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2007年5月27日 (日)

ゴードン・ブラウン Change

「ゴードン・ブラウン、軍をイラクから引き揚げて」。労働党の集会で演説を始めようとしたとき、イラク戦争に抗議する市民グループの中から、一人の女性が大声で叫び、それをきっかけに会場は混乱した。

ブレア氏の後を継いで英労働党の党首となり、首相の座に就くことが確実になったゴードン・ブラウン財務相。これまでブレアの背に隠れ、イラク戦争への抗議の風圧をさほど受けずにきたが、トップの栄誉と引き換えに真正面からの激風にさらされることになった。

彼には二つの難題が待ち構えている。

一つは、イラク問題に関してどういう立場を選択するのか。ノーベル平和賞を受賞したカーター元大統領はブッシュ氏を「史上最悪の大統領」と酷評し、ブレア首相については「ブッシュ大統領の言いなりになり、世界に大きな悲劇をもたらした」と批判した。

米大統領に最も影響力があるのは英国の首相だといわれる。「ブッシュと距離を置くのでは」という見方もある中、ブラウンは現下の世界政治における最大のキーマンといえるだろう。
 
もう一つは、清新さが売り物の若手政治家、デービッド・キャメロン氏率いる保守党に総選挙で勝てるのかという、問題である。現状では保守党の支持率が労働党をはるかに上回っており、このままだと政権交代の可能性も十分ある。2009年、あるいは遅くとも2010年5月までに行われる総選挙。それまでに、どうやって労働党の人気を盛り返すのか。

陽気で笑顔が絶えないブレアは演説も巧みで、クエスチョンタイムの答弁にも華があった。それに比べ、ブラウンはいかにも地味で堅実派だ。「史上最強の財務相」とブレアに言わしめた実力は、首相として花開くかどうか、今のところ未知数である。

かつてブラウンは「よれよれのスーツを着て深刻に思い悩むようなスコットランド人」(英紙)と評された。仕事への没頭ぶりは元ガールフレンド、ルーマニアのマルガリータ王女が「いつも政治、政治、政治だったわ」とあきれるほど。

独身生活が長かったため「ゲイではないか」という噂が広がったが、2000年にPR会社の幹部サラ・マコーレーと結婚。これをきっかけにブラウンのイメージは急速に変わり始める。

2001年長女、ジェニファーが生後間もなく亡くなるという悲劇に見舞われたが、2003年に長男が誕生、2006年に二人目の息子が生まれた。

「親であることはすばらしい喜びだ」。

気難しい仕事中毒のような男が家庭人に変貌した。

そしてPRのプロであるサラによって、将来、ブレアの後継者となることを意識した「イメチェン作戦」が始まった。

身だしなみや笑顔などにも気を配り、撮影される機会を増やし、明らかに白くなった歯を見せてにこやかに微笑んだ。

テレビ番組では、主婦と同じソファーに横並びにすわり、相手の目を見ながらソフトな雰囲気で話をするように心がけた。

そして、女優アンジェリーナ・ジョリーやロックスターのボノらとともに貧困問題のキャンペーンをして政治活動の幅を広げた。

しかし、40歳の政敵デービッド・キャメロンは血筋のいい、超エリート政治家である。国民的人気は非常に高い。

イギリスを競争力のある国に立て直したサッチャー氏とその後継者メージャー氏の保守党政権を、終焉に追い込み、好景気を背景として10年間にわたり続いてきたブレア政権。

労働党人気凋落の傾向がうかがえるときだけに、ブラウン氏が長期政権を続けていくには余程のインパクトを持った政策を打ち出さなければならないだろう。

首相の座に就くまであと1ヶ月あまり。ブラウン氏はどのような戦略を思い描いているのだろうか。

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