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2007年11月10日 (土)

真実のアフガンと給油新法

アフガニスタンの人々の、日本に対する「美しい誤解」が崩れつつある、という。

現地ではテロ特措法による海上給油について、民衆はおろか大統領さえも知らず、日本を「力のある中立の国」と信じ込んでいた。ところが、このところのテロ特措法延長問題の大々的な報道によってアメリカ側で活動していることが知られるようになってしまった。

給油新法について審議する特別委で参考人の、伊勢崎賢治氏はそう指摘した。伊勢崎氏の証言を続けよう。

2001年の9.11同時多発テロのあと、米国はアルカイダをかくまうタリバン政権駆逐の目的でアフガンに侵攻。約2ヶ月でその目的を達した。

伊勢崎氏は2003年から2004年まで、アフガンの武装解除を目的とした日本政府の代表として、アフガンに駐在していた。かの地に平和をもたらすには、1979年のソ連の侵攻以来、欧米から供給され人々の間に散らばっていった武器を回収する必要があった。

「北部の方ではまだ巨大軍閥の二つが重火器を使って戦争しているときでした。そこに非武装で入っていって、停戦させて、それで重火器を中心とした武器回収を我々が行ったわけであります」

「みんな武装解除したくないのに、そういうやつらを説得してなぜできたのか。最初はみんな失敗すると思っていたんです。僕らはODAを使ってやりました。それも、口だけです」

「美しい誤解」により、武力を使わず、ODAによる支援をアピールして、伊勢崎氏のプロジェクトは成功した。

しかし、それから3年を経てもまだアフガンに平穏な日常はない。もう一人の参考人、レシャードカレッド さんは日本の大学を卒業し、NGOを立ち上げて、医療と教育面でアフガニスタンを支援している。

「アフガニスタンには産業らしいものはなく、農場は地雷だらけで、どういうふうに収入を得ればいいかわからないのです」

もともとアフガンは農業国である。武器を捨て、普通の生活に戻ろうにも、農地が使えなくてはどうにもならないのだ。

「復興の援助金も都市部と地方の格差があり、就職や収入の不公平が生まれた。それが政治不信につながり、反政府勢力に加わる人も増え、治安の悪化を招いています」
 
一方で周辺の国々から日々、新たな武器が輸送され、軍閥に手渡されている。いったん手放した武器を再び手にする姿がみられるという。

アヘン生産は増加の一途だ。世界の90%以上のアヘンがアフガンでつくられている。農地を失った農民は対価の高いアヘンによる収入に依存しがちになる。

伊勢崎氏はアフガンの根本的な問題点として支配層の腐敗をあげる。

「我々が武装解除として免罪符を与えた元軍閥たち、そのほとんどが閣僚もしくは政治家になっている。これがそれぞれの地元で、不法に武装させた若い者たちを使わせて農民を指導し、脅迫し、麻薬生産に邁進している」

「土台の部分が崩れているから国際部隊の作戦もうまくいかない。警察は腐敗の温床です。警察がうまくいかなければ、司法がうまくいくわけがない。武装解除というのは必ず力の空白を生みます。その力の空白の問題というのはどこに向かうか、タリバンなんです」

ならば、今後、日本はどのようにアフガニスタン問題に対処すべきか。二人はこう指摘する。

レシャードカレッド 「アフガニスタンはパキスタン、イラン、中央アジアの国々に囲まれている。武器も麻薬も、これらの国々を経由している。アルカイダもこのルートを使っているはずです。武器、麻薬、テロを監視するのなら、海上よりは、国境の方が理にかなっている」

伊勢崎 「本当は、テロ特措法はあのまま静かに終えんするのが一番よかった。しかし、この美しい誤解を生む日本の特質を生かし、政治浄化、特に内務省改革で手腕を発揮するのが一番重要な貢献だと思います」

海自による給油活動がどれだけテロ防止に役立ってきたのか。国会での質疑において、政府側ははっきりとした答えを示すことができていない。それは、アフガン問題解決の本質ではないからである。米国のいう「国際貢献」に参加する、ということに外交上の意義があるにすぎない。

アフガニスタンが自力で国の復興を遂げるのは難しい。ならば、国際社会はテロへの対症療法だけでなく、根本治癒への処方箋を真剣に検討し、実行せねばならない。日本はアメリカにいたずらに追従するのではなく、独自の視点を持った提案を積極的におこない、伊勢崎氏がなしたような非武装のリーダーシップを発揮すべきときである。

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