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2007年7月17日 (火)

北の核をめぐる米の思惑

北朝鮮がようやく寧辺の核施設の稼働を停止した。それとともに、見返り支援として、さっそく韓国から重油の第一便が到着した。

二月の六カ国協議で合意したものの、マカオの銀行に凍結されていた北朝鮮関連資金の返還問題などでズルズルと実行が遅れ、ようやくこの段階までこぎつけた。

ブッシュ政権は外交成果をアピールしているそうだが、どうにも合点がいかない。

放っておけば自滅しそうな北朝鮮の現体制に、わざわざ救いの手を差し伸べようとしているとしか思えないのだ。
 
そもそも、北朝鮮が約束を必ず誠実に守ってくれるなどと甘く考えるはずがない。

今後の課題は「すべての核計画の申告と核施設の無能力化」であるという。

18日からの北京における六カ国協議でその中身や手順が話し合われることになるが、この「無能力化」という怪しげな言葉は何を意味するのだろうか。

米国の考える無能力化は核施設を再び使用できないようにすることだが、北朝鮮はこの用語自体を使っていないという。

可能ならば廃棄のレベルにまで無能力化を推し進めようとする米国と、わずかな費用で再稼動が可能なレベルにとどめたい北朝鮮との考えの違いは明らかである。

しかも、今回のいわゆる「初期の措置」の対象から核廃棄物貯蔵施設は外れており、抽出済みのプルトニウムについても不明のままだ。高濃縮ウラン(HEU)型核開発疑惑に関しては、北朝鮮は開発計画そのものを否定し続けてきた。

このため「すべての核計画の申告」を促すのだと米側は強調する。しかし、これまでの北朝鮮のやり方からいって、正直な申告がなされるとは考えにくい。

当然、日本の防衛省関係者は「北朝鮮が1度手にした核兵器を簡単に放棄するはずがないと」と懐疑的な見方だ。

もちろん、米国だって同じだろう。米朝枠組み合意を反故にされた苦い経験を持っているのだから。

それでもなお、この経済支援と引き換えにした、賭けのような非核化プログラムを敢えて実行していこうという背景には何があるのか。

 ヒル国務次官補は「来年中の国交正常化」が目標と述べ、ブッシュ大統領の任期中に核問題を解決したいと意欲を示しているらしい。まあ、それもあるだろう。イラク問題や国内問題で評判ガタ落ちの大統領に失地回復を、ということ。

しかし、もう一歩踏み込んで言うなら、米国は、今の北朝鮮が必要だから崩壊より温存を選んだとは考えられないだろうか。極東に軍事的緊張があれば、在日米軍の存在価値が高まり、この地域で睨みを利かすことができる。むしろ、米国も日本も本当に脅威なのは中国なのではないか。

一方、現政権下の北朝鮮温存は、崩壊による混乱で難民の流入などを恐れる周辺各国の利害とも別の意味で一致する。

しかしそこに落とし穴がないわけではない。

「ヒル次官補がブッシュ大統領の任期中の解決という性急さを見せれば見せるほど北朝鮮は決断を遅らせるか、より多くの代価を要求するだろう」と韓国の専門家は分析する。

あんまり、足もとを見られ今後の交渉が難航するようだと、再び振り出しに戻らないとも限らない。

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コメント

北朝鮮を議論する際にはコブシを振り上げながらもこれをゆっくりと正しく収める知恵と勇気が必要ではないかと思います。

確かに北朝鮮はひどい国ですが欧米の民主主義先進国から見れば徐々に民主化しつつあるとはいえアジアの国々はどこも似たり寄ったりでまだまだ成熟していないと思われているのではないでしょうか。
少なくとも身内贔屓とか世襲とか談合とか系列とかいうネポティズムの度合いにおいては日本といえども韓国や中国と余り変わりません。

つまり欧米という遠くから見れば確かに日本が一番民主化していて欧米に近いところにいますが、民主化の程度の順に並べたらその向こうに香港あり台湾あり韓国ありインドネシアあり中国ありミャンマーあり一番遠いところに北朝鮮がいるのだというふうに、しかし結局は同一線上に並んでいるように見えているのではないのでしょうか。

もっと言えばそれは丁度高い山から低い山を見下ろした時のようにどっちが高いのか低いのか多少の高い低いは分からない、まあ所詮は同じような高さに(低さに)見えているのではないでしょうか。

現に一番近いところにいる日本だってつい何年か前までは天皇陛下万歳と叫んでいたわけで外観だけ見れば将軍様マンセーと変わりはありません。

日本の場合にも軍縮協議や国際連盟討議や色んな外交交渉があっても(結局戦わざるをえなくなり)結果は完敗、休戦交渉を模索しながらも最後は天皇陛下の玉音放送で一気に兵を収めたのですが、このとき天皇陛下の威信と威力を目の当たりにした米国は秩序ある占領政策には天皇が欠かせないことを学んだのではないでしょうか。

つまり北朝鮮という専制国家も早晩崩壊するわけですからこの際なるべく軍事力を用いずに外交交渉によって解決し、民主化に合意した場合にも将軍様を温存して利用した方がよいと考えているのではないでしょうか。国際司法裁判への訴追を免責にしてやれば、そう愚かな人物とも思われませんし、案外、将軍様もこれに応ずるのではないでしょうか。

余談ながら、北朝鮮が解放され南北が統一をしたのちには中国の強い影響下に入るでしょうからそれより前に日朝間で平和協定と経済協力協定を締結しておくのが賢明ではないでしょうか。不戦という正々の旗を掲げながら着々と安全保障戦略という堂々の陣を布陣してゆくべきです。


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