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2007年9月 5日 (水)

テロ特措法に「ノー」の外交カード

目下の懸案であるテロ特措法問題。民主党の小沢代表が延長に「ノー」と言い続けている。

小沢代表の真意は測りかねるが、米国に「ノー」という外交カードは思った以上に切れ味がいいかもしれない。

その証拠に、日本に対する米国の外交姿勢が微妙に変化している兆しがみられる。

これまで、米国は日本抜きで北朝鮮と妥協し、拉致問題には冷たい印象だったが、先日の米朝関係正常化部会でジュネーブ滞在中のヒル国務次官補が「北朝鮮は拉致問題について説明するだけでなく再発防止を確約する必要がある」と、拉致問題にも積極姿勢をみせた。

米朝間の会議にあたって、わざわざ拉致問題を持ち出して日本に気を遣った発言の背景には、小沢氏がとり続けているテロ特措法反対の姿勢があるのではないか。

つまり、もはや参院選後の政治構造の変化によって、日本は必ずしもアメリカに従順なポチではありえなくなった。これまでのように甘く見て放っておいたら、アメリカの国益に反する事態になる恐れがある。そういう「手ごわさ」を米国は感じ始めたのではないだろうか。

民主党が参院の第1党に躍進し、野党が議席の過半数を握ったことにより、ようやく日本も米国に「ノー」といえる仕組みが整ったと考えることもできなくはない。与党は「野党が反対するので」と言い訳でき、野党は対外的な存在価値が高まった。諸外国は、なにごとも自民、民主両党と合意しなければスムーズにコトが運ばない。

その結果、これまで来日しても素通りしていた外国の首脳が野党第1党へのトップ会談を要請してくるようになった。ドイツのメルケル首相が小沢代表に会ってテロ特措法の重要性を力説したのもその表れだ。おかげで、民主党にも重要情報が集まりやすくなった。

ところで問題のテロ特措法。これにもとづいてわが国の海上自衛隊が主としてやっているのはタダでアメリカなどの艦船に海上給油する「ガソリンスタンド」活動だ。米英の艦船のほか、フランス、ニュージーランド、イタリア、オランダ、スペイン、カナダ、ギリシア、ドイツなど対象国が次々に増え続け、そのたびに閣議決定が行われている。莫大な燃料費の無償プレゼントである。

インド洋上の各国海軍艦艇は、不審船からの麻薬押収、携帯用対戦車ロケットの発見、アルカイダ関連の疑いがある乗組員の拘束など、それなりの成果を挙げている。その活動を支える日本の国際貢献度はかなりのものだが、いまひとつ、各国がありがたみを感じていないように見えたのが、国民としては納得のいかない点だった。

それは世界からは、いってみればアメリカの一部、あるいは属国のような存在に見えていたからではないだろうか。憲法の制約はあっても、アメリカさえその気になれば日本からカネやヒトを引き出すことは簡単、という捉え方だ。

国内にも、アメリカには逆らえない、という空気があったのも事実だ。それが、イラク戦争というブッシュ政権の最大のミステイクを簡単に支持することにつながった。

しかし外交は駆け引きでもある。日本は簡単に「イエス」を出さず、議論を尽くすことによって最後の最後までジラすということも時には大切なのだ。それが国の存在感を高めることにもつながる。自民党が簡単に法案を通せたこれまでの国会では、そんなことはできなかった。

テロ特措法延長の是非については、日米同盟や国際貢献の観点から議論を深めたうえで決めなくてはならない。

したがって、大切なことは、民主党が、ただ反対するだけの野党ではなく、与党とともに国益を守っていく姿勢に転換し、互いにかみ合う議論を建設的に進めていくことである。現実的ではない不毛な国会論戦は時間の空費だ。

アメリカにとって「都合のいい国」ではなく「尊敬すべき大切な同盟国」にならなければならない。 

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コメント

鋭いご指摘です。私もそうだと思います。
テロ特措法反対は民主党の政権奪取のための極めて有効な小沢戦略です。
まず自民・公明が衆議院で延長を可決するのは当然ですが、参議院で否決されたあと、公明党がどう出るかは分かりませんが、自民党には衆議院で再可決する以外の選択肢はないわけです。
自民党は結局そうするでしょうし、つまり特措法は合法的に延長され日米同盟は維持されるわけで、米国も事実上は困らないわけですから国際問題は生じないわけです。
問題が生じるのは国内だけですが、これが安倍政権と自民党を自滅に追いやることになる可能性がおおありです。
敗軍の将、小沢一郎さんが多くを語らずとも(お得意の雲隠れでもしていれば)多くの国民が抱くのは、米国の言いなりになる自民党、強引な国会運営をする安倍政権、というムードです。

日本人の誰一人として、うすうすそうかなとは思いながらも、日本が米国の属国であるとは思いたくないにも関わらず、安倍政権が、日本はやはり米国に逆らえないのですとあっさり認めてしまう様を見てしまうと、国内には猛烈な民族的ストレスと政治的エントロピーが生まれるだろうと推測されます。
こういうムードの中で衆議院が解散され総選挙になれば前回の参院選挙以上に自民党は惨敗することになるのではないか思われます。
民主党は政権をとったら、特措法の「次の」延長はありませんと言えばいいわけです。或いは国連に働きかけて国連のお墨付きを取ればいいわけです。この働きかけには米国も積極的に協力するに違いありませんから結果として日米同盟は揺るぎなく維持されるわけです。

というような展開を想定すると、その先には自民党と民主党の大連立時代がやってきて、その内部では国家主義か市民主義か、大きな政府か小さな政府か、或いは中央集権か地方分権か、というような政策の違いによる派閥形成が行われることになるやも知れないと期待されるところではありますが、さて。


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