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2008年2月15日 (金)

道路官僚の謀略 中期計画に旧データ使用

道路の特別会計というのはよほどカネが余っているとみえる。「みちぶしん」という道路建設PRのミュージカル公演を全国で繰り広げ、3年間で約5億円の道路特定財源をぶち込んだ。国交省が「ふるさときゃらばん」というれっきとした劇団と契約し、会場費を払って、無料で親子を招待するイベントだ。

この公演を観た公明党の赤松正雄氏という人物は「道路づくりを讃歌する舞台を堪能した」と、ブログで絶賛している。失礼ながら、教養のかけらも感じられない。これが、日本の国会議員の頭の中である。

芸術を政治的なキャンペーンにつかうべきではない。子供たちの豊かな感性を育てたいなら、例えば木下順二の「夕鶴」のような作品を無料で観劇してもらう機会を与えてほしい。

「かつて人々は、そこに道路や集会所、あるいは田んぼに水を引く掘り割り、また心のやすらぎのため村にお寺や神社が必要であれば、自らの力を出し合ってつくりました」と公演のパンフレットに書かれている。

昔はたしかにそうであっただろう。だからといって、今、山や森を削って高速道路を通すことが大切だということになるであろうか。

何が何でも、国交省は道路財源を抱え込んでおきたいのである。2006年から、日本は人口減少がはじまった。「若者の車離れ」も指摘され、国内での車販売は頭打ちになっている。どうみても、これから交通量がどんどん増えていくとは思えない。ところが、国交省は2030年まで交通量は増え続け、それから減少に転じると主張する。

これが無茶な言い分であることは、当の国交省が一番わかっている。実際には、彼ら国交省官僚はこれまでにない危機感をいだいている。ふつうにデータを分析していけば、道路財源が削られることは必定だ。「だから、知恵を働かせろ」。道路族との暗黙の了解だ。国民からみれば、もちろん悪知恵である。

彼らの手口はこうだ。まず、道路の建設計画をこれまでの5年計画から、10年の中期計画に変更した。5年ごとの見直しだと、予算削減の機会が増えるからだ。中期計画は昨年11月に策定したが、この基になる交通量データは平成11年に実地調査し、14年に将来推計値を算出したものだ。

ところが実は、平成17年に実地調査をしているのである。これが最新のデータであり、これを用いて中期計画をつくればいいものを、わざわざ古い平成11年の数字を使った。なぜそんなことをするのか。17年のデータでは都合が悪いからだ。

昨年3月、17年のデータから算出した将来の交通量推計値が検討資料として中間報告された。それによると、中期計画にくらべ、2030年で8.7%、2050年では実に15.5%も交通量推計値が下振れすることが分かったのである。

そこで、彼らはこの新推計値を大臣にも知らせず、こっそりとしまいこんだ。そして、17年調査の正式報告書が平成20年秋に完成する、と大臣に説明した。「それまでは11年調査が最新データだ」。それで押し通すことにしたのである。

こうして、平成11年に全国37000箇所で通過する車の台数を調べた「交通センサス」調査をもとに、交通量の将来推計がなされ、費用対効果(B/C)が計算され、B/C1.2以上の道路を建設するという理屈付けで、平成20年から10年間の中期計画に59兆円の財源が必要だと言い張っているのである。この数字は高いほど道路建設の値打ちがあるわけだが、先進諸国ではB/C3.0以上が道路建設の目安といわれている。

国交省官僚たちの優秀な頭脳は、こうしたことにエネルギーを使い果たしている。いかにも、もったいないではないか。

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前段のご意見大変もっともだと思い、私のエントリーに引用させて頂きました。誠に勝手ながらトラックバックさせて頂きました。

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