« 農水省 若林シンジケート | トップページ | ルック・インディア »

2007年9月 8日 (土)

胡散臭い、小林農水次官退任

農林水産省の小林芳雄事務次官が退任する人事が唐突に発表された。誰も予想だにしていなかったことである。げすの勘ぐりといわれようが、怪しんで見たくもなる。

たしかに、農水省では松岡利勝氏の自殺、後任の赤城徳彦氏、遠藤武彦氏の相次ぐ辞任騒ぎがあり、遠藤氏にからんでは農業共済組合の補助金不正受給の問題まで取り沙汰されて混乱状態にあったことは事実である。

だから、いまのところ新聞では異例のこととしながらも「一連の混乱に対する引責か」としか書きようがない。が、何かひっかかる。「通常の人事異動」という政府の説明をスンナリとは受け取れない。

退任にあたって小林氏は「問題山積でで省内に閉塞感があったのは事実。国民の不信もあり、省内の気持ちを切り替えようと思った」と記者団に語ったという。

こんな生真面目な精神の持ち主がわが日本国のトップ官僚にいたのか、と思わせる発言だが、会見でホンネを言うことはまずないと思ったほうがいい。

小林氏が水産庁長官から事務次官に昇格したのは昨年の8月1日。東大を出て、官僚の頂点に立ってわずか1年で自ら身を引くということは、本人によほどの事情でもない限り、とうてい考えられない。ましてや「10年に一人の大物次官」とさえいわれる人物である。

もっとも、この世界の大物とは、国に大いに貢献したというより、省益に力を発揮し、省内で他を圧する権力を握っているという意味である。

二、三年は小林王国が続くと、誰もがみていたにちがいない。もちろん、またもリリーフで就任した若林農相が首を切るはずもない。むしろ、力のある小林次官に頼りたいくらいだろう。

かなり前のことになるが、01年9月、小林氏は国内で初めての牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認されたとき、畜産業界を所管する生産局長だった。

当時の新聞にはBSEへの農水省の対応のひどさが指摘されていた。

例えば、BSE発生の恐れについて欧州連合(EU)が実施した調査に対して農水省が抗議を繰り返し,公表させなかったとか、牛に使用する肉骨粉などの使用禁止を求めたWHOの勧告を農水省が「無視」する形になっていたとかいうことである。

このため、農水省へ批判が高まり、小林氏は責任を問われて02年1月に総括審議官に降格された。

05年6月には、牛肉偽装事件を主導したとされる大手食肉卸「ハンナン」から農水省職員が飲食接待を受けた件で、監督責任を問われて訓告処分を受けている。

そうした処分を受けていても、官僚のトップの座までのぼりつめたのは、よほどの才覚の持ち主なのだろう。

しかし、当時の農水省と畜産業界の癒着は、いまも小林氏に反省し後悔してもらわなければならない問題であり、後を引き継ぐ次官にも心しておいてもらいたい。いくら当時の自民党大物政治家がバックについた「食肉業界のドン」が業界に幅を利かせていたとはいえ、一般国民を無視して業界の利益を優先した農水省の罪の深さは、いまもって国民は忘れていないのだ。

今回、なぜ小林次官がやめるのか、真意は分からない。

もし、農水省の様々な内部矛盾や問題点を改善できない自分に嫌気がさしたとか、あるいは業界団体や農水族議員の無理難題に疲れたとか、そういう理由ならまだ人間的であり、いくばくかの良心を感じることができる。

農水省に今後さらなる波乱がある、と見越してのことなら責任逃れである。農水省にからむあらゆる利権をめぐって、たまりにたまったマグマが噴き出さないとも限らない。

« 農水省 若林シンジケート | トップページ | ルック・インディア »

「ニュース」カテゴリの記事

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

小林さんの後輩は、みな彼の退任を残念に思っています。ただ、彼にとっては、その地位に留まるよりも、人心を一新することのほうが農林水産行政に対する信頼が戻ると思ったのだと思います。
皆が望んで留任しても、世間はそう見ず、時間という地位を望んでそこに居座っていると思う。それを避けようとしたのだと思います。
BSEの時には、退任を申し出て、引きとめられたと聞いています。
彼と一度話をしてから、もう一度、コメントをしてもらったら、いいコメントになると思います。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/335692/7851726

この記事へのトラックバック一覧です: 胡散臭い、小林農水次官退任:

» 故松岡利勝氏の問題 [本質]
故松岡利勝氏の問題はどうなったんでしょうか? 本人が自殺しているということは、本 [続きを読む]

« 農水省 若林シンジケート | トップページ | ルック・インディア »

フォト

1日1回応援クリックお願いします↓

過去の全ての記事

2016年6月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

microad

無料ブログはココログ