質問弾炸裂、長妻昭、本領の80連発
満を持して登場した民主党のエース、長妻昭は開会直前「徹底的にやりますよ」と燃えていた。
長い政治空白のあとようやくスタートした国会論戦。初日の代表質問は、これまでのような原稿朗読セレモニーの趣きはなかった。
どうみても普通の中年サラリーマンにしか見えない長妻昭が衆議院の壇上に立つと、空気がざわめいたあと一瞬、ピタリと全員の呼吸が止まったかに思えた。やがて議場を圧するような声の響きが福田首相に立ち向かった。
もったいぶった前置きはなく、いきなり本題に入る。
「民主党と協議というならまず具体策を出してください。安倍内閣との最大の違いは何ですか」
ミスター年金の長妻だが、この日のハイライトは実質“官僚独裁”による税金無駄遣いの徹底追及だ。
「日本には先進国では見られない、税金や保険料のムダ遣いを自動的に発生させるシステムが国の中心に埋め込まれている」
その5つの代表例として「ヒモ付き補助金」「天下りあっ旋・仲介」「特別会計」「官製談合」「随意契約」をあげて続ける。
「会計検査院の検査対象団体である緑資源機構やJRAには検査院のOBが天下っている。これを人質型天下りという」
「会社設立にOBがかかわる新手の創業型天下りもある。国交省と北陸建設サービス㈱の随意契約総額はいくらですか」
さらに(財)高齢者雇用開発協会、㈱国際開発システム、など具体的な団体名をあげて天下り、補助金、随意契約などさまざまな問題や疑惑を追及。その項目数、実に80件。
代表質問でかくも細かく、鋭い質問をした議員はおそらく史上初めてではないか。閉会後、自民党のある議員は「これ、代表質問でしょ、おかしいんじゃないの」と不機嫌そう。
しかし、福田首相は「いやあ、大変でした。だって、一人の議員で80の質問ですよ。50くらいにまとめて答えましたけどね。だけど、どんな質問にもとにかく誠実にお答えしていきますよ」。さすがである。恐るべし福田首相。
それにしても、実に緊張感のある国会だった。野党が力を持つということは、議場の空気をこんなにも変えるものだろうか。
あくまで懐柔作戦をとる自民党、真っ向から勝負を挑む民主党。
長妻が長い質問を締めくくった瞬間、民主党代表、小沢一郎から思わず会心の笑みがこぼれた。
長妻が壇上から降り、自席に戻るまでの“花道”は千両役者を迎える民主党議員の拍手に包まれた。
日本の国会も、面白くなってきた。小泉劇場は終演したが、衆院・自民、参院・民主という対決構造が生まれ、これまでになく白熱した政治の舞台が幕を開けた。
(敬称略)
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