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2007年11月16日 (金)

久間、額賀に“復讐”した守屋の胸中

これは元防衛事務次官、守屋武昌の“復讐”ではないのか。とっさにそう思った。

「それでは申し上げますが、久間先生と、あの、額賀先生ではなかったかと思っております」

あれほどかたくなに口をつぐみ続けた政治家の名前だった。山田洋行の宮崎元専務、そして守屋と会食をともにした大臣経験者は誰か。衆院での1回目の証人喚問でも、それだけは口にしなかった。

参院に舞台を移したこの日の証言でも、北沢俊美委員長ら先に質問した二人には「確かな記憶でなく、ご本人に迷惑がかかるので」と名前の公表を断った。

ところが、民主党の浅尾慶一郎委員が「包み隠さずという宣誓と異なるのでは」と迫ると、気が抜けるほどあっさり、自民党平成研究会(津島派)の顔ともいえる二人の大物政治家の名が飛び出してきた。その瞬間、委員会室に静かなざわめきが広がった。

額賀福志郎は05年10月31日から 06年9月25日まで防衛庁長官だった。そのあとを引き継いで久間章生が防衛庁長官に就任、防衛省に昇格した07年1月9日から7月4日まで初代防衛大臣をつとめた。
 
この間、守屋はずっと防衛省背広組トップの事務次官であった。少なくとも守屋氏は衆院の証人喚問までは、懇意にしていたこの二人の大物政治家にわずかながらも同志的な心情があったと思われる。

しかし、久間も額賀も山田洋行の接待疑惑については「知らぬ存ぜぬ」の一点張りで、ただの一市民になった守屋に気遣いの電話もよこさない。

加えて、頼みとする二人とも、宮崎から車代名目の現金を受け取った一件が明るみに出るなど、状況は守屋にとって不利になるばかりであった。検察の強制捜査は避けられないとみる、マスコミの論調が強まるにつれ、守屋の意識は微妙に変化した。

おそらく、彼は自分を取り巻く決定的な「構図」に気づいたのではないか。いま、危急存亡の自民党は絶対にカネの問題で逮捕者は出せない。検察にその動きがあれば政権の全力を挙げて阻止にかかるだろう。一方、世間の官僚バッシングのなか、高級官僚OBに対しては、懲らしめるほど喝采を浴びる

「オレだけが悪者になる。不条理だ。ほんとうはもっと巨悪がある」

葛藤に苦しむなかで「こうなったら場合によっては、名前を出しても・・・」という思いが心の隅に芽生えていた。

絶対に名前を隠そうという決心があれば、いくら厳しく追及されても口に出さなかったはずだ。

彼の証言によると、久間と宴席をともにしたのは2、3年前、六本木の旧防衛庁のそばにあった料亭でのことだったという。宮崎、守屋のほか、「日米平和・文化交流協会」の常勤理事・秋山直紀も同席した。久間の疑惑と秋山については10月27日の当ブログを参照していただきたい。

額賀が出席した会合については「はっきり覚えている。昔の米国防省のジム・アワーが日本に来たとき、神田の料亭でしたと思う。私が行きましたら、そこに宮崎さんがきて、それから額賀さんが来て、額賀さんが最初に帰った」と子細に証言した。

額賀はこれまで「宮崎氏の接待など受けたことは一度もない」と言ってきた。

守屋証言で自分の名が出たあと、額賀は財務省の大臣室に4時間もこもり、外の通路でイライラして待ちわびる報道陣の前に笑顔を浮かべて現れた。
「宮崎氏やジム・アワーらと一緒したことはまったくありません」と守屋証言を真っ向から否定し、あいかわらず強気の表情をみせた。

額賀は防衛庁長官を二度務め、小渕内閣の防衛庁長官時代には防衛庁調達実施本部背任事件で辞任している。06年1月30日に発覚した防衛施設庁発注工事を巡る官製談合事件のときも、防衛庁長官だった。

財団法人「KSD中小企業経営者福祉事業団」の汚職事件では、KSDから1,500万円の資金提供を受けていたことがわかり、経済財政担当相を辞任した。 ことカネに関して清潔なイメージの政治家ではない。

一方、久間は病院のベッドの上でマスコミの電話取材に応じた。「2,3年前のことなので記憶がないんだよ。絶対に会っていないという自信もないんだ」と病人とは思えない元気な声を響かせた。

二人の政治家からは不思議なゆとりが感じられる。いまの政治情勢にタカをくくっているのだろうか。

田中派、竹下派から現在の平政研究会につながる防衛利権がらみの政治家人脈。ここに手をつけることはそれこそ自民党の崩壊につながるおそれもある。検察が仮に重大な事実をつかんだとしたら、政権との激しいせめぎあいが水面下でくりひろげられるかもしれない。

証人喚問を終えた守屋の胸中には、どういう思いが去来していただろう。後悔か安堵か、それとも怒りか。防衛省の表と裏を知り尽くした男に、残された道は、自らの罪も含めてすべてを明らかにし、利権政治家をのさばらせないことである。

                               (文中敬称略)

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