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2008年2月21日 (木)

米軍機追尾事件で垣間見せた国交省航空局「ことなかれ」シンドローム

それは昨年8月8日午後のことだった。シドニーを出発し成田に向かう途中のボーイング747―400型機がグアム島付近にさしかかっていた。

JALウェイズ772便。高度は約1万1500メートル。機内ではベルトサインが消え、414人の乗客は巡航中のくつろいだ雰囲気のなかにいた。

コックピットからは、遥かかなたまで見渡すことができた。澄み切った空と、眼下に広がる太平洋の、限りないブルーの世界を堪能しながらパイロットたちは飛行を続けていた。

と、そのときだった。突然、空中衝突防止装置が作動した。「ディセント(降下しろ)、ディセント」。警告音が大音量で響いた。米軍のF15戦闘機2機が後方上空から急接近していたのだ。

機長は、回避指示の通りに機体を降下させた。米軍機も降下した。「危ない、ぶつかる」。機長は瞬間的にそう感じた。米軍機は間一髪で、右下方にすり抜けた。

JALウェイズ772便は何ごともなかったかのように成田に向かった。乗客には何も知らされていなかった。プレスリリースもなかった。

一つ間違えば大惨事につながったこの事件は闇に葬られようとしていた。JALウェイズは航空法111条の4に従い、翌日の8月9日、国土交通省に報告した。それに対して、国交省はどのような措置を講じたのか。そのことが、20日の衆院国土交通委員会で問題になった。共産党の穀田恵二の質問に答弁したのは鈴木久泰航空局長である。

「JALウェイズから報告を聞いたが、空中衝突防止装置の回避指示に適切に従った、ということなので、国交省としては特段の調査をしておりません」

下を向いてメモを読み上げていて、よく聞き取れない。空の安全を守る組織のトップが、しっかりと分かるように説明できないのは、まことに不安である。

米軍機がなぜ民間機を追尾し、危機一髪の状況に陥ったのか。それが、問題の本質だ。国交省がこの件で即座に、米側に対して調査要求をしなかったのは不思議なことである。

業を煮やした航空安全推進連絡会議など乗員組合3団体は9月27日、国交大臣と外務大臣あてに、調査をするよう要望書を提出した。これでようやく、国交省が重い腰を上げ、外務省を通じて米大使館に調査を申し入れた。

11月15日、米国大使館で、米軍側が航空労組3団体に説明し、謝罪した。米軍の説明によると、グアム付近では当時、米軍の訓練が行われており、F15戦闘機はJALウェイズ機の所属を目視で確認できず「正体不明機」として接近したという。米軍やシーファー大使から「戦闘機の接近方法に非があった」「再発しないよう努力する」との文書が3団体に届けられた。

穀田は「米側の対応のほうが誠実だ。国交省からは3団体にいまもって何の回答もないではないか」と憤る。

おりしも、最新鋭のイージス艦が親子の乗った小さな漁船に衝突するという、とうてい考えられない悲惨な事故を起こし、「怠慢運航」と「緊急連絡の遅れ」が問題になっている。国交省航空局の「事なかれ体質」も米軍機追尾事件への対応で明らかになった。国民の安全を守るべき官庁にはびこる「鈍感力」ならぬ「鈍感シンドローム」に、底知れぬ国家の危機を感じる。

                            (敬称略)

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