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2007年10月15日 (月)

舛添厚労相、新薬承認短縮を明言、どうする製薬業界の悪しき体質

舛添要一・厚生労働大臣が思い切ったことを言った。平均で四年かかっている新薬の承認期間を段階的に短縮し、2011年度までに「米国並みの一年半にしたい」と記者団に語ったというのだ。

画期的なことである。これまで、具体的な実現時期を示した大臣はいない。患者や医師にとって朗報に違いない。

しかし、ほんとうにそれが可能なのだろうか。医療先進国であるはずの日本がかかえる「治験」のお寒い実態、おカネの面で支えるべき製薬業界の腐った体質。それを考えると、暗澹たる気持ちにさせられる。

厚労省はどうやって新薬承認期間を短縮しようというのか。いまのところ、具体策として挙がっているのは、審査を実際に行う医薬品医療機器総合機構の審査官を3年以内にいまの160人から400人にふやす計画である。たしかに審査官が少ないことも承認に時間がかかる大きな原因だろう。

しかし、この国の医療や製薬業界の根本的な問題が横たわっているということ。それが薬事行政を停滞させ、新薬開発で世界に遅れをとっているという現実をしっかり認識しておきたい。

新薬を患者が使えるようになるまでの手順はこうだ。まず患者に投与する「治験」(臨床実験)がおこなわれ、効果や副作用のデータを収集する。そうしてえられた資料を添えて新薬の承認申請をし、審査が進められる。

日本では、この治験と審査の両方に時間がかかる。だから、世界でふつうに使われている薬がなかなか承認されない「ドラッグ・ラグ」が問題になってきた。

外国で多数の患者を救っている画期的な薬が日本で使えないというのは患者と家族にとってあまりにも切ない話ではないか。

今回、厚労省が言っているのは審査の期間短縮であって、治験のスピード化については触れていない。

たった一つの新しい薬を開発するだけで、長い年月と莫大な資金を必要とするうえに、日本の治験はコストが高く所要期間も欧米の二、三倍といわれる。

これは、人員不足などのため治験に対応できる医療施設が少ないこと、治験に応じる患者を集めにくいことなどが障害になっているためだ。

この現実が、日本の製薬会社のレベルを押し下げ、国際的な競争力を劣化させている。画期的な新薬開発に、莫大な時間とカネとエネルギーを使うことをほとんどやめてしまった。 

日本の薬は別名「ゾロ新」といわれる。「同じような新薬ばかりがゾロゾロと出てくる」ことを指す。日本の薬価基準制度によって、新薬には高い価格がつけられ、時間の経過とともに少しずつ値下げされる。

だから製薬会社は、化学構造式をほんの一部だけ変えただけで、効果はあまり変わらない「ゾロ新」開発に力を入れてきた。新薬というだけで高く売れるからだ。

このため日本で画期的な新薬が開発されることはきわめて稀である。そんな苦労をしなくても「ドラッグ・ラグ」を利用して「ゾロ新」ていどの薬で儲けられるからだ。

海外の新薬がスピーディーに患者のもとに届くようになると、「ゾロ新」が売れなくなり、現状、高い売上と利益を誇っている日本の製薬企業は、世界競争の荒波にのまれ、沈没するかもしれない。悲しいかなそれが実態なのだ。

その業界を守らんとする厚労省の薬事行政に、多くの患者が苦しんでいる。厚労省はまず、国民の生命と健康を第一に考えなければならない。

もはや日本の製薬会社にしても、非合理で閉鎖的な市場に甘えた経営をやめ、治験のレベルアップを支援し、グローバルな競争に打ち勝てる新薬開発を進めていくべき時代である。

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