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2007年11月 7日 (水)

辞意撤回の小沢代表、鋼鉄の理念とガラスの心

小沢は二日続けて、東京駅近くのホテルに部屋をとった。事務所にも国会にも近く、来客も受けやすい。

前日、菅、輿石、鳩山がやってきて慰留され、寝覚めの気分は悪くなかった。ほぼ、気持ちは固まりかけていた。

小沢の部屋を6日午後、羽田孜、渡部恒三、石井一の三人が訪ねてきた。

渡部が例の口調で「国民は民主党が政権政党になってくれるよう願っている。あんたがいないとだめだよ」と言うと、小沢は黙ってうなずいた。

「38年つきあってきて反論しなかったのは初めてだな」と渡部は言う。

「この国の政治への夢を語っていた。彼はまだやる」と石井はしわがれ声をふりしぼった。

剛腕といわれる政治力を持ちながら、心はガラスのように壊れやすい。筋の通った論理を展開できるのに、粘り強く人を説得できない。

矛盾と葛藤を小沢一郎は、いつも心に抱えている。

1969年、同期で初当選した渡部ら三人は小沢の性格を熟知していた。渡部は感慨を胸にTVキャスターに訴えた。

「昔なら福田総理と二人で決めてしまっただろう。それを持ち帰ったのはいいことだ。手柄のつもりで話したら、役員会で反対意見が出て、あんなことになってしまったんだよ」

策略説がある。民主党の一連の動きは小沢のシナリオ通りだというみかたである。アンチ小沢の一人、仙石由人は「われわれを試したんだ」と憤る。

顔は「謀略家」にみえないこともない。しかしそれなら「壊し屋」にはなれない。報道陣にあんな傲慢な態度はとらない。直情径行で、あまり計算がない不器用さが、いつも詰めの甘さにつながり、失敗も多い。それがなければとっくに天下をとっている。

脳科学の養老孟司によると、人は意識するよりも前に、脳が先に働いている。自分の行動についての理屈はすべて後付けなのである。

小沢がすべて自らの理論にもとづいて行動していると考えたら彼を理解できない。

あの辞意表明の会見内容は「怒りの脳」から生まれた後付けの理屈であり、福田首相の話との食い違いはそこから生まれている。

「沈静した脳」からは、また別の理屈が流れ出てくるはずだ。夕方、小沢は事務所に向かった。菅、輿石、鳩山の来訪を受けるためだ。彼らは、まる一日かけて所属議員の意見を聞き、総意をまとめてやってくる。

鳩山らが危惧していたのはこの日午後から予定されていた衆参両院議員の当選回数別懇談会だった。

「民主党はいまだ様々な面で力量が不足している」と辞意表明会見で語った小沢への反発がくすぶっている。
 
「いまさら戻りますでは、国民に説明がつかない」
「大連立は国民への裏切りだ」

予想通り、アンチ小沢派と目される仙石や枝野らから手厳しい声があがったが、最終的には「小沢続投」を了承した。小沢に振り回されたという思いが残るにせよ、消去法で考えれば、その選択しかなかったのだ。

まさに小沢の言うように「まだ党としての力量が不足している」のかもしれない。ぼくらからみれば、民主党も多士済々だが、カリスマ性がある人物となると、見当たらない。党をまとめるのは頭脳の切れだけでは難しいのだ。

午後7時30分、「続投賛成」の総意を伝えるため三人が無言のまま小沢事務所に入った。

午後9時、鳩山氏が報道陣のインタビューに応じ、小沢の発言内容を伝えた。
 
「ご苦労かけました。恥をさらすようだけども、皆さんの意向を受けてぜひ頑張りたい、と仰っていました。明日午後4時半から、小沢代表も出席して両院議員懇談会を開き、そのあと記者会見をいたします」

そして、鳩山は続けた。「小沢代表のたぐい稀な政治センスを民主党のなかで生かせる組織をつくりたいと今回のことで思いました」

鳩山は、小沢を「畏敬」する対象ではなく「生かすべき」対象とみなければならないことにようやく気づいたようだ。

鳩山に安堵の表情が浮かんだ。

この日、自民党では福田首相の新ポスター発表会があり、久方ぶりに、製作にたずさわった野田聖子の底抜けの笑顔があった。民主党の混乱と対照的にこのようなネタを組み込んでくるテレビというメディアは空恐ろしい。

続いて画面に登場した中谷元は「これで小沢さんは党内で文句の言えない存在になるね」とゆとりの表情を見せる。

しかし、真実はこんなものではない。自民党内にも、恐れ、怒り、疑念が渦巻いている。今回のことは民主党の騒動にすぎないとタカをくくっていては危険なのだ。

もし民主に混乱がなければ、小沢に福田首相が約束したという「自衛隊海外派遣や新テロ特措法に関する政策転換」をめぐって自民党内がもめていたかもしれない。
 
7日の記者会見で、小沢がどういう姿勢を示すか。それを国民がどう受けとめるか。ここで予断しても意味がない。いまこの原稿を書いているのが午前9時半だから、あと9時間前後で会見がはじまるだろう。

対決に戻るのか、連立への模索が続くのか。小沢のハラ一つにかかっている。

ここから先は明日のブログで書くことにしたい。                               (文中敬称略)

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