コロンビア女性議員ら救出にチャベス、サルコジ出動
南米コロンビアの元大統領候補、イングリッド・ベタンクールさんなる人物をご存知だろうか。
麻薬組織に癒着した政治腐敗、渦巻く陰謀、暗殺、そして誘拐が日常茶飯事となっている、かの国で、国会議員として不正を糾弾し続けていた女性闘士なのである。
その人が、2002年2月にゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)に誘拐されたまま、いまだに消息がわからない。
「それでも私は腐敗と闘う」という本がフランスでベストセラーになった。彼女の半生記を自らフランス語でつづった自伝である。二児の母として、子育てをしながら巨悪に立ち向かう壮絶な生き方が胸をうつ。
その著者が誘拐されたことでフランス国内での関心が高まり、救出を求める世論が盛り上がった。
FARCはコロンビア最大の反政府組織だ。麻薬の密造や富裕層の誘拐など悪名が高い。これまでに、ベタンクールさんら20数人の政治家、30人をこえる軍・警察関係者、米軍請負業者らを誘拐し、人質にとっている。収監されているFARCメンバーの解放要求が目的らしい。
コロンビアとフランスの国籍を持つベタンクールさんの救出には、仏政府も動いた。
女史の家族の要望を受け、コロンビア国境近くのブラジル・アマゾン川中流に軍輸送機「ヘラクレス」を派遣したが、この救出作戦は残念ながら失敗に終わった。
コロンビアでは、米国の9・11以降、親米政策をとるウリベ大統領のテロ対策が強まり、反政府組織との対立が深刻化している。フランス・スペイン・スイスの3カ国が、人質解放のための仲介役を買って出ているが、なかなかうまくコトは運ばない。
最近になって、そこに割って入ったのが、だれあろう、反米左派路線を標榜するベネズエラの怪人、ウゴ・チャベス大統領である。人質解放交渉に一肌脱ごうというのである。
ウリベ大統領とは正反対の思想を持つリーダーで、FARCを支援しているとさえいわれる。そのため、一時、コロンビアとベネズエラの関係は最悪だった。
チャベス大統領は今月15日、テレビに出演し「ウリベ大統領が私に支援を求めてきた。私は大統領を支援したい。コロンビアでFARC最高司令官、マルランダ氏と話し合いたいと正式に申し入れた」と語った。そして付け加えた。
「サルコジ大統領が同行すると申し出ている」
サルコジ?フランス大統領の?アメリカべったりの姿勢を見せているサルコジ大統領が、フランス国籍を持っている人もふくめた救出とはいえ、反米闘士チャベス大統領と“共同作戦”とは、なんという組み合わせだろう。
これはおそらく、シラク氏ではできない。サルコジ氏の面目躍如というしかないだろう。それに、チャベス大統領にはどういう意図があるのか気になるところだ。この一件で恩を売り、コロンビアに影響力を広げたいとでもいうのだろうか。
国際政治の世界における特異キャラクターの二人が、タッグを組むといっては変だが、これもグローバル化した世界の怪奇現象のひとつかも。
それはさておき、今はとにかくちゃんとベタンクールさんらを助け出せるよう、祈りたい。コロンビアという国になくてはならない人である。

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