« 中国反対のなか、ダライ・ラマに米議会が最高勲章 | トップページ | サルコジ・セシリア版 「男と女」ジ・エンド »

2007年10月20日 (土)

守屋前次官をめぐる防衛利権疑惑の闇

防衛省にまつわる利権疑惑の本命はやはり、あの男だった。小池百合子前防衛大臣との人事バトルの末にしぶしぶ退職した守屋武昌前防衛事務次官だ。

「防衛省の天皇」といわれ、思うがままに権勢をふるってきた。莫大な防衛予算をめぐり、関連業者が接触をはかろうとするのも無理からぬことである。

そのなかの一つに防衛専門商社「山田洋行」(東京都港区)がある。米ゼネラル・エレクトリック(GE)の代理店であり、防衛省指定のA級競争入札業者である。昨年度までの5年間に装備品の納入で、防衛省から約170億円分を受注している。

この会社でかつて、専務をしていたのが防衛庁OBの宮崎元伸氏だ。63歳の守屋氏より6年先輩にあたる。

宮崎氏は防衛庁OBという肩書を生かして“政官界工作”を一手に引き受けていた。当然、守屋氏に接近する。十数年にわたり、ゴルフや飲食接待を続け、きわめて親しい間柄だったという。

妻を同伴し車の送迎つきの豪華版ゴルフ接待。受付で守屋氏は「佐浦之政」、妻は「松本明子」などと偽名を書き込んだ。山田洋行のグループ会社が経営する千葉県や埼玉県のゴルフ場で百数十回にもおよんだというから、豪気なものだ。

もちろん自衛隊員倫理規定で、隊員が利害関係者とゴルフをすることは禁じられている。事務次官といえども自衛隊員なのである。

その守屋氏が、民主党に国会での証人喚問を求められている。当初、海上自衛隊による米補給艦への給油量やイラク転用疑惑などを追及するのが招致の目的だった。

その後浮上した山田洋行の接待疑惑。民主党の鳩山幹事長は「守屋氏には疑いの目を向けている。しっかり追及したい」と語る。ただし、自民党が守屋氏証人喚問に応じればの話である。

さて、この山田洋行という会社。実は内部分裂を起こし、訴訟沙汰になっているのだ。実権を握っていた宮崎氏が社長に反旗を翻し、150人の社員のうち、主力部隊30人を引き連れて別会社「日本ミライズ」を設立、山田洋行を半ば“抜け殻”状態にしてしまった。

山田洋行の、大きな収入源はGE製エンジンの納入だ。この仕事はずっと宮崎氏の息のかかった連中が担当してきた。いま問題になっているのが、空自の次期輸送機CXの新型エンジン調達である。総額500億円近くにもなる大型契約だ。

GEが、このエンジン納入の代理店として、取引実績がある山田洋行をはずし、宮崎氏の日本ミライズを指名して防衛省に通告した。

当然、山田洋行は黙っていない。昨年10月、10億円の損害賠償請求訴訟を起こした。

防衛省関係者はこの争いのなかからスキャンダルが飛び出してくることを恐れた。首相官邸にもその情報は届いていたはずだ。そうでなければ、小池百合子氏が防衛大臣就任直後、本人に一切話をせずに守屋氏の首を切る人事を新聞発表するなどという、常識はずれのことをするはずがない。

そして、案の定、心配していたことが起きた。

宮崎氏が山田洋行に在職中、不正支出をしていた疑いが浮上したのである。不正支出の一部を守屋氏らへの接待資金に充てていた疑いもある。

しかし、コトはそれだけでおさまらない可能性をはらんでいる。守屋氏が接待だけを受けていたのか、それとも金銭の授受があったのか。そして、防衛族の政治家への波及は・・・。

東京地検特捜部はすでに特別背任の疑いで動き始めたようだ。いよいよ防衛省をめぐる深い闇に踏み込む決意を固めたのだろうか。

小池百合子氏はテレビのインタビューにこう語った。

「うわさは聞いていました。守屋さんの退任人事に影響?それはありましたね」

ようやく、小池氏の口から、あの守屋人事のワケを聞くことができた。想像通りであった。

守屋前次官は今年8月30日の退任会見で「職権を特定の人のために行使したことはない」と断言していた。真っ赤なウソとはこのことだ。

守屋氏は次官として4年間も防衛省に君臨した。意に沿わない人物を平気で左遷する強権ぶりが目立ち、その結果、幹部クラスの人材不足を招いた。当然、防衛官僚は守屋氏の顔色だけをうかがうようになった。この権力集中が、防衛企業の“守屋詣で”を生んだ。

「自衛隊」という名の「軍」のトップ。これは麻薬以上のものかもしれない。めまぐるしい忙しさの総理大臣より、防衛次官というポストのほうが快感だろう。軍を支配したとたん、人間性が変わった例は歴史上いくらもある。

そして、人間にとって大切なものを失ってしまうのだ。そう、「謙遜」や「感謝」。代わりに得るものは「傲慢」である。

« 中国反対のなか、ダライ・ラマに米議会が最高勲章 | トップページ | サルコジ・セシリア版 「男と女」ジ・エンド »

「ニュース」カテゴリの記事

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/335692/8517294

この記事へのトラックバック一覧です: 守屋前次官をめぐる防衛利権疑惑の闇:

« 中国反対のなか、ダライ・ラマに米議会が最高勲章 | トップページ | サルコジ・セシリア版 「男と女」ジ・エンド »

フォト

1日1回応援クリックお願いします↓

過去の全ての記事

2016年6月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

microad

無料ブログはココログ