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2007年8月 7日 (火)

若者のクルマ離れ、なぜ?

僕の友人の息子が結婚した。大企業の社員ででそこそこの給料をもらっているのだが、新婦がただ一つ、うるさく不満を言うらしい。「車のローンと維持費がかかりすぎるのよ」。車がなくても、生活が楽なほうがいいというのだ。

昨今、おカネの使い道はいっぱいある。生活やレジャーの楽しみ方は多様化した。生まれたときから家に車があった世代には、50代後半の僕たちほどカーライフへの憧れはないのかもしれない。実際、資金の問題もあるだろうが、かっこいい高級スポーツカーに乗っているのは年配の人が多い。

最近の「BusinessWeek」で“若者の車離れ”が特集されて以来、自動車の国内販売台数減少と、若者のライフスタイルの変化との関係が取り沙汰されるようになった。

日本自動車販売協会連合会が発表した上半期(1~6月)の国内における新車販売台数は、前年同期比10・5%減の178万8440台だった。前年同期を下回ったのは2年連続で30年ぶりの低水準だという。

世界ナンバーワンの座も近くなってきたトヨタの2007年3月期連結決算は、売上高が前期比13.8%増、営業利益は19.2%増と、いずれも過去最高を更新。5年で1兆円から2兆円に営業利益が倍増した。世界に急拡大するトヨタを象徴する驚異的な数字だ。

それにもかかわらず、トヨタでさえ肝心のお膝元である国内での販売がダウンしているのはどうしたことか。

「日本経済の回復が続き、潜在的な買換え需要は大きいのに」と、トヨタの関係者も首をかしげる。

しかし、よくよく考えてみると、これはある意味当然ではないだろうか。利益至上主義を徹底的に進める企業の欲深さが、自分自身の首を絞めているような気がしてならない。日本経済の回復といっても、トヨタなどグローバル企業が円安をテコに海外で稼いでいるだけで、一部の成金はともかく、ほとんどの国民のフトコロは寂しい限りなのだ。

自動車業界のみならず、多くの大企業がこれまでやってきたことといえば、ナントカ看板方式といわれる世界が賞賛する方法を駆使し、下請けの部品メーカーに負担をかけてコストカット。そのうえ、リストラを進め、派遣、フリーターなど非正規雇用を拡大、安い賃金の外国人を使って単純労働に従事させた。その結果、若者層に、ニートやワーキングプアと呼ばれる人たちが増加し続けている。

こうして自ら市場を弱体化させておいて「若者の消費が減った。モノが売れない」と嘆いているのがシモジモの現実を知ろうとしない経済界のトップたちなのである。

そのうえ、税金は上がる、社会保険料はいつのまにか負担増。ガソリンの値段も、電気、ガスなどの公共料金も上がる。となれば、高い高い自家用車なんて、とんでもない。

それが日本の現実であり、若者のライフスタイルが変わったというだけのものではない。どこに重点を置いて限られたおカネを使うかという問題なのだ。

田舎では小型自動車や軽自動車を買い、交通機関の発達した都会では自動車を買わない。そうした傾向が一気に加速していると聞く。通勤電車内で携帯やIPodを楽しみ、イタリアンの店、今風の居酒屋、カラオケ店で友人たちと飲食や歌を楽しむ。そんな都会生活の日常に車はもともと不要だ。たまに、郊外へドライブに出かけるのならレンタカーでも間に合う。

ともあれ自動車業界のさらなる発展が、外国頼みしか方法はないのだとしたら、事態は深刻だ。GMもフォードもこのまま黙ってはいない。韓国勢も中国勢も低価格車で世界市場に急拡大してくるだろう。

日本経済の5年後は、10年後は・・・本当に大丈夫なのだろうか。

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コメント

いつもながらの卓見に敬意を表しつつ一言コメントしを。

確かに今や車は地方の象徴であり又貧しさの象徴ですね。私の住む郊外住宅地では一家にほぼ3台(概ね普通車、小型車、軽自動車の3台)ですが、都会では車は1台、それも多くは輸入車です。

過日の柏崎のリケンの操業停止にともなって全国で生産がストップしたのを見ていると、ついに日本列島全体がジャストインタイムのコンベアシステムになってしまっているのが分かります。ということはあのトヨタの莫大な利益は同時に消費者と関係者の莫大な不利益によって成り立っているような気がしないでもありません。つまり天下のトヨタそろそろ独禁法に触れる危険水域に近づいているのではないでしょうか。水に落ちた犬は叩けではありませんが、国内販売が落ちるにつれて、公取あたりもそろそろ番犬としての出番を感じているかも知れません。

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