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2007年7月 6日 (金)

米ロ原子力で協力

どうやら世界は原子力発電所の増設に向けて大きく舵を切ったようだ。

米国東部のメーン州ケネバンクポートの別荘で会談したブッシュ大統領とプーチン・ロシア大統領が原子力分野で協力しあう協定にサインした。

ミサイル防衛システムの東欧配備やイランの核開発問題などが焦点とされた今回の会談、実のところは大国復活を国内にアピールしたいプーチンと、レームダック(死に体)といわれ焦りの見えてきたブッシュの「政治ショー」的な色彩が強かったように思う。

そうした中で、唯一とも言える具体的な合意が原子力協力協定だ。実は、ロシアがイランのブシェール原子力発電所建設で協力を続けているため米政府は協定の締結に慎重だった。しかし、いつまでもそう言ってられない事情がある。

そもそも米国は100基以上の原子力発電所を持つ世界一の原子力大国。1979年に発生したスリーマイル島原発事故の影響で事実上、新規の原発建設をストップしていたが、最近になって新設再開へと政策転換した。

その背景には、エネルギー資源や地球環境に関する世界の大きな変化がある。つまり、中国やインドなどにおけるエネルギー需要の急増が原油価格等の高騰を招き、供給不安や将来の資源枯渇への恐れを生み出している。

一方、地球環境を守るには、CO2を排出する石油など化石燃料に代わる資源が必要だが、風力や太陽光などは大きな効果というほどでもなく、バイオ燃料は食料確保にマイナス作用があるうえ、森林伐採など逆効果もあるため問題が多い。この点で、運転中にはCO2を一切排出しない原子力発電は、「再評価」に値するという趨勢になった。
 
クリーンエネルギーでありながら、一つ間違えば放射能汚染や核拡散につながる危険性も併せ持っている「諸刃の剣」。その原子力をどう世界的にコントロールしながら環境とエネルギーに生かしていくか。そのために米国が主導して進めようとしているのが国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)である。
 
その中身は次のようなものだ。

従来、米国では使用済燃料をそのまま処分する直接処分を推進してきたが、それを再び発電に利用する再処理・リサイクルを目指すことに切り替え、再処理によって高レベル放射性廃棄物の発生量を減らす。そして再処理したものを再び燃料として利用することで、ウラン資源の節約にもつなげる。さらに外国で発生した使用済燃料を受け入れ、その再処理も行う。

この目的の一つは、核開発が世界中に広がるのを防ぐことだ。核開発につながる恐れのあるウラン濃縮や再処理を行える国を原子燃料供給国(日、米、英、仏、露、中などを想定)に限定し、それ以外の国をウラン濃縮や再処理を行わない原子力発電利用国と定義。

例えば、ある国が原子力発電用の濃縮ウラン燃料を必要としても、その国は自らウラン濃縮を行うことなく、供給国から適正価格で燃料の提供を受けることになる。また、発生する使用済燃料は、供給国が回収し、再処理すると同時に別の燃料を提供。結果として、ウラン濃縮や再処理といった技術は供給国にとどまることになり、核開発が広がるのを防ぐ効果があるというわけだ。

ロシアは、石油や天然ガスなどの化石燃料で経済発展を続けているが、より多くの化石燃料を輸出に回すため、原子力発電の比率を高めたいとしており、新世代の安全な原子
炉の開発と世界の原子力市場におけるロシアの地位強化をはかっている。

今回の協力協定はそうしたロシアの思惑と、米国主導でこのパートナーシップ構想を実現したいアメリカとの利害が一致したといえよう。

ところで、「原子力再評価」は米ロだけでなく世界的に広がっている。

欧州ではフランスやフィンランドが原子力発電を積極的に推進。中でもフランスは国内59基の原子炉で発電電力量の約80%を賄っている。1986年のチェルノブイリ原発事故以降、原子力に慎重だった英国も政策を見直し、原子力発電所の新設に乗り出す。
アジアでは、日本、中国、韓国、台湾、インド、パキスタンが原子力発電を導入。インドネシア、ベトナム、なども導入を計画しているという。

ただ、私たちは過去の原発事故の記憶を忘れてはならない。いまだにチェルノブイリの汚染は周辺の人々の命を蝕んでいる。本来、原子力発電所のような危険な施設をつくらないですむならそれに越したことはない。

夢は21世紀半ばの実用化を目標に世界的に開発が進んでいる新しいエネルギー源「核融合炉」の実現だ。太陽はもちろん、宇宙に輝くすべての天体は、水素、ヘリウムなどの核融合エネルギーで輝いている。海の中に無尽蔵である重水素を燃料とし、高レベル核廃棄物を出さない究極のエネルギー源「核融合炉」。

それが実用化されるまでの間、石油、石炭、天然ガス、バイオ燃料、ウラン・・・等を求めて人間は地球を掘り続け、森林を伐採し続けるしかないのだろうか。

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