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2007年7月15日 (日)

愛しのセシリアにサルコジお手上げ?

「彼女に聞いてくれ。本人が一番知っている」。
セシリア夫人の行動について報道陣の質問攻めにあったサルコジ・仏大統領は足早に歩きながら言った。

365の部屋、957人の雇用人、61台の車・・・ゴージャスなエリゼ宮の住人となったセシリア夫人。自由奔放な発言と行動で何かと話題の女性のファーストレディぶりはいかがなものだろうか。
そう思っていたところへ、突然飛び込んできたのが、単独でリビアに乗り込んだというニュース。しかもあの最高指導者、カダフィ大佐と面会したというから驚きだ。

リビア訪問の目的はきわめてシリアスなものだった。

リビア・ベンガジの病院で400人以上の子供にHIVウイルスを感染させた罪に問われている5人のブルガリア人看護師に対し、リビア最高裁が11日、下級審の死刑判決を支持した。それを知ったセシリア夫人が減刑、あるいは解放を要請するため急きょ、リビアへ向かい、5人の看護師の女性たち、そしてカダフィ大佐に会ったというのだ。

カダフィ大佐には死刑判決に批判を強める欧州の懸念を伝え、経済支援と引き換えに恩赦などの措置を要請したとみられる。

その後、彼女はベンガジまで赴き、感染した子供たちやその家族とも面会。代表者にフランスでの治療の便宜を図る考えを伝えたという。

ふつう、大統領夫人の役割というのは、夫の非政治的行事、つまり文化行事、スポーツイベント、晩餐会などに参加したり、外国訪問に同行するのだが、単独で、しかも非政治的とはいえない問題で他国の最高指導者に会うというのは異例だ。

5人の被告は容疑を否認、人権擁護団体は彼らが着任する前からすでにHIV感染は始まっており非衛生的な慣行を隠すために罪が押し付けられたと主張している。

そうした状況に同情しての独断の電撃訪問だったのだろうか?。何事にもストレートに反応する人だとは思っていたが。

2年前、「大統領夫人になったら?」と質問されて、「どうでもいいわ」と答えていたセシリア夫人。大統領選挙の勝利集会には出席したが、喜びと興奮に包まれて演説するサルコジ氏のうしろで、隣の支援者と軽くキスを交わしたりして、感激の渦の外にいるように見えた。

そのセシリア夫人がファーストレディとして目立った行動を始めた背景には何があるのか。
サルコジ大統領とほとんど打ち合わせもない突飛な行動のように見せてはいるが、まさかそんなはずはない。

夫人には大統領府のグアン事務局長が同行しており通信社に「楽観的になってもいい」と語ったという。仏メディアは今回の訪問で「外交面でも役割を果たした」と驚きを持って報じている。

つまりは両国政府間の事前打ち合わせの通りに、意外にもきっちり夫人が動いてくれたということ。もちろん、夫人がサルコジ大統領に提案したのか、大統領が持ちかけて訪問が実現したのかはわからない。

ともあれ、今回の訪問のカギは、サルコジ大統領の提唱する「地中海連合」構想にありそうだ。

地中海を取り囲む国々、ヨーロッパではフランス、ポルトガル、スペイン、イタリア、ギリシャなど、アフリカではリビア、チュニジア、アルジェリアなど15カ国の評議会を形成し、持ち回りの議長のもとで定期的な最高首脳会議を開くというプランだ。「欧州とアフリカの間の架け橋となる連合を協力してつくりたい」という。

ドイツは東方に、フランスは南方に関心を持つといわれる中で、サルコジ大統領が北アフリカに強い影響力を持ちたいと考えていることは、今月10日に過去の恩讐を超えてアルジェリアやチュニジアを訪問したことでも明らかだ。

同じ北アフリカのリビアは欧米との関係改善を進めているだけに、欧州の批判を浴びているHIV禍の一件は、頭の痛い問題に違いない。本当に看護師たちを処刑してしまうようなことがあれば、問題が尾を引くだろう。リビア国内世論を納得させるための外圧、といってもサルコジ大統領自身の働きかけではカドが立つ。

そこに登場したのがプラダの似合うファーストレディである。彼女のリビア電撃訪問の事実をを認めながら、それについてあくまで寡黙なサルコジ大統領。“彼女にはお手上げだよ”と言わんばかりの表情が筋書きのすべてを物語っていた。

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コメント

ドラクロワ描く民衆を導く自由の女神の影響なのか総じてフランス女性というのは近隣のドイツやスペインの女性と比べて自立心が強く恋愛中でも結婚後にも自分独自の意見や趣味をもっている人が多いということは間違いなく、又フランス男性も総じてそういう女性を好むのではないかと思います。

しかし大統領は選挙で選ばれたのだから統治者としての正統性をもっていることは当然ですが、その大統領に選ばれた(事実はその反対のようですが)からと言って大統領夫人が自分の趣味と意見で擬似外交をやるというのはどんなもんでしょうか。どうしてもやりたければ最低限、ヒラリー・クリントンさんのように自ら選挙に出るべきです。

もっともヒラリーさんの場合も選挙に勝ったとしても決して誉められたことではありません。というのも既に大変なブランド力のあるクリントン姓を名乗っているからです。わが国に多い世襲代議士と似たようなものだからです。

公的な仕事は公人がやるべきです。公人になる方法としては現在、選挙と試験と任命とカリスマ的な自然発生、の4つがありますが、これに結婚や世襲を加えるべきではありません。

余談ですが、世襲代議士にはブランド力(=暖簾)という<みなし財産>を受贈又は相続する者としてこれに応じた贈与税や相続税を賦課すべきです。これをやっていないのは国税庁の怠慢だと思いますね。

ともあれセシリアさんの話題は当面は文化面か社会面で取り上げるべきで政治面では全く無視するのが大人の見識というものではないかと愚考するところです。

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