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2007年10月21日 (日)

小池百合子「女子の本懐」 守屋前次官との生々しい攻防

これまで小池百合子シリーズを5回にわたって書いてきた手前、彼女が「女子の本懐」なる本を出版したと聞いては、見過ごせない。さっそく読んでみた。

「出処進退、女の決断」と題された、その本には、いま防衛利権疑惑の渦中にいる守屋前防衛事務次官との人事をめぐるやり取りや、防衛大臣を辞めるいきさつが詳しく書かれている。本文の中から守屋氏にかかわる部分を以下に抜粋した。

8月6日 安倍総理に9月1日の組織大改編を目前にした防衛省人事案を示した。就任5年目の守屋次官を退任させ、後任に西川官房長をという内容だ。総理は「5年目でしょ。いくらなんでも長すぎますよね。進めてください」と、反応した。

人事についてはこれまで守屋次官から案が上がっていた。大掛かりな変更だったが、次官ポストはそのままだった。「あっ」と思った。この人は、ずっと居続けるつもりなのだ。

その夜、私の人事案がマスコミに漏れているという情報を耳にした。守屋氏本人に連絡する必要があると考え携帯に電話した。待てど暮らせど、返事はなかった。

8月7日 毎日新聞3面に「防衛省・守屋次官退任へ」という記事が掲載された。守屋次官からの連絡はなかった。守屋氏を呼び込み、次官退任を言い渡した。守屋氏は「断じて困る」と反発した。

8月11日 アメリカ出張の間に、守屋次官が官邸だけでなく政界関係者のところにも直訴して回ったという噂がかけ巡っていた。

8月13日 塩崎官房長官に面会。

塩崎長官「次官人事はたとえ総理が了解していても人事検討会議を経て行うものだ」

人事検討会議は法律ではなく慣例に過ぎない。単に事務手続きの一段階なのである。

小池 「私は重大な決意をもって臨んでいることを忘れないでいただきたい」

塩崎長官 「いずれにせよ、組閣後です」

午後6時過ぎ、安倍総理のもとへ。

安倍総理「組閣後の人事検討会議で決める。やっぱり人事案が漏れたのは問題だよね」

官房長官と同じ言葉に私はがっかりした。私は用意した進退伺いを置いた。安倍総理は急に悲しそうな顔に変わった。

「辞めるなんていわないでください。お願いだから」と、困惑した声が返ってきた。

8月14日 守屋次官から「後任が西川では納得できない。別の人にしてほしい」と申し入れがあった。「退任後は顧問に」と要請すると「顧問では生活できない」という。ストレートな物言いに、返す言葉がなかった。

8月15日 記者会見で守屋次官にかけた深夜の携帯電話について聞かれた。国家機密ではなく人事案が翌朝の新聞に出ることを伝えたかっただけで、返事がなかったことのほうが問題だと思った。大臣からの電話には何はともあれ返信をするものだ。危機管理である。

8月17日 安倍総理から「守屋退任、後任は第3者で」と指示があった。守屋氏に第3者案をつくるように指示した。守屋氏はどこか勝ち誇ったような表情だった。

8月24日 パキスタン、インド訪問最後の記者会見に臨んだ。私は次の組閣で再任を望まないコメントを出したつもりだった。「防衛省のこれまでの態勢を見直すべきだ。すべては新大臣に任せる」といっているのに、記者たちは理解してなかった。

「だから私は辞めると言っているのよ」。しびれを切らした私は、そう解説した。

いっとき通りかかる「通行人」である大臣には面従腹背で接するのがプロの役人であるとの説がある。「通行人」ばかりだから役所に「天皇」が生まれるともいえる。

私の退任後は守屋氏の処遇が注目を集めた。高村大臣は守屋氏の常任顧問就任の報道には「びっくりした」と、その事実を否定した。

常任顧問への準備は着々と進められていた。報道官の個室を、専用の常任顧問室へと変える動きもあった。半年前から、他の省庁の例を含め、研究していたようだった。

どうやら守屋次官は高村大臣への相談をパスし、退任後の居場所作りに走りすぎたのだろう。高村大臣が守屋次官の顧問就任にYESということはなかった。

以上が「女子の本懐」の抜粋である。守屋氏にとっては、小池氏や高村氏といった、守屋氏に恩義を感じる必要のない大臣が就任したことが不運であっただろう。そして現在の石破防衛相も、守屋氏には厳しい視線を送っている。

ついこの間まで、24万人という組織を束ね、選挙への協力などを通じて一部有力政治家の「弱み」を握り、自らの影響力を誇っていた男が、防衛省疑惑で危うい立場にいる。検察の手が伸びる可能性さえささやかれている。

どうせなら、このさいすべてを明らかにして、ギブ・アンド・テイク関係にあった政治家の同罪も暴いて、日本の政官界の浄化をはかってもらいたい。それが守屋氏のせめてもの国家への貢献だろう。

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