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2007年8月 5日 (日)

世界のゴルバチョフに新しい役柄

僕は正直言って、ルイ・ヴィトンのバッグが好きではない。「誰もが持ってる高級品」の象徴だからだ。エルメスもそうだが、“ファッションの覇権主義”とでもいえる世界支配のえげつなさは、少々、度が過ぎる。

かつて世界の勢力図を二分する超大国だったソ連を崩壊させ、冷戦を終結に導いたミハエル・ゴルバチョフ氏が「ルイ・ヴィトン」の2007-08年秋冬キャンペーンに登場した。

撮影は著名なカメラマン、アニー・リーボヴィッツ。リムジンの後部座席にピンストライプのスーツとコートを着たゴルバチョフが座り、かたわらにモノグラムのボストンバッグがさりげなく置かれているショットだ。窓の外には、ベルリンの壁の一部が見える。http://www.cnn.com/2007/LIVING/homestyle/08/02/gorby.style.ap/index.html

個性の時代、ローカルの時代といわれながら、アメリカ式のグローバルスタンダード一色に彩られ、着るものも、食べるものも、建物から日用雑貨にいたるまで世界共通化が進んでいる。しかし、そのグローバル化した文明、文化の恩恵を受けているのは人類全て、ではない。

世界に生きる60億人のうち、12億人が安全な水を飲むことすら出来ないのだ。僕たちにとってはあってあたりまえの水が不足し、汚水で多くの人々が死に追いやられている。

ゴルバチョフ氏は最初、このヴィトン・キャンペーン出演に乗り気ではなかった。しかし、ヴィトン側の提案に心が動いた。ゴルバチョフが会長を務める国際的な環境保護団体「グリーン・クロス」に多額の寄付をしたいというのだ。

グリーン・クロスは29カ国の人々が参加し「地球環境と地球の命を守り、生態系の均衡を回復するため、全世界的な活動をすること」を目標としている。とくに水の問題にはより積極的に取り組んでいる。ヴィトンはなくても生きられるが、水は人間の命そのものである。井戸や雨水タンクの建設などを進めるのに必要な資金を確保することは喫緊の問題なのだ。
 
このように地球を崩壊させてはならないという人々の活動がある一方で、世界の資源獲得競争は際限なくエスカレートしているように見える。

ゴルバチョフ氏の故国、ロシアは今月2日、深海潜水艇「ミール1」と「ミール2」で、氷に覆われた北極点の海底、深度4300メートル前後に到達した。石油・天然ガス、金、ニッケル、ダイヤモンドなどが豊富に埋蔵されている資源の宝庫だという。この北極点付近の占有権をねらって、金属製のロシア国旗を海底にしっかりと打ち込んだ。地球温暖化が進み、北極海の氷が解けていくと、資源開発が進めやすくなることを見こしての行動だ。

北極点海底への潜水は史上初の快挙に違いはないが、いまは国と国が限られた地球資源の分捕り合戦をしている場合でもない。地球を守り、資源を有効活用していく方法を全世界の差し迫った問題として考えなければならない。

ロシア国内では、再び超大国化をめざすプーチン大統領の人気が高まる一方だが、表舞台から去ったゴルバチョフ氏こそ、いまのロシアに求められる人材ではないだろうか。

ゴルバチョフ氏が2003年に滋賀県で開かれた「世界水フォーラム」で語った言葉が印象的だ。

「米国は、あたかも世界がその支配圏にあるかのように振るまいたがっている。これは大きな誤りであり、大きな錯覚です。いずれにせよ、真の世界のリーダーシップとは言えません。現在、世界が必要としているのは、力を合わせて問題に取り組み解決していくための平等な権利と、真に民主的な世界秩序なのです」。

米国の一極支配ではなく、民主的な世界秩序の確立を求めている。これはアメリカに対抗できる強国への復活をねらうロシアへの警鐘でもある。米ロといった影響力の強い国々が、地球の危機にめざめ互いを信頼して手を取り合う時代であるべきなのだ。

ペレストロイカという歴史的な改革で世界を変えたゴルバチョフ氏はいまだ過去の人ではない。

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