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2008年2月 1日 (金)

まだまだ不安な日本の血液

献血による血液を原料としてつくられる血液製剤。その薬害はHIV、C型肝炎などの社会問題を引き起こした。国はしっかり反省し、被害者に詫びたはずだ。もはや、日本で輸血による新たな人体汚染は起こらないものだ、と単純に信じていたが、まだ決して安心できる状況ではないらしい。

1月31日の参院予算委で、民主党の割り当て時間内に質問に立った田中康夫議員は、欧米や東南アジアの一部諸国よりも立ち遅れている血液行政の現状を厳しく追及した。

まず、取り上げたのは、1月25日厚労省が発表した献血データだ。これによると、2007年に全国で献血した人のうち、102人がHIVウイルスに感染していたという。献血者のHIV感染は年々、増え続けている。

現在の検査方法により、こうした汚染血液の大半は捕捉し、排除することができる。ところが、それだけで完璧といえないのは、感染してから検査で陽性と出るまでにHIVで2週間、B型、C型肝炎は3週間くらいの「ウインドウ期間」を要するからだ。献血者がこの期間に属する場合、検査結果は陰性となり、血液製剤の原料として使われてしまう。

とくに、検査を目的に献血する人は、この期間内であることが多く、危険性が高い。

つまり、このようにして検査をすり抜けたHIVや肝炎などのウイルスが輸血で人に移る事態はいまでも起こりうるということである。現実に、平成15年に1件、このケースでHIVに感染した犠牲者が出ている。

これを完全に予防する手段は、あらゆるウイルスを殺してしまう「ウイルス不活化」技術しかない。英、仏、独などヨーロッパ諸国ではすでに導入され、米国では今年1月11日、より先進的な不活化技術の採用を決めた。アジアでも、シンガポールやマレーシア、タイ、ベトナムで導入しているという。

田中議員は「どうして日本ですぐにこれを導入できないのか。不活化という作業によって、プリオン以外のすべてのウイルスや細菌を殺すことができる。200億円の予算で導入でき、年間60億円の維持費ですむことだ」と政府の見解をただした。

これに対し、福田首相は「こうした深刻な問題は時間をかけてはいけない。早くやるように督促したい」と答弁。

しかし、舛添厚労相は「不活化処理が赤血球、血小板など有効成分を壊す懸念があり、それについて検討中だ」と官僚の事前レクチャーを真に受けた見解を述べるにとどまった。

田中議員は「欧米がやっていることは愚かだとでも言うのか。行政が製薬会社のほうに向いていて、国民の生命に向いていないから、対応が遅れるのではないか」と疑問を投げかけた。

厚労省は、これまで日本の製薬会社の利益を守らんがため、外国の新薬の認可や、問題のある血液製剤の使用禁止を遅らせ、助かる命を見殺しにしてきた。もうよほど懲りているはずである。これ以上、血液による被害者を生まないよう、迅速に対応しなければならない。

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