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2007年8月23日 (木)

中華航空機爆発事故の教訓

犠牲者が出なくて幸いだったが、那覇空港における中華航空機の爆発事故は、きわめて稀なケースであり、なおかつ、ぞーっとする恐怖をはらんでいる。

とにかく計器に異常はなく、機長が知らないままに、燃料が大量に漏れ出し、火がついたということが、何より怖い。ふつう、航空機の異常は、コックピットのなかで、警報や計器類を監視しているパイロットが把握しているものだと、僕は信じていた。

ところが、最初に煙に気づいたのは乗客であり、客室乗務員にたずねると「タイヤからの煙です」と答えたという。

そして、機外の整備士が右主翼のの第2エンジン付近から燃料が「ジャージャーと漏れていた」のに気づき、コックピットに知らせた。

事実、台湾当局は「計器に異常を示す表示はなく、操縦士は駐機場で整備士に指摘されるまで燃料漏れに気づかなかった」とコメントしている。

脱出シュートが降ろされ、ようやく事態に気づいた乗客が一気に出口へ向かう。

ショックのおさまらない表情で乗客は口々に語った。

「死ぬかと思いました。床がすごく熱くなってきて 、中国語と日本語の罵声が飛び交い、出口のほうへなかなか前に進まなかった。本当に焦りました」

「脱出シュートを滑るときに、炎が見えてとても怖かった。一目散に走って機体から離れました。1分でも遅れていたら・・・そう思うと、こうやって生きているのが不思議なくらいです」

計器が何の異常を示すことなくふだん通りに機体が着陸し、誘導路を通って、静かに駐機場に到着する。その瞬間、乗務員も、乗客も一気に緊張が緩み、一切の不安感は消えてしまう。ところが、機内の全員が知らないうちに大きな危機が迫っていたわけだ。

機体に何事も起きていないのに計器が異常サインを示し、念のため近くの空港に着陸するようなことは日常茶飯事であるが、逆に何のサインもなく異常事態が進行するというのはあまり聞いたことがない。

もし、飛行中や着陸滑走時に、知らないうちに燃料が漏れ、何らかの原因で着火するようなことがあったら、対応の遅れが取り返しのつかない事態を引き起こす。今回の場合は、逆に駐機場まで問題なく走行した安堵感が危機の接近につながったが、わずかな時間差で大惨事を免れた。

事故原因の追求は事故調査委に任せなければならない。しかし、おそらく燃料が主翼のタンク、あるいはパイプから漏れ出したこと、そして何らかの原因で着火したことはたしかだろう。エンジンからの出火なら、警報が鳴り、必ず機長は気づくはずだ。

だとすれば、まずは燃料系統が問題になる。つぎに、燃料の減少等を示す計器が正常に作動していたかどうか。さらに、ほんとうにパイロット側に計器の異常サインの見落としがなかったかどうか、よく調べなければならない。大量に燃料が漏れ出していたら、計器の燃料数値が低下していくはずだし、本来は最後の最後まであらゆる計器に目を向けていなければならないはずである。

事故調の調査で、22日までにある程度判明したのは、事故機の右主翼と右エンジンの接合部(パイロン)付近で、大量の燃料漏れが発生していたこと。主翼内部の燃料タンクからパイロン付近を通ってエンジンにいたる太いパイプに何らかの不具合が生じ、燃料が漏れ出した可能性が考えられる。

乗客の証言などを聞くと、急を知らせる機内アナウンスなどはなかったといい、機長の判断や乗客への避難指示が適切だったかどうかが今後問われることになる。ボイスレコーダーなどの分析や関係者のヒアリングをしっかり行う必要があるだろう。

中華航空は94年4月、名古屋空港で着陸に失敗して墜落、乗客乗員264人が死亡。98年2月、台湾で墜落し、196人全員死亡。99年8月、香港国際航空で着陸に失敗、3人死亡、50人重傷。02年5月には澎湖県沖合いで空中分解、225人全員が死亡するなど、大事故を繰り返している。

1970年(昭和45年)からの死亡事故統計によると、中華航空の百万飛行回数当たりの死亡事故率は7.16件と非常に高く、アジア、オーストラリア地域でワーストワンである。ちなみに全日空の死亡事故率は百万飛行回数当たり 0.22 件だ。

本ブログ「神鳥と鶴-空は安全か」でもすでに触れたとおり、航空会社によって経営姿勢や安全対策への取り組みが大きく異なることがこの数字に表れている。

航空会社によっては、他社で使い古した飛行機を安く購入して、ろくな整備もせず、乗務員の訓練も不十分、ということがある。これは、コストを極端に節減して利益をはかろうとする最もひどい例を示したもので、もちろん、中華航空がそうだというわけでは決してない。

今回のケースでは、機体がボーイング737ー800型機という比較的新しい機種だった。エアバスA320に対抗するために開発したハイテク機である。同じ737型でも古い世代の100から500まではクラッシク737と呼ばれ、全く違う機体と考えたほうがいい。

したがって金属疲労や老朽化の可能性は低いわけだが、それだけに整備が十分でなかったという疑いが強い。

航空機のメンテナンスには、整備士の人数の確保だけでなく、そのレベルアップが必要である。また手間も根気も体力も要する仕事であり、よほど安全性確保への使命感と倫理観を持った人材を育てる必要がある。

したがって「十分な安全対策」イコール「高コスト」、ということになる。しかし、安全は航空会社の根幹をなすものであり、そこに必要かつ十分なコストをかけなければ、航空会社を経営する資格はない。

パイロットの養成に関しても同じである。「中華航空は退役軍人を使うから事故が多い」とよく指摘されるが、問題は退役軍人かどうかということより、経験に過度な自信を持ち慢心してしまう恐さではないだろうか。どんな職業でも現状に満足せず常に向上していくための自己鍛錬が必要だ。

機体に応じた操縦技術や緊急時マニュアルの習熟、そして人間性やモラルの向上・・・。会社側は航空会社としての信用を守るためにも、そうした訓練が可能な社内態勢を整えてもらいたいものだ。

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