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2007年6月24日 (日)

EU条約波乱から合意へ

いやぁ、やりますね、メルケルさん。どうなることかと気をもんだEU首脳会議。凍結中だった欧州憲法条約の再生案をめぐり、“抵抗勢力”の英国や、ポーランドを説得して何とか合意にこぎつけた。「憲法条約」が「改革条約」という名称に変わり、EU諸国が年内に調印する運びだという。

それにしても今回の会議、あのポーランドのそっくり双子首脳の一人、カチンスキ首相が欧州の表舞台で大暴れした印象が強い。とくにラジオのインタビューに対して発言した内容には仰天した。議長国、ドイツをあからさまに攻撃するような条約案批判だった。

人口を反映させる投票方式について「ドイツなどの発言力が相対的に強まる恐れがある」と強く反対したのだ。ポーランドの人口は3860万人、ドイツは8240万人。これをもとに投票権を決めるとポーランドは不利であり、人口減少の原因はナチス・ドイツによる大量殺戮だからそれを考慮に入れろ―という主張だ。

何かといえば60年以上も前の被害意識を持ち出す、どこかの国も顔負けの文句のつけようだが、メルケル・独首相は意に介さなかった。
そういえばこの婦人宰相、嘗て、ブッシュ・米大統領が機嫌をとるように彼女の肩をうしろから揉もうとしたとき、「触らないで」という意思をはっきり態度で示したことがあった。毅然として意思の強い女性であるらしい。

せっかくの機会だから、ポーランド関係の話に戻りたい。

当の人物、ヤロスワフ・カチンスキ首相はレフ・カチンスキ大統領より45分早く生まれた(一卵性双生児)。2001年春、弟のレフと共に、「法と正義」(PiS)党を創設して一心同体の政治活動を続け、2006年7月、首相が兄、大統領が弟という、“双子政権”が誕生した。

二人のの写真を見て「どちらが、どちらかを当てる」コンピュータゲームが国内で流行、などという話はさておき、ヨーロッパでは何かと話題の兄弟である。

2004年5月のEU拡大により、東西欧州は運命共同体となり、ポーランドもこれに加盟した。
もともと政治文化が西欧各国と異なっているうえ、カチンスキ兄弟はポーランドの伝統・文化のよりどころであるカトリックの価値観を重視し、ナショナリスティックな論調をひっさげて外交舞台でも我流を押し通したため、西欧諸国から「偏屈で攻撃的」というレッテルを貼られてしまった。

そこへ持ってきて、今回の首脳会議での目立ち方、流石というか、やっぱりというか・・・。

ともあれ、2005年に頓挫したEU憲法条約に代わり、新たな基本条約を制定することで合意したことはEUの本格的な発展にとって、一歩大きく前進したことになる。ユーロ通貨を中心とした経済的結びつきから、外交・政治分野にまでEUの権限が広がり、バルカン諸国との加盟交渉も具体化しそうだ。

先のG8サミットといい、今回のEU首脳会議といい、メルケル首相は大車輪の活躍である。「鉄の女」といわれた元英国首相のサッチャーさんと同様、ヨーロッパの女性宰相は、外見の印象と違って想像以上に強いリーダーシップをお持ちのようだ。

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コメント

まだ東西に分断されている頃の西独に1年余り住んでいたことがありますが、当時からドイツ女性の働きぶりと強さ逞しさは折り紙つきでフランスやイタリアやの近隣諸国の人との会食の場や酒席では、戦争も女性軍がやってれば米国に勝ったのに、というような悪い冗談がよく出たものでした。
同じく酒席でのポーランドの評価は、特にドイツ人が多いときには百姓とかのろまとか間抜けとかの代名詞になることが多く当然ポーランドの人からはドイツ人は全く好かれていません。日韓関係のようです。

リーダーシップの人、アンゲラ・メルケルさんはプロテスタントの多い左派SPDの本拠地のハンブルクで生まれて東独で学びカトリックの多い南ドイツ中心の右派CDUの党首になった人ですから大連合政権のカンツラリン(宰相)としてはピッタリの人です。

確かロシア語とフランス語はペラペラでプーチンや同年輩のサルコジなんかともツーカーだと思いますが、金融経済中心主義の英米、ブッシュやブラウンとはうまくゆかないかも知れませんね。もっとも日本もそうですが、ヨーロッパ中央銀行がイングランド銀行のインフレターゲット政策をとるようになればEUの経済成長は一気に加速すると思われますが。

まだ東西に分断されている頃の西独に1年余り住んでいたことがありますが、当時からドイツ女性の働きぶりと強さ逞しさは折り紙つきでフランスやイタリアやの近隣諸国の人との会食の場や酒席では、戦争も女性軍がやってれば米国に勝ったのに、というような悪い冗談がよく出たものでした。
同じく酒席でのポーランドの評価は、特にドイツ人が多いときには百姓とかのろまとか間抜けとかの代名詞になることが多く当然ポーランドの人からはドイツ人は全く好かれていません。日韓関係のようです。

リーダーシップの人、アンゲラ・メルケルさんはプロテスタントの多い左派SPDの本拠地のハンブルクで生まれて東独で学びカトリックの多い南ドイツ中心の右派CDUの党首になった人ですから大連合政権のカンツラリン(宰相)としてはピッタリの人です。

確かロシア語とフランス語はペラペラでプーチンや同年輩のサルコジなんかともツーカーだと思いますが、金融経済中心主義の英米、ブッシュやブラウンとはうまくゆかないかも知れませんね。もっとも日本もそうですが、ヨーロッパ中央銀行がイングランド銀行のインフレターゲット政策をとるようになればEUの経済成長は一気に加速すると思われますが。

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