の中に、今この瞬間にしかない美しさが融合している。それはバレエも同じだよ」。

日々のレッスンによって習得される技や、様式、規則・・・そうしたものを守りながらも、生きた人間からその瞬間瞬間に立ちのぼる説明のつかない美しさこそが舞台芸術の本質ではなかろうか。

フランスと日本の美意識は互いに共鳴しあってきた。19世紀半ばのジャポニズムのきっかけとなった浮世絵はゴッホやモネ、ロートレックなど多くの芸術家に影響を与え、ヌーベルバーグといわれる革新的な映画作品は日本人を魅了した。

おりしも、フランスは大統領選挙の真っ只中である。万葉集を読み、日本美術を収集し、大相撲のファンでもあるシラク大統領が引退するのは残念だが、サルコジ氏、ロワイヤル氏のいずれがその座に就こうとも、決して日本との文化交流を衰退させないでいただきたい。

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コメント

フランス語はさっぱりですが、NHKのテレビで見た団十郎がオペラ座でやったフランス語の口上は媚びたところがなくなかなか堂々としたものでした。

見得も睨みも言葉を超えたものですし、勝者と敗者、明示と黙示、侍世界の忠誠と惻隠も、いきなり近代から始まった米国と違って長く暗い中世を経てきた欧州人には分かりやすいだろうと思われます。

文化文明には支配階級から降りてくるお下がりものと被支配階級から上がってくる成り上がりものの二通りがありますが、総じて日本文化は成り上がりの方が卓越的で、江戸時代からきちんと生き延びている歌舞伎と現代ヨーロッパを席巻している回転すしの生もの文明とは大衆という坩堝から派生した同根のものです。

ポンヌフでの団十郎とトロの対話:
いくらだい、、、100円だよ、、安いねえ、、安いよ、
歌舞伎ももっと安くしろよ、、さいなら、、さらばじゃ。

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