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2008年1月17日 (木)

「諸悪の根源・官僚の議員まわり禁止」堺屋文案に、族議員ら反発

「角さん」といっても、若い人に馴染みはないだろう。水戸黄門の家来ではなく、田中角栄のことである。ロッキード事件で逮捕された元首相といえば聞こえが悪いが、戦後の政治史における傑出した政治家であったことは誰もが認めるところだろう。

一兵卒の代議士時代に26もの議員立法を成立させた政治家が彼以外にいるだろうか。角さんは尋常小学校出だが、人一倍勉強家だった。大臣になると、秀才官僚たちが彼の手足のように動いた。 長年、秘書をつとめた故・早坂茂三は著書「オヤジと私」でこう述懐している。

「役人は既存の法律を前提にその枠内で考える。オヤジは新しい法律をつくればいいと考える。勉強もしている。見識もある。方針をキチンと示す。責任をとってくれる。こうなれば安心して官僚たちはついてくる」

こういう、いわば「人間力の持ち主」がリーダーだと、いとも簡単に政治主導となる。ところが、こんな傑物はザラにはいないから、たいがい「霞ヶ関」官僚の言いなりだ。
 
小泉・竹中の構造改革は、角さんとは別の方法で、「霞ヶ関」から「官邸」に主導権を奪い返した。だから、銀行の不良債権処理や郵政民営化、経済成長路線で一定の成果をあげた。

まず、総理である小泉純一郎が「自民党をぶっ壊す」という殺し文句で、国民を味方につけた。次に、竹中平蔵経済財政相に金融相を兼務させた。竹中はこれを受けて、大ナタをふるうための体制づくりに着手する。大臣を支え、行動する個人スタッフを置き、経済、金融、会計の専門家によるいわゆる「竹中チーム」を発足させた。

竹中は著書のなかで「多くの大臣は行動するブレーンを持たないから、官僚を使うといいながら、その言いなりになる」と指摘する。

そして、竹中はもう一つ重要な「援軍組織」をつくった。森内閣時代からあった経済財政諮問会議を強力な政策推進機関に仕立て上げたのである。なぜ、竹中がそれを思いついたのか。議長の小泉首相、運営責任者の竹中、そして信頼できる4人の民間議員がいたからである。彼らと力を合わせることによって、構造改革の司令塔の役割を果たせるはずだ、と読んだのである。結果は、その通り、官僚や与党の分厚い壁を突き崩した。

竹中は「諮問会議は日本における政策の決定プロセスを大きく改革する原動力となった」と書いている。

小泉・竹中がひな型をつくった改革路線は安倍晋三が引き継ぎ、補佐官制度も創設して「官邸主導」はさらに推進されるはずだった。ところが、その後、日本の政治は小泉内閣以前に戻ってしまった。安倍が突然退陣し、福田が派閥談合で総裁選に勝利して首相の座に就くと同時に、官僚ともたれあう利益誘導型の守旧派政治家たちが復権した。

このため、まず、安倍の悲願であった独立行政法人改革が中途半端に終わった。次に、いま問題になっているのが公務員制度改革のための有識者懇談会。これも安倍が設置したものだ。この会議で、堺屋太一が「内閣中核体制の確立」という改革案をまとめたのだが、これが案の定、与党や官僚の反発を食らっている。改革案の概要はこうだ。

行政の中核は内閣であり、国会に対しては、内閣が全責任をもって対応する。各大臣を補佐する「政務専門職」が議員との折衝を行い、それ以外の公務員が直接接触することは原則禁止とする。

堺屋は「官僚が議員まわりをすることがあらゆる問題を引き起こしている。日本特有の悪弊をやめなければならない」と懇談会の席上で指摘した。つまり、政官財の「鉄のトライアングル」を解消し、族議員と官僚による「血税ばらまき構造」を崩すのが目的だ。

これについて、族議員や官僚が反対するのはわかるが、福田首相までもが「政策決定できるレベルの人が接触してはいけなくて、本当に正しい判断ができるのかどうか」と慎重な言い回しなのはどんなものだろうか。

改革に消極的な首相の姿勢が昨今の日本株の総崩れ的な下落にも影響している。これが、福田内閣の性格を物語っているといえばそれまでだが、不況の影が忍び寄るなか、財源不足を安易な増税でまかなうという愚論がまかり通るとなれば、国民の受けるダメージは、はかり知れない。

                        (敬称略)

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