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2007年10月26日 (金)

菅vs舛添 薬害で新旧厚労相一騎討ち

民主党の菅直人氏には自負がある。1996年2月、厚生大臣として彼がやりとげた仕事は、画期的なことだった。

十数年間にわたり、厚生官僚が「ない」と言い張ってきた膨大な薬害エイズに関する重要資料、いわゆる「郡司ファイル」(36冊)を見つけ出し、厚生省の責任をみとめて、民事訴訟を起こしていたHIV被害者に謝罪し、和解した。たぶん、当時の政治家のなかでは、この人しかなしえなかっただろう。

それから11年後。同じ厚労相ポストに就いた舛添要一氏は、社保庁問題などを通じ役人に対して厳しい姿勢を見せ、国民の人気が高い。

24日の衆院厚生労働委員会。薬害C型肝炎問題について、菅氏は舛添厚労相に対する質問にのぞんだ。

前日、菅氏は厚労省にいきなり押しかけ、職員が「機密の資料があるので」と制止するのを払いのけて、地下3階の医薬食品局の倉庫へ向かった。一時、大騒ぎになったが、舛添厚労相の特別許可で、倉庫の扉が開かれた。

菅氏は「役人のいうことをはねつけて許可してくださった」と、まずは舛添厚労相に謝意を述べた。そして--。

菅 「かつて薬害エイズのとき、ないと言われていた“郡司ファイル”が見つかった。いまでもこの役所は都合の悪い資料を隠そうとする体質が改まっていないのか。お答えください」

舛添 「体質改善できたかというと、否定せざるえない。改めていきたいので薬害エイズのときの経験を教えていただきたい」

舛添氏は「不眠不休で資料を探した」という意味のことを言ったが、菅議員は「資料は、ちゃんと当時のことを知っている人に聞けばわかる。あるべきところにある」と指摘、「大臣はまだ官僚の言うことに乗せられている」と、“手ぬるさ”を批判した。

菅氏が厚生大臣をしていたのは、96年1月からの約300日間。彼の著書には厚生官僚とのやり取りが詳しく書かれている。

大臣指名直後に官僚たちが菅氏を自分達の内側に取り込もうとしたことや、人事がほとんど選択肢なしの状態でボトムアップされること、「先例がないから」と大臣の提案に反対することなどだ。

彼は就任するや、すぐに薬害エイズの調査プロジェクトチームを作ろうとした。これも「前例がない」と反対されたが「自分一人でもやる」と、渋る官僚を説き伏せて設置した。初めて郡司ファイルが発見されたのは、チーム発足3日後だったが、報告がきたのが10日以上経ってから、しかも金曜日だったという。「中身を確認してからにしたほうが」と官僚達が月曜に発表を引き延ばそうとするのを押し切って、報告直後にファイル発見の記者発表をした。

それと同じような経験を舛添氏もしているのだろう。最初は社保庁問題で「盗人には牢屋に入ってもらう」などと威勢がよかったが、その後、官僚の手ごわさ、抵抗のすさまじさ、狡猾さを肌で知ったのか、施策実施の期限明示を要求する野党議員の追及には、さすがに少しばかり言葉を濁すようになった。

この日の薬害C型肝炎質疑でも、舛添大臣と、高橋直人医薬食品局長の答弁がまるで食い違っていた。額にしわを寄せて菅氏の質問に答える舛添大臣に、その苦悩の深さがうかがえる。

菅 「薬害肝炎訴訟大阪原告団の一人については症例一覧表の出た2002年以前に製薬メーカーから報告を受けているのではないか」

高橋 「昭和62年、63年の報告書に含まれていた」

菅 「製薬会社も国もこの人の症例を分かっていた。誰か調べようと思えばできた。それなのに今年、投与を否定する主張を国がやった。どういうことか」

高橋 「担当に聞いていなかった。引き継いでいなかった」

菅 「責任はどうなる。この人は重篤な肝硬変になっている。62年に知らせれば早期治療できた」

舛添 「イニシャルは分からなくても、報告書を受け取ったときに、それぞれの患者の命のことを考えなければならなかった。対応が不十分だったと思う。これからはきちっと対応する決意だ」

菅 「厚労省はフィブリノゲンを投与した人の特定を妨害してきた。医療機関の公表も04年12月に遅らした。なぜなのか」

高橋 「医療機関の同意に時間がかかった」

菅 「なぜ厚労相の権限としてすぐにできないのか」

高橋 「医療機関のプライバシーの問題があった」

菅 「人の命を考慮せず、医療機関のプライバシーを守るのが厚労省の考えか」

舛添 「国民の生命を守るのが厚労省の使命だ。これから改めたい。風評被害を考慮するよりも何が大事か考えるべきだと思う」

高橋医薬食品局長は意識してやっているのかどうかわからないが、非常に不明瞭な答弁に終始した。

少なくともこれは、野党議員vs厚労省という図式ではない。野党議員と厚生労働大臣が共闘して、内輪の都合ばかり重視する厚労省官僚たちの「国民不在」ぶりを断罪している風景に見えた。

薬害を見過ごし資料を隠匿するという、行政の犯罪を性懲りもなく繰り返すこの役所も、一度解体して根本から出直してもらわなければ、どうにもならないのではないだろうか。

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