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2008年1月13日 (日)

小沢、本会議抜け大阪へ走る 府知事選がヤバイ

大騒ぎすることではない。小沢一郎が新テロ対策特別措置法の再議決を棄権したことくらい。彼は「雲隠れ」の名人なのだ。

なにより、筋書きの決まっている本会議は、退屈なのだろう。彼も小泉純一郎とは違うタイプの「変人」である。いまさら「常識論」を押し付けても仕方がない。第一、政治家のくせにアジ演説や、冠婚葬祭など形式的な挨拶が大嫌いときている。だから本当は国や党のトップより「キングメーカー」が向いているのだ。

ジャーナリスト、薬師寺克行は政治記者時代、小沢への取材で苦労した経験を語る。
「政局が緊張するほど、小沢氏は所在不明になる。記者の前から姿を消すだけでなく、自分の党の幹部でさえ、連絡が取れない、と頭を抱えることが少なくない」

小沢は国会議員なのに議会が嫌いなフシがある。「僕は国会でほとんど質問をしたことがない。質問しても、役人の話を聞くだけだから何の意味もない」

そのころ、小沢は田中康夫とともに大阪に向かっていた。参院で同じ会派を組んでいるとはいえ、他党の代表と大阪府知事選の応援である。そこがまた、小沢らしい。このところ、小沢は田中と相性が良いようだ。

「官僚独裁政治」を許す今の自民党をほんとうにぶっ壊したいなら、一度、小沢に政権をとらせてみてはどうだろうか。だめなら、それから考えればいい。とにかく政界の大再編劇が起きなければどうにもならないだろう。今は、小さなことに目をつぶるべきだ。

政界再編といえば、いつも中心にいるのが小沢一郎である。1955年の結党以来38年にわたった自民党政権を終焉に追い込み、細川政権を誕生させたのは小沢の手腕であった。

細川内閣が「国民福祉税」構想や金銭スキャンダルの問題で突然、総辞職したあと、小沢は自民党の渡辺美智雄に目をつけた。「仲間と一緒に自民を飛び出して首相に」ともちかけたのだ。ミッチーは一度は「うん」といいながら、結局、決断できなかった。「渡辺首相」は幻に終わり、羽田孜が後継となったが、もし「ミッチー内閣」が実現していたら、政治史は全く違う流れになっていただろう。

その後の、自民党と自由党の連立政権は、小沢がどうのというより、小沢の「再編志向」を熟知している例の渡邊恒雄・中曽根康弘コンビがお膳立てしたものだった。昨年の民主党、自民党の大連立騒動の源流とでもいえよう。渡邊・中曽根ラインはいまだに連立をあきらめてはいない。

原理原則にこだわり、妥協を知らぬ性格が災いして多くの側近が去り、彼のグループは弱体化していったが、民主党に合流したことが運命を変えた。

民主党の“オーナー”、鳩山由紀夫はその言動にハラハラしながらも、小沢をかばい続ける、忍耐の人である。「雇われ社長」の小沢は鳩山や菅のガードのもとで、信念を貫ける環境にある。かつて、金丸信の後ろ盾のおかげで、幹事長として辣腕をふるうことができたのと似た状況とも言える。これが一つ目の幸運。

二つ目の幸運は、自民党の顔が「自民党をぶっ壊す」の小泉純一郎でなく、福田康夫であることだ。足して二で割る「日本的コンセンサス社会」を嫌い、官僚主導の政治状況に反発する剛直な小沢と、「調整型政治」のソフトな福田は対極的なイメージである。現下の、危機的な政治状況を考えれば、現状維持より改革のイメージが強いほうが有利だろう。

ところが、いま大阪で困ったことが起きている。民主が推薦する知事選候補、熊谷貞俊のキャラクターが地味でとうてい選挙向きではなく、派手なパフォーマンスの自民党府連推薦、公明党府本部支持、橋下徹に押されがちだというのである。ガソリン税の暫定税率が期限を迎える3月末を勝負どころとし、暫定税率廃止をアピールして福田政権を追い込もうとする民主党にとって、その直前の大阪府知事選でつまずくわけにはいかない。

もし、タレント議員に有利な大阪で、口下手な工学者を擁して勝つことができれば、小沢が、細川・羽田政権崩壊後、長年にわたる挫折の連鎖から脱し、再びかつての強運な流れに政治人生を転換させたことを印象づけるだろう。自民党内の造反組が「勝ち馬」に乗ろうと、蠢きだすに違いない。政界再編はさらに現実味を帯びてくる。

小沢にとって、新テロ対策特別措置法採決よりも、大阪を応援しなければヤバイという、危機感のほうが強かった。だから、結果が分かっている採決を待たずに退席した。記者たちに「代表としての小沢の行動」について感想を聞かれ「それはいいことです」という政治家は、与党はもちろん、他の野党や自分の党にもいない。そんなことは承知の上である。批判を恐れ、タテマエ論に終始するのが政治とマスコミの常なのだ。

おりしも、“政界のラスプーチン”飯島勲がこんなことを講演で言い出した。「民主党の一部議員が再編のかじ取りをしようとなった場合、もちろん小泉純一郎の名前が出てくると思う」。小泉事務所に辞表を提出して、形の上では秘書をやめたはずだが、小泉のハラのうちを一番知っている男である。

これが何を意味するのか、今後憶測を呼びそうだが、経済の落ち込みが予想される今年、国の閉塞状況打開のため「政界再編」は避けて通れない。その中心にいる小沢を、小泉がどう見ているのかも気になるところだ。

                        (敬称略)

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コメント

 小沢党首は、今年、政界で一番注目されるでしょう。今年は、政治経済において「波乱」の年になりますし。記載されているとおり、意味の無いことをしない政治家に思います。また、表舞台や地位よりも内部で実質的主導権を持つのが好きな人物に思っています。だから、権力中枢を誰よりも欲しがっている。
 また、昔ながらの豪快な大物政治家は彼ぐらいに思います。関係者や記者を呼んで新年会をしていることからも解る。

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