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2007年8月16日 (木)

小池防衛相の策に乗れるか、安倍首相

官僚なしでは何にもできない大臣たちの、お粗末さばかりさらけ出してきた自民党。ここへきて、ようやく国民から忌み嫌われる“官僚支配”打破の恰好のターゲットが見つかったようだ。

防衛省の「天皇」といわれる男、守屋武昌防衛事務次官。いかにも小池百合子防衛相が独断専行で、退任の人事方針を決めたようにいわれているが、果たしてそうだろうか。

防衛大臣就任前からの小池大臣の腹のうちを知らなかったとしたら、安倍首相ははっきりいってボンクラとしか言いようがない。防衛省で権勢をふるう守屋事務次官をどうにかしなければ小池大臣の存在は単なるお飾りになってしまう。ゆめゆめ、それで満足できるお方ではない。首相補佐官時代から何度も守屋氏の件は首相との間で話し合ってきたに違いないのだ。

守屋氏は平成15年8月の就任以来、自衛隊のイラク派遣、在日米軍再編、防衛庁の省への昇格といったことをやってきた実績(?)がある。一方で、意に沿わない人物を平気で左遷する強権ぶりが目立ち、その結果、幹部クラスの人材不足を招いた。当然、防衛官僚は守屋氏の顔色だけをうかがうようになった。この独裁体制が、防衛産業との癒着を生み、イージス艦の機密情報流出など、内部統制の不備につながったという指摘もされてきた。

だからこそ、早期退任を望む声が強まっていたのは事実である。安全保障担当の首相補佐官であった小池氏はこれを防衛省の“病根”であると捉えていた。安倍首相はそれを承知で小池氏を防衛大臣に据えた。

おそらく、参院選で敗北したあと、党内の批判を承知で、国会を欠席してまで渡米したのは、安倍首相を説得しての行動だったと思われる。案の定、山崎拓前副総裁がこれにひっかかって「いささか当を得ない行動ではないか」と古めかしいお説教で、渡米の印象を強める後押しをした。

そのころ、小池氏は何回も周到に練り直した英文スピーチをアメリカで流暢に披露し、「私たちは姉妹よ」とライス国務長官とのツーショットをプレスに撮影させた。これで、いにしえの政治と、ビジュアルポリティックスの違いがよけい鮮明になった。「マダム・スシ」とかワケのわからないことをいって失笑を買ったのはご愛嬌のうちだ。

さて、訪米前に内定を出し、帰国後に騒動になってきたのが、くだんの人事問題。これは首相、小池ラインでは予想された事態でないとおかしい。だから、ライス長官と事前に話し合う必要もあった。

「人事については私に相談することになっていたはずだ」というのが守屋氏の主張。自らの退任はもちろん、その後任に警察庁出身の西川徹矢官房長を充てるということも気に入らないらしく、「それなら生え抜き幹部にするべきだ」と要求している。官僚のトップというのはここまで発言できるものか。恐ろしい限りだ。

首相官邸では塩崎恭久官房長官が守屋氏擁護の立場にまわった。そもそも次官の任命権者は大臣のはずだが、「最後に決めるのは正副官房長官会議だ」と断固阻止のかまえである。守屋氏とつながる政治家はほかにもいるはずだ。官僚組織に権力を与えているのは、そこから恩恵を受けている政治家たちである。

とりあえず、安倍首相は“お仲間”の塩崎氏の顔を立て、人事の決定を内閣改造まで先延ばしした。

しかし、この事態は安倍首相にとって最大で最後のチャンスになるかもしれない。まず、失礼ながら守屋氏の風貌も立場も、敵役にはうってつけである。そして、援軍である塩崎長官は味も素っ気もない記者会見で、安倍政権人気凋落の一翼をになう存在だ。この二人を、小泉氏がやってきたように「抵抗勢力」に仕立て上げ、最後に一刀両断のもとに切り捨てることができれば、大向こうをうならせることができるかもしれないのだ。

そもそもこの問題が起こらないまま内閣改造をしたって、国民から喝采を受けるほど新鮮味のある顔ぶれにるはずはない。「悪代官面」した大物議員が復活してヒンシュクを浴びるだけなら、もうこの政権はつぶれるしかない。

安倍首相にとっては幸いなことに、テロ特措法の延長問題をめぐって、小沢民主党が自らの首を絞める可能性も出てきている。「ノー」といい続けて国民にイイ格好をするか、最終的にアメリカと手打ちをするか、実に悩ましいところであり、下手をすると袋小路に入りそうである。

小池大臣はそれを見越して渡米し、ライス長官とは「姉妹」として、チェイニー副大統領、アーミテージ元国務副長官には「ジジ殺し」の面目躍如で親交を深めてきた。

したたかな小池大臣がお膳立てをした大芝居。“お坊ちゃま宰相”安倍首相がこの最大のチャンスで最高のパフォーマンスを見せられるかどうかが、今後の政局のカギを握っているとはいえないだろうか。

 

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