ブッシュとの昼食、セシリア夫人ドタキャンのワケ
大国のトップに対してまことに失礼だが、ブッシュとサルコジ、両大統領が並ぶと漫才のコンビのように見えるから面白い。さしずめ陽気なカウボーイと、いかれたパリジャンが肩をたたきあって、意気投合している感じなのだ。
サルコジ大統領、そしてセシリア夫人は、とにかくユニーク。ついつい、このブログで取り上げるのも回を重ねて、4度目になってしまった。
さて、カンヌ、ニースなどフランスには有名なリゾートがいっぱいある。大統領のバカンスといえば「コートダジュール」というのが定番なのに、なぜかセシリア夫人、長男ルイ君をともなって、ロングバケーションを過ごしているのはアメリカ、それもニューハンプシャー州の湖畔の豪邸だ。
そして、偶然かどうか知らないが、この滞在先に隣接するケネバンクポートには都合よく“パパブッシュ”の別荘があり、9日から夏季休暇に入ったブッシュ米大統領はさっそくサルコジ一家を昼食に招いた。
ところがである。パパブッシュ夫妻、ブッシュ夫妻が大歓迎すべく待ち構えていたのに、セシリア夫人はあろうことか、ドタキャンしてしまった。しかたなく両大統領は冒頭のような名コンビぶりを大いにアピールしたというしだいだ。
セシリアさんの欠席が発表されたのはサルコジ大統領が別荘に到着する わずか1時間前。「のどの疾患」のためとかいって、本人からブッシュ大統領夫人に 電話があったという。
ところが、AFP通信によれば、セシリア夫人はその翌日、 街を友人2人とのんびり歩いているところを写真に撮られてしまい「またまた彼女の気まぐれか」とフランスメディアをにぎわしているらしい。
外交儀礼に反するという考えもあろうが、「これは首脳会談ではない」(スノー大統領報道官)ということだから、「エリゼ宮の花にはなりたくない」というセシリア流も許されるのだろう。
そもそもこの機を一にしたバカンス、仕掛け人はどちらなのだろうか。かなり前から、スケジュール調整していないと、こうはうまくコトが運ばない。
サルコジ氏がもともとアメリカ大好き人間であることは、大統領選当時からマスコミの批判のターゲットになってきた。だから今回もル・モンド紙は、「大統領選で親米姿勢を再三批判された人物ならではの選択」と反感たっぷりのレポート。どうもフランス人の心理の奥底には、アメリカ人のことを「英雄気取りの無粋な田舎者」と思うところがあるようだ。
セシリア夫人は、夫に寄り添うファーストレディ、といったイメージがとにかく嫌いらしい。シラク・前大統領夫人のベルナデット夫人とは正反対のキャラクターである。スペインの高名な作曲家、アルベニスのひ孫であり、「プラダのドレス」も「戦闘服」も似合うカラフル・パーソン。
大統領選挙中は姿を見せず、夫が当選するとすぐに休暇をとらせてマルタでゆっくり。やがてエリゼ宮におさまったかと思ったら、いきなりリビアに飛んでカダフィ大佐に、ブルガリア人看護師たちの解放を直談判して成功させるなど、ファーストレディのニュースタイルを意識しているフシがある。
思ったように行動したい、根っからの自由人を型どおりのフレームに閉じ込めておくこと自体、ムリがあるようだ。案外、「自分がいないほうが、効果的なはずよ」と、似たものどうしといわれる男二人の親密ぶりを演出したのかもしれない。だとすればサルコジ氏のパフォーマンスを知り尽くした彼女ならでは、といえる。
イラク戦争でいったんは冷え込んだ二つの国。サルコジという特異な行動派大統領出現による“米仏異常接近”が世界の政治経済の地図を微妙に変えていくのかどうか。同盟国、日本と英国の首相、いずれも“表情がお堅い”二人の内心はいかがなものだろう。
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