« 「核をご一緒に」サルコジ vs メルケル「ノー」 | トップページ | コロンビア女性議員ら救出にチャベス、サルコジ出動 »

2007年9月21日 (金)

選手兼任監督、古田の苦悩

選手兼任監督、昔はプレイングマネージャーとわざわざ横文字を使っていたが、この立場で成功したケースは全くといっていいほど記憶がない。

ヤクルトの古田敦也選手兼任監督がユニフォームを脱いで球団を去るという。06年からの2年間、“二足のわらじ”をはくのは、さぞかし辛かったのではないか。監督と選手というのは同じ野球をやっていても、まったく違う職業である。

たまたま今春、そのヤクルトからMLBのデビルレイズに移籍した岩村明憲選手は恩師、中西太氏の薫陶を受け、ビッグプレーヤーにのしあがった。その中西氏こそ、選手兼任監督として古田敦也の大先輩であり、二足のわらじに苦しみぬいた人なのである。

1962年、選手のまま西鉄ライオンズの監督に就任、1969年、古田氏と同じようにユニフォームを脱ぎ引退した。この間、一度は奇跡といわれた逆転優勝を果たしたが、あとはいまひとつの成績で、最後の年には西鉄の中心選手が「黒い霧事件」と呼ばれる八百長騒動に巻き込まれ、その責任を負っての辞任劇となった。

選手としての成績も、監督になる前年に21ホームラン、3割4厘だったのが、監督就任の年には2ホームラン、2割6分8厘に終わっている。その後も、「怪童」とよばれた往年の打撃力は復活することがなかった。

監督と選手の違い。いろいろな考え方があるだろう。ぼくは勝手ながら、このように捉えている。
選手は「動く人」、監督は「不動の人」。選手は「ボール」を扱い、監督は「心」を扱う。

選手は無心にひたすらボールを追いかけていればいい。ところが、どうしても監督の目や表情や態度や動きが気になる。選手を起用するのも、交代させるのも、二軍落ちさせるのも監督の権限である。

だから、選手はグラウンドにいても、監督の存在が気になる。とくに喜怒哀楽の表情が大きく変化する監督ほど、気になって仕方がない。

だから、監督は常に泰然自若として、顔はポーカーフェイスでありたい。そして、できればいつもちょっとだけ、にこやかなほうがいい。

まず、これで選手は落ち着く。エラーをしても三振をしても表情を変えない。いつも「大丈夫、大丈夫」という涼しげな目。これが選手掌握術の基本中の基本だろう。

そして、勝利を手中にしたとき、はじめて喜びをみんなで一気に爆発させる。オーケストラの指揮者と同じように、無言のうちに、自分の動作、表情に影響されて選手達がプレーしている。そういう想像力が必要だし、不安のなかで戦っている各選手の心理をつかむ冷静さが大切だ。

古田さんは選手と一緒になり汗だくになって奮闘した。ヤクルトにとってこれ以上、の人材がいるとは考えられない。だけど、やっぱり選手だった。監督としては熱すぎた。

球団の失敗は二足のわらじをはかせてしまったことだ。古田さんに選手としてまだやってもらいたいし、ヤクルト生え抜きのスターに、監督もまかせたい。そういう考えや事情はわかる。しかし、それはほんとうに古田さんの身になって判断したことだろうか。

選手であるかぎり、闘志や喜びや時には怒りをむきだしにしなければ、テンションは保てないだろう。一方の監督は、選手と適度な距離を置き、大所高所から試合を観て、上手にコマを動かすのが仕事である。超人的に切り替えのできる頭の構造をもっていなければ兼任など所詮ムリではないだろうか。

古田監督が選手としての自分を客観視し、他の選手と同じコマとして使いこなすのは至難の業である。選手としてもよけいな考えや力が入り、思うような結果が出せない。その情けなさと自分に向ける怒り。以前の快活な捕手、古田の顔は消え、眉間に苦悩のにじむ監督がベンチにいた。

プレイングマネージャーの難しさくらい当然知っているだろうに、なぜそんな人事を決行したのか。古田さんならできるとでも思ったのだろうか。それとも、興行収入のアップを図る算段か。

いまになって言っても仕方がないが、ヤクルトのフロント陣にとって将来に禍根を残すミスであったことは間違いない。古田は日本プロ野球の宝である。これから、ゆっくり時間をかけて、人を動かす勉強ができるだろう。球団はどこでもいい。いつかは知将と呼ばれてもらいたい。

« 「核をご一緒に」サルコジ vs メルケル「ノー」 | トップページ | コロンビア女性議員ら救出にチャベス、サルコジ出動 »

「スポーツ」カテゴリの記事

「ニュース」カテゴリの記事

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/335692/8041044

この記事へのトラックバック一覧です: 選手兼任監督、古田の苦悩:

« 「核をご一緒に」サルコジ vs メルケル「ノー」 | トップページ | コロンビア女性議員ら救出にチャベス、サルコジ出動 »

フォト

1日1回応援クリックお願いします↓

過去の全ての記事

2016年6月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

microad

無料ブログはココログ