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2007年7月23日 (月)

米軍出動か?緊迫するパキスタン

アフガニスタンとの国境沿いに連なる山岳地帯にパキスタンの軍隊が集結しはじめた。トライバル・エリアと呼ばれるこの長大な部族地域にアルカイダやタリバンが潜んでいる。

アルカイダの勢力拡大情報をメディアに流し続けるアメリカは、対テロ戦争の好機とみて、パキスタンに圧力をかけているように見える。 

「パキスタン全土から過激主義の排除をめざす」。そう宣言せざるを得なくなったムシャラフ大統領は国内外で追い詰められている。

自らが解任したはずのチョードリー最高裁長官が最高裁大法廷の判断で職務復帰することになったのは、ムシャラフ政権の軍政がもはや力を失いつつある姿を露呈しているのではないか。

国民の間に広がりつつある反政府感情。イスラム過激派のテロ活発化。パキスタンは政情不安が日に日に増していた。

そこに起きたのが赤いモスク「ラル・マスジッド」にイスラム過激派や神学生がろう城した事件だ。発生から8日間も、事件を収拾できず、政府の対応能力の甘さに内外から批判が出はじめた時、国内の有力宗教指導者らの説得に応じ赤いモスクの指導者アブドル・ラシド・ガジ師は投降に合意した。にもかかわらず、ムシャラフ大統領が特殊部隊の突入強行を決断、多数の死傷者を出してしまった。

大統領は、司法への介入や民主化の遅れを法律家ら知識層から強く批判されていた。今年11月に任期満了となる大統領と下院議員の選挙を前に、過激派への強い姿勢をアピールすることで国民の支持をとりつけたいという焦りがあったのかもしれないが、逆にパキスタンの各地で強攻策への抗議の動きが広がり、過激派の報復テロ活動も頻発した。

部族地域では、赤いモスクの過激派を支援するタリバンの指導者が、2万人集会を開き、ムシャラフ大統領に報復するジハード(聖戦)を誓ったという。また、アルカイダ№2のザワヒリはインターネット上で、ジハードを呼びかけるなど、ただならぬ様相になってきた。

アメリカとしては、対アルカイダ、タリバン戦の最前線であり、少なくとも親米国家のパキスタンは最重要拠点だ。だからこそ、民主的とはとうてい思えない軍事政権の存続を認め、“核開発の父”AQカーン博士の「核闇市場」の暗躍を知りつつも、ムシャラフの責任を問わないまま両国関係を維持している。

しかし、今の状況はきわめて危険だ。ムシャラフ大統領の支持基盤は陸軍であり、陸軍将校団はムシャラフ大統領に忠実である。ところが一方では、イスラム原理主義勢力の影響が陸軍内部にもジワリと浸透しているようなのである。いつ何時、内部からクーデターや暗殺の動きが起こらないとも限らない。

そうなると、最も恐れるべきなのはイスラム過激派勢力が実権を握り、カーン博士の核闇市場を支配するような事態だ。2004年2月にイラン、北朝鮮、リビアに秘密裏に核開発技術を供与していた事実を認めて以来、カーン博士は事実上、自宅軟禁状態だが、そのネットワークは地下に潜って存続し、パキスタン自体もそれを活用しているという疑惑がある。

米政府が今月17日に一部公開した機密報告は、アルカイダがパキスタンの部族地域に拠点を設けるなど「米本土を攻撃するためにカギを握る能力を回復した」と結論づけている。ムハンマド・オマルをはじめ指導者の多くを失うことなく地下に潜ったタリバンもアフガニスタン南部及びパキスタンの部族地域を根城に勢力を取り戻しているという。

パキスタン政府に対し、過激派への攻撃を促すアメリカ側のメッセージを受け、ムシャラフ大統領はアフガン国境地帯の部族地域に八万人をこえる軍隊を展開させている。

しかし、部族地域は、パキスタンとアフガニスタン国境沿いに2250キロにも渡って延び、約700万人が暮らす山岳地帯だ。3000メートル級の山々が連なり、外からの侵入を遮るように断崖絶壁がそそり立つ。地理的にも隔絶され、国法より慣習法がまかり通るほぼ完全な治外法権地区である。パキスタンにどんな政権ができようが、部族地域は触ってはいけない“神聖不可侵”なエリアなのだ。

かつてムシャラフ大統領はこの地域に兵を入れたために、暗殺未遂に遭っており「本気で部族地域には踏み込めないのではないか」という見方もある。しかし、すでにアルカイダとタリバンが政権を脅かす行動を取り始めていることも事実であり、まさに予断を許さない状況だ。

一方、ブッシュ大統領は最近の記者会見でパキスタン領内での米国の軍事行動を排除しているのか、という質問に「実行可能な標的への攻撃を含め、いかなるオプションも決して排除しない」と答えている。

パキスタン軍の動静によっては米軍の出動もありうると見るべきだろう。

緊迫の度を強めるパキスタン情勢の行方は、世界的な「テロとの戦い」の趨勢を決める分水嶺になるかもしれない。

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