交流協会毒ガス弾処理疑惑、神戸製鋼も関与か?
秋山直紀の「日米平和・文化交流協会」は表向き日米同盟や安全保障のフォーラムなどを続けながら、その裏側で実に巧妙な防衛予算分捕り工作を展開していた。
民主党の平岡秀夫は11月28日、衆議院の内閣委員会で、その一端を暴いてみせた。
舞台は福岡県の苅田港。戦時中、中国大陸に向かう化学兵器の積み出しがおこなわれていた港である。2000年、航路拡張工事にともなう海底調査で、偶然、旧陸軍の毒ガス弾が大量に見つかった。それが事件の発端となった。
03年1月、毒ガス弾処理のための調査委託事業を、一般競争入札により落札したのは、社団法人「日米平和・文化交流協会」(日米文化振興会)の安保研である。この安保研が実体のない秋山のダミー団体であることはすでにこのブログで指摘した通りだ。落札額は908万円だった。
まず、ここからミステリーがはじまっている。もちろん、この協会の目的からいって入札に参加すること自体がおかしい。つまり定款に記載されている事業内容ではないのだ。それでも、当時の防衛庁はすんなりと、調査を委託した。
そもそも防衛省(庁)には、化学兵器処理の専門家がおり、外部に調査を委託する必要などない。ふんぷんと疑惑の香りが漂っていた。
秋山の安保研は、毒ガス弾処理方法として予想された「加熱爆破式」ではなく、「制御爆破式」を選定した。防衛庁はこれにもとづき平成15年11月、処理事業の第1期(57発)の一般競争入札を実施した。
日本で唯一「制御爆破式」の技術を有する神戸製鋼が約21億円で落札した。
その後、防衛庁は平成19年にかけて毎年、神戸製鋼と随意契約を結び計約2000発、217億円分の処理工事を実施させた。
それにしても、特定の企業にこれほど都合よくコトが運ぶものだろうか。通常はありえないことだ。
しかし、周到に準備されたシナリオにしたがい、守屋、秋山、宮崎ラインが神戸製鋼を巻き込んで動いたと考えれば、合点がいく。
神戸製鋼は田中順常務執行役員を理事として交流協会に参加させている。鉄鋼会社からの理事は一人だけだ。
彼らが計画をすすめるにあたってネックになったのは、外務省が中国における遺棄毒ガス弾処理に「加熱爆破式」というやり方を採用し、当時の外務副大臣が防衛庁に対して「それを尊重して判断して欲しい」と主張していたことだ。
「加熱爆破式」なら神戸製鋼がこの仕事を受注する可能性は低くなる。
そこに「天皇」といわれた守屋の力が働いた。交流協会の安保研という実績のない団体を強引に競争入札に参加させ、落札させる。そして、その調査結果から「制御爆破式」という神戸製鋼に有利な方式を選択する。これで、少なくとも外務省に防衛庁が楯突いたという印象は避けられる。
あとは、守屋、宮崎、秋山らの思うがままである。宮崎の狙い通り、山田洋行は、事業を受注した神戸製鋼の下請けになって、毒ガス弾を海底から引きあげる潜水士の手配を受け持った。
国内で見つければいいものを、宮崎はわざわざ米国から潜水士を招き、18億円という手数料を得た。そのあくどい儲けの分け前として、1億円の裏金が山田洋行から秋山直紀の手に渡っている。
さて、これからの問題は神戸製鋼である。もしこの疑惑が神戸製鋼と政治家に波及するようなことがあれば、守屋・宮崎の接待にまつわる贈収賄事件は、国家を揺るがす大疑獄に発展するかもしれない。
(敬称略)
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コメント
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落札額が908万円の事業に対して、1億円の裏金を安保研に支払うことがおかしいと思わないか?
この記事のネタとなったであろう民主党・共産党の追求はまだ表面の話だけであり、今分かっている事だけで単純な絵を描くにはまだまだ早い。それを無理にすると理屈が通らないだろう。安保研の闇は深い。守屋はこれには入らないはず。宮﨑もあまり関与していない。これは政治家、特に久間章生の資金源の話に発展するはず。
投稿: | 2007年12月 7日 (金) 19時56分
どなたか存ぜぬが、908万円で調査を落札したのは安保研でござろう。山田洋行は217億円の処理工事をした神戸製鋼の下請けの潜水作業等でかなり儲けて秋山の安保研(交流協会)に裏金を渡したと書いてあるぞよ。
投稿: 大江戸花浪人 | 2007年12月 7日 (金) 22時00分