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2007年9月12日 (水)

米韓、北との和平模索に日本孤立

韓国の盧武鉉大統領は10月の南北首脳会談で、北朝鮮との「終戦」を宣言したいようだ。

米国のブッシュ大統領とAPEC開催地オーストラリアのシドニーで会談したあと、韓国側からの発表があった。平壌における南北首脳会談で次の考えを盧大統領が金総書記に伝えるという合意内容だ。

「北朝鮮が検証可能な非核化措置を誠実に履行する場合、朝鮮戦争を終結する和平協定に金総書記と共同署名する」

朝鮮戦争は1953年に停戦したが、国際法上では「休戦」、つまり戦争は終結していない状態である。

発表内容はこれを完全に終わらせようというのだから、歴史的な意義は大きい。さては、ともにレームダック(死に体)といわれる両首脳が政権末期に、輝ける収穫を画策したのか。一瞬、そう思ったが、実際には盧大統領とブッシュ大統領の間に、かなり認識の隔たりがあるようだ。

そのあたりの事情を韓国の東亜日報が「盧大統領の催促にいら立つブッシュ大統領」と題したレポートで以下のように報じている。会談後の記者会見でのやりとりである。

 盧大統領は「ブッシュ大統領の発言から、(私たちが非公開会談でした)和平体制ないし終戦宣言に関する話が抜けているようだ」と述べた。さらに盧大統領は、「金正日総書記や韓国国民は、その次の言葉を聞きたがっている」と再び述べた。ブッシュ大統領は「何をどのように明確に言えというのかわからない」と言い、同じ言葉を繰り返した。米国は、長期間の努力による完全な非核化の完成を前提にした法律行為として、「和平協定」の締結を構想するが、韓国政府は、非核化以前でも「言葉での宣言」はできると考えているということだ。
 

このほか通訳のミスも指摘され、ちょっと分かりにくい記事であるが、米側はあくまで北の非核化を前提とした「和平協定」と考えているのに対し、韓国側は非核化の進展にかかわらず「終戦宣言」をしたくてしょうがないようだ。

どうやらブッシュ大統領は記者会見で「北朝鮮の指導者が核計画をすべて申告して解体する場合、多くの変化があるだろう。北東アジアで和平体制を新たに設定することになるだろう」という表現しかしていないようなのである。

そこで盧大統領がもっと具体的な言葉、つまり「平和条約」「終戦宣言」をブッシュ大統領から引き出そうとした、ということではないだろうか。

朝鮮日報によると、北朝鮮の専門家たちは「南北首脳会談で金正日総書記との平和宣言を行うことを念頭において行った事前の政治作業の可能性がある」と語る。

いずれにせよ、何よりも大切なことは北朝鮮の非核化である。和平協定や終戦宣言など先走った話より、非核化が本当に実行されるかどうかが問題なのである。

とくに、日本にとって、拉致問題の解決なしに、北朝鮮との歩み寄りを進められることへの違和感は大きい。

しかも、北から向けられる核ミサイルの脅威はこの「検証可能な非核化措置」という和平条件によって、完全に解消されるとはとうてい思えないのだ。

「検証可能な非核化措置」とは、北朝鮮が全ての核計画を申告して、核施設を利用できないようにすることだが、いまのところ対象として明確になっているのは平壌から北に約90キロメートル、寧辺(ヨンビョン)にある黒鉛減速ガス原子炉と核燃料棒加工施設、使用済み核燃料再処理施設のみである。ここで年間に核兵器一個分のプルトニウムを生成できるという。

日本にとって一番怖いのは、寧辺の核施設だけが対象となり、その無能力化を確認することで和平条件である非核化の実現、とされるケースであろう。

最近、フジテレビの取材で明らかになったのは、これ以外にもウラン濃縮をしている施設が山間部2箇所にあるということだ。核爆弾にはプルトニウム型とウラン型があるが、北朝鮮はウラン濃縮施設を秘密裏にしっかり確保していることになる。

だから、北朝鮮にとって、寧辺施設を放棄してもいっこうに困らない。しばらくすれば予定通り、寧辺施設だけに関する詳細な核計画を申告してくるはずだ。

もちろんこのことを、アメリカは心得ている。分かっていて北朝鮮のシナリオに乗っているということを日本は考えておく必要がある。アメリカは北朝鮮の核ミサイルが自国に飛んでくるとはつゆほども思っていないのだ。

それに、深刻化するばかりのイラク問題を何よりも優先せざるを得ない。兵士を送り込み、戦死者を出しているのだから当然だ。それに比べて北朝鮮への関心は薄く、むしろ、ブッシュ政権の間に「核問題解決」すなわち「和平協定」の外交的成果を手にしたいという考えのほうが強いのではないか。

もともとは米国をはじめ各国と歩調を合わせ、北朝鮮に経済制裁をかけて追い込み、拉致問題解決へのプレッシャーを加えるハラだった日本は、がらりと変わってしまった状況に戸惑うばかりだ。

拉致問題がいっこうに解決する兆しがみられず、中国は北京オリンピックの準備にかかりっきりの中、急速な米韓の北朝鮮歩み寄りに取り残された格好の日本は、ひとり北の核ミサイルの脅威にさらされ続ける。

どこの国も自国の利益を優先する。あたりまえのことだ。米国に頼りすぎる日本の外交姿勢は改めなければならない。 

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