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2008年2月26日 (火)

新型インフルへ、基礎免疫ワクチン全国民分を用意せよ

いつか必ずやって来る新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)。国家的大パニックへの日本政府の備えは十分なのだろうか。25日の衆院予算委員会における、民主党の末松義規議員と厚労省のやりとりからみえてきたのは、「検討中」という決まり文句と、すべての国民に行き渡らないワクチン備蓄の現状である。

ワクチンといっても、まだ発生していない新型に対するものではなく、「プレパンデミックワクチン」と呼ばれるものだ。猛威をふるっているH5N1型の鳥インフルエンザウイルスからつくる。すでに、H5N1型ウイルスによりインドネシアと中国で、人から人への感染例があり、ヒト型(新型)への遺伝子変異が迫っているとみられる。

政府はプレパンデミックワクチンをこの3月までに2000万人分備蓄する。うち1000万人分は中国で発生したH5N1型ウイルスから製造したもの。あとの1000万人分はインドネシアとベトナムで発生したH5N1型ウイルスからつくったものだ。

厚労省の説明によると、プレパンデミックワクチンを打てば抗体ができ、3ヶ月間は重症化を予防できる。半年たってもある程度、重症化は防げる。基礎免疫については一度接種すると、10年から40年持続し、かなりの予防効果があると考えられる。

いまのところ、国民の生命を守る最大の防御策はプレパンデミックワクチンの事前投与なのである。

そこで、末松議員は2000万人分という数量に疑問を投げかける。政府は医療関係者や消防署員、警察官など社会活動従事者に優先的にワクチンを接種する計画だ。なぜ、希望する国民全員が接種できるだけの数を用意しないのか。

末松議員は「1300億円で全国民に打つ分のワクチンができるはずだ。いまから少しずつ接種していけば、それだけ脅威は少なくなる。米国では組織培養により大量にワクチンをつくる研究を進めている。日本も早急に対処すべきだ」と訴える。

ひとたびパンデミックの状況になったら、政府はとりあえず国民に2週間の外出自粛と、そのための食糧備蓄を呼びかけることにしている。ところが、新型インフルエンザの流行は1~2年の間に、寄せては返す波のように何度も何度も襲ってくる。2週間では解決しない問題なのだ。自宅の食料が底をつき、外出もできなければ、誰がどうやって食料を配ってくれるのか。そんなことができるわけはない。

政府予想では、パンデミックによる、日本人の死亡者は最大64万人だ。しかし、オーストラリアの研究所で210万人という数字を出しているところがあるという。

厚労相の西山健康局長は「致死率は弱毒性のスペイン風邪にもとづいたものだ。今回のH5N1型は強毒性なので想定以上の数字になる可能性はある」と、最大64万という想定の甘さを示唆した。

医師でさえ、自分や家族を守るため病院のシャッターを閉ざしたい、というのがホンネである。新型が発生し、対応するワクチンができるまでは1年近くかかる。それまで待ってはいられない。

「だからこそ、国民全員がプレパンデミックワクチンで基礎免疫をつけておき、マスクやゴーグルをつけて外出することができるようにする。それしか方法はないのではないか」と、末松議員は指摘する。

この日の委員会で、町村官房長官は「ご指摘をうかがっていて、コトの重大さを改めて認識した」と語り、額賀財務相も「きわめて大事なことなのできちんと対応します」とワクチン増産の予算措置に前向きな姿勢を示した。

備えあれば憂いなしである。政府の危機管理能力がここでも試されている。

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コメント

 コメント初めてです。宜しくお願いいたします。ただの開業医です。
---国民の生命を守る最大の防御策はプレパンデミックワクチンの事前投与---
 全くそのとおりだと思います。
 「プレパンデミックワクチン」とはいうものの、グラクソ・スミスクラインのワクチンの様に、H5N1亜型であるベトナム株から作ったプレ・ワクチンがインドネシア株に対しても有効性を示したというデータが昨年の8月LANCETに出ています(スイスが採用したワクチンですね)。これは新規開発したアジュバント添加によりワクチン原液量が10分の1以下に節約できるとか。これはFluワクチン製造のボトルネック部分を飛躍的に効率化するデータです。しかも、日本を含め、製造法の伝授や開発したアジュバントを提供する用意がある、と既に打診してきているそうです(どこかで見たのですがソース不明)。それなのに行動計画はなにも変わっていない。H5N1が今の強毒性を保持してヒト型に変異したら甚大な被害を被るというのに、なぜやらないかの問いにたいし、効かないかもしれないとか、副作用の保障がどうとか・・・答弁した方は医学的な事は理解できていないのでしょう。
 国にはすぐにも行動して欲しいです。現在進んでいる国内ワクチンメーカーのプレパンデミックワクチン開発とは別に、あるいは方針転換してでも。

政治家や官僚たちに、新型インフルエンザに対する危機意識が薄いのは困ったものです。アジュバントについても、西山健康局長はあまり認識していないようで、「すぐに調べる」と回答していました。一方で「ワクチンで重篤な副作用が出る恐れもあるので、これから議論を進めたい」と悠長なことを言っています。医師会も国に迅速な行動をとるようプッシュしてほしいものです。

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