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2007年8月 9日 (木)

北京五輪の前にやってほしいこと

一年後に迫った北京オリンピックのカウントダウン祝賀大会に沸く天安門広場。中国のみなさんには申し訳ないが、素直に気分が乗っていけないのはなぜだろう。「いかなる差別をも伴うことなく、人間の尊厳を保ち、平和な社会の確立を」とうたうオリンピック精神が空々しく思えてしかたがない。

ルーマニアの登山家が映像に収めたその光景はナレーションとともにインターネットで流され、世界に衝撃を与えた。

「野犬でも狩るかのように撃ち殺していた」。2006年9月30日午前8時、標高5700メートルの中国・ネパール国境。多数のチベット人がダライ・ラマを訪ねるため雪原をゆっくりと行進している。様々な国の登山家が集まるキャンプの静寂は自動小銃の銃声に打ち破られた。狙撃位置に中国人兵士が立っているのは誰の目にも明らかである。兵士が引き金をひき銃弾がチベット人に命中した。チベット人が雪上に倒れる。中国人兵士が遺体の数を確認している。

撃ち殺されたのは若い尼僧と少年僧だった。偶然目の当たりにした「信じがたい出来事」。いまもyoutubeで視聴できるため、非難の声は高まるばかりだ。

この事件の後始末だろうか。最近の時事電は、党中央委員でもあるチベット軍区の蒙進喜司令官が第17回共産党大会代表に選出されなかったと伝えた。中国政府は、この事件の全責任を蒙司令官に押しつけ、決着をはかりたいとみえる。まだ62歳だが、このまま引退することになるらしい。つまりは「首切り」ということなのだろう。

北京オリンピックを来年に控え、中国はチベットやウイグルなどの人権問題、衛生やマナー、環境問題などで国際社会の批判を浴び、なかには「ジェノサイド・オリンピック(大虐殺五輪)」という言葉を用いて、五輪ボイコットを呼びかける動きも見られる。それだけに、本番まであと一年の今となって、海外メディアの報道ぶりも加熱し、中国政府の大慌てでの対応ぶりが目立つ。

しかし、チベット問題は深刻である。蒙進喜司令官に責任を取らせただけで国際社会が納得するとはとても思えない。

法王、ダライ・ラマを頂点とするチベット仏教を信仰し、大自然と調和して独自の文化をはぐくんできたチベットの人々。その生活は第二次大戦後、人民解放軍の侵攻、そしてチベット併合によって一変した。ダライ・ラマ14世は、ヒマラヤを越えて亡命、インド北西部、ダラムサラの地に亡命政府を樹立した。法王のあとを追うように難民がインド、ネパール、ブータンに流れ込み、そのままチベットに残った人々は異文化とイデオロギーを押しつけられ、受難の日々を送ることになる。

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のホームページには以下のように記述されている。

中国の占領と弾圧の政策は、チベットの国家としての独立、文化、宗教性、自然環境の破壊を引き起こし、人々は基本的な人権まで奪われている。再三再四、国際法を犯す中国のこれらの破壊行為は、注目はされているが、未だに罰されることなく繰り返されている。

崇敬する法王、ダライ・ラマに会いたい、触れたい、という一心でヒマラヤを越えようとした僧たちの列に、情け容赦なく銃弾を浴びせるという行為。これ一つみても、上記の記述が誇大ではないことがわかる。

僕は心から北京五輪の成功を願う。世界中の人々と一緒にこの大イベントを楽しみたいと思う。しかし、あとわずかな時間しかないが、中国政府にのぞみたい。「人を差別せず、人を尊ぶ」。これを現実の政治のうえで実行し、真に世界から尊敬される国家になることを。

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