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2008年2月28日 (木)

「中国で起きたとは考えにくい」と中国側、ファジーなまま中国食品復活を画策か

危惧したとおりである。冷凍ギョーザ事件について、中国公安当局が次のような見解を示した。

「中国北部の工場で製造されたギョーザによって日本で起きた中毒事件は、人為的な特殊な事件であり、中国で起きたとは考えにくい」

「日本で起きた」事件だが、「中国で起きたとは考えにくい」という。「考えにくい」というのがミソである。断定は避け、たとえ真犯人が分かったとしても、結論を曖昧にしたまま、時が過ぎるのを待つつもりなのだろうか。 

27日、中国から帰国した警察庁の安藤隆春次長は「日中にまたがる難しい事案だが、連携を強化していくという点では一致した」と語った。捜査権がないのだから「よろしくお願いします、と頭を下げて帰ってくるのがせいぜいのところだ。

事件発覚後、日本政府から4人の調査団が現地入りしたが、出勤簿や監視カメラは現地警察に押収され、中国国内の捜査の全ては中国公安当局に委ねられている。

中国にとって、昨年の米国に続き「中国食品の安全性」を疑わせる事件が起こったことは、深刻な事態である。常識的に考えれば、北京五輪を前に、きっちりと事件を解決し、安心して世界から観客がやってこれるムードをつくりたいはずだ。

しかし、本気で事件の真相を追っているのだろうか。事件発覚以降の、中国側の記者会見を聞いていると、いかにも「日本国内の事件だ」と言いたげなニュアンスを漂わせている。

日本なら、内部告発もあり、いまや企業が不祥事を隠すことは難しい。警察も、このような事件の捜査に政治的圧力がかかることはない。しかし、中国のような社会体制では、政治的プロパガンダが優先されるということはありうるだろう。

仮に、先進的な設備が整った工場内で、巷間ささやかれているような労使のトラブル等があり、その腹いせに殺虫剤が混入されたとしたら、コトは一つの工場の問題にとどまらない。中国では貧富の格差が拡大し、低賃金にあえぐ労働者の不満があちこちでくすぶっている。中国政府としても、社会の構造的な矛盾が事件の背景とされるのは何としても避けたいに違いない。

一方で、「中国に非はない。日本国内で混入されたものだ」などと、頑として日本側の疑念を突っぱねたら、日本人はそれこそ中国食品をボイコットするかもしれない。中国当局は捜査が難しいのをこれ幸いに、「中国で混入されたとは考えにくい」という曖昧な見解で押し通すことにしたのではないだろうか。

たしかに、日本人は「喉元過ぎれば熱さを忘れる」傾向がある。あの米国牛のBSE問題も、もう過去のことになってしまった。牛丼や焼肉の店で、肉の産地を気にしている人はもはやほとんどいないだろう。安くておいしい牛丼を食べたくて復活初日に長蛇の列をつくるほどなのだ。

日本の食料自給率はすでに40%を切ってしまった。小麦は政府が輸入して製粉会社に売り渡すシステムだが、世界的な小麦争奪戦のなかで価格が急騰し、なんとかギリギリ必要とする量を確保できている状態だ。

タイの広島風お好み焼き、中国のたこ焼きなど、大陸からの冷凍食品は悲しいことに、日本の食卓に欠かせなくなってしまっている。自炊する手間を省くライフスタイルが広がってしまったという現実もある。
 
そのことを、中国側は見透かしているようだ。しばらくの間は仕方がないが、時が経てば、必ず日本人は中国の食品に戻ってくる。そう読んでいるのに違いない。戦後の日本人はアメリカばかりか中国にとっても、世界で一番、御しやすい民族なのである。

中国食品回帰へのきっかけづくりに、もはや中国側の関心は移っている。国家品質監督検査検疫総局が日本の厚生労働省に「食品安全に関する協力協定」の草案を提示したのがその一つの表れだ。安全対策への積極姿勢をアピールする狙いは明らかである。

結局、「安全宣言」まではいかなくとも、中国の工場の監視強化とか、日本側の検査体制の充実など、両国がいちおうの対策をぶちあげて、ひとまず一件落着となるのだろうか。そして、この8月には、北京オリンピックをテレビ観戦しながら、中国のギョーザでビールを一杯やっているのであろうか。

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