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2007年9月 9日 (日)

ルック・インディア

Photo 車、バイク、牛車の喧騒。排気ガス、ホコリ、人いきれでむせ返る街。人口10億をこえるインドは混沌とした世界である。

この国の商業と娯楽の中心都市、ムンバイ。かつては英語読みでボンベイといわれたアラビア海に臨む街の中心部に、27階建ての大邸宅が建設されている。

インド最大の民間企業、リライアンス・インダストリーズのムケシュ・アンバニ会長が住む家だという。

地元紙によると邸宅は60階建てビルに相当する高さ173メートル。どのフロアも天井が高く、その分、階数は少ない。上の4階がアンバニ家の住居、その下に私設のスポーツジムや劇場が併設され、中層階に開放型の「空中庭園」が設けられる。総工費は10億ドル(約1200億円)ともいわれる。

アンバニ会長は07年の「フォーブス長者番付」で世界14位にランクされた。あの世界の鉄鋼王、ラクシュミ・ミタル氏、そして弟のアニル・アンバニ氏とともにインドの三大富豪の一人だ。

それにしても、いくらインドの勢いがすごいとはいえ、173メートルの超高層マイホームはどんなもんだろう。

やがて、日本にもそんな邸宅を建てる酔狂な大金持ちが現れる?。でも、やっぱり日本人の感覚とは違うのでは。だいいち、受け継がれている遺伝子が違っている。
日本人が誇る建築といえば、桂離宮。広大な庭の中の小さな茶室に広がる深い無の時空。「侘び寂び」の簡素な建築物に、一寸の無駄もない凛とした美が存在する。

もちろん、そんな日本人の美意識で測るつもりは毛頭ないが、インド国内でも、これ見よがしの巨大な邸宅は、「夢の家」と呼ばれる一方、「自尊心を満たすための、ばかげた出費」という反感の声もあるようだ。

ともあれこの巨大マイホームは、とりあえずインドの急速な経済発展の象徴とみることができよう。

その発展のしかたは、低賃金の豊富な労働力を武器に製造業を発展させ、輸出を拡大していった他のアジア諸国とかなり異なっている。

インドには英語ができる理科系人材が豊富なので、コールセンターなどの業務支援サービスや、ソフトウエア開発、設計支援サービスを欧米に提供する企業が次々に現れ、成長していった。

そして経済発展に伴い、ニューデリーやムンバイといった都市部に住む中間所得層が増え、自動車や家電などの爆発的な売れ行きにつながっている。

インド経済をけん引している都市は国際貿易港であり金融センターでもあるムンバイだ。 人口1500万人の世界最大都市の一つ。インド100大企業の半数が近隣に本社を置き、証券取引所や金融機関が集中している。全世界からの投資が集まり、世界の金融ハブをめざすまでになっている。

さて、そのムンバイに居城を建築中のムケシュ・アンバニ会長率いるリライアンスは、化学、石油、天然ガス、石油精製、電力などの分野にまたがる有力財閥。旺盛な個人消費に目をつけ、米ウォルマートを意識した小売業にも進出した。

創業者の父親は、化学繊維で儲け、ボンベイ証券市場でも大暴れし、インド最大の政商にのしあがった。その死後、遺産相続をめぐる兄弟の骨肉の争いの末、リライアンス・グループは2つに分裂した。

インドではまだまだあらゆる産業がフロンティアであり、とにかく先手必勝である。アンバニ兄弟のグループは貪欲に各分野でのトップシェアを狙っている。

ところで、インドの強みは、巨大国内市場と、グローバル性、そして実行力に富むインド人経営者の存在である。日本でもようやくここへきてインドへの関心が強くなっている。

先日、日本経団連の一行250人をしたがえて、安倍首相率いる“日の丸訪問団”がインドなど3カ国の旅に出かけた。さながら、日本財界人の出張展示会を開くような趣きだった。

これまで中国やアメリカのおかげででガッポリ儲けてきたニッポンの企業だが、どうもこのところ両国の雲行きが怪しい。アメリカは例のサブプライムローンとやらの焦げ付きで、買い意欲がすっかり減退、中国も経済発展にともなう様々な問題が噴出、北京オリンピックが終わったらバブル崩壊という筋書きも考えられる。

ならば、やはり中国に次ぐ成長大国を狙わねばと、インドへ向けてテイクオフしたわけだ。

ただ、進出をもくろむニッポン企業にとって大きな問題がある。道路、空港、港湾などのインフラの整備が遅れていることである。外国企業の投資を呼び込むうえで障害になるだけでなく、国内企業からも「インフラを整備しないと力のある製造業が育たない」との声が強い。

インド進出の先達で、日本国内よりも、インドでの販売数が多くなっているスズキの鈴木会長も先日のNHKの番組で「ムンバイまでの道路が悪いので新車を傷つけずに運ぶのは大変な苦労だ」と嘆いていた。

また、中国が政府主導のトップダウンにより人と資本を一気に投入してあっという間に突き進むのに対し、インドは官民の合意形成を重んじる。その点、中国よりも歩みは遅いかもしれない。

それでも、民主主義国家で、しかも親日的なインドとの連携は不可欠であり、インフラ構築への協力を積極的に進めていく必要があろう。

来年秋には完成するというムケシュ・アンバニ会長の巨大マイホームに圧倒されないよう、「個人は慎ましく、企業は世界最強」をめざしてニッポン人の底力を発揮しようではないか。

 

 

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