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2008年3月31日 (月)

胡散臭い「メタボ健診」4月からスタート

かねてから胡散臭いと思っていた、この国のメタボリックシンドローム対策。4月1日からこれに特化した40歳~74歳対象の健診が始まるということだが、厚労省が取り組みに熱心な背景には、なにやら深いワケがありそうだ。

30日の読売新聞社説に興味深い話が紹介されている。メタボリックシンドロームかどうかを判断するお腹の太さや、中性脂肪、コレステロール値などの「診断基準」。それをを定めた作成委員会メンバーのうち、国公立大の医師11人全員が、02~04年の3年間で、高血圧などの治療薬メーカーから計約14億円の寄付を受けていたというのである。

「治療薬メーカーに有利な基準になるのではないか」。まずは、そう勘ぐられても仕方がないだろう。

メタボリックシンドロームについては、男性の場合、腹囲85cm以上という基準からして、怪しいとされていた。40歳を過ぎると腹が出てくるのはある意味、自然なことである。おそらく、人体に備わった摂理だろう。

年をとると基礎代謝が低下し、エネルギーの必要量が減る。それでも、健康だから若いころと同じように食べる。余った脂肪が腹につく。不健康で食欲がなければ痩せるだろう。理屈で言えばそういうことだ。腹囲85cmをこえる中年男なんてゴロゴロいる。

つぎに、コレステロールが怪しい。「診断基準」では、HDL(善玉)コレステロールが1デシリットル中、40mg未満の場合にメタボが疑われる。ところが、LDL(悪玉)コレステロールについてはなぜか数値が示されていない。不思議なことである。

しかし、実は、LDL値が120mg以上の人には薬を勧めるようになっているという。現在の標準的な高脂血症治療にしたがうということだろう。

なぜLDLの数値を示さなかったのか。ここからは推測だが、悪玉コレステロールはある程度高いほうが体にいいという異説をかねてより、浜崎智仁・富山大教授が提起していたことと無関係ではないように思う。

この浜崎説を裏付けるデータがこのほど発表された。大櫛陽一・東海大教授らがコレステロールと死亡率に関する疫学調査を進め、日本人約17万3500人分を「メタ分析」という手法で解析した。

この結果、男性で死亡率が高いのはLDL値が79mg以下の「低コレステロールグループ」で、140~159mgの「高コレステロールグループ」の1.6倍だった。男女ともLDL値が低いと、癌や呼吸器疾患が多発し、死亡率が上昇した。

大櫛教授によると、LDL値の適正範囲は男性の場合、100~180mgとするのが妥当だという。厚労省の120以上という基準値を当てはめると、適正範囲のほとんどの人がメタボ該当者にされてしまう恐れがある。

浜崎教授は「コレステロールを悪者にする説はもともと米国から来たもの。米国は心臓疾患や肥満が多く、日本人と体質が違う」と指摘する。

人種が違うと、当然、体質も違うだろう。同じ人種でも個体差がある。なのに、同じ基準をあてはめ、不必要な人まで、薬物治療の対象にしてしまう可能性があるということだ。

関連する薬品メーカーの寄付を受けた医師らが「メタボ診断基準」を作成し、それを用いて厚労省の旗振りによる「健診」が行われ、生活指導と称しながらも、結局は「メタボ」と診断した人々に薬を勧める。それがメタボ健診の実相だ。40歳以上の男性で腹囲85cm以上、LDL値120以上というと、おそらく相当な割合を占めるに違いない。

それによって潤うのは製薬会社と、儲けのためなら薬を出しまくる一部の不心得な医師である。厚労省と、天下り先の製薬会社、その利権の分け前にあずかろうとする政治家の「薬品販売キャンペーン」というニオイがプンプン漂ってくる。

その一方で、世界に誇れるはずの医療がいつの間にか狂ってきているのが日本の現実だ。産科、小児科などを中心とした医師不足と偏在、急患のたらいまわし、医療従事者の過重労働と疲労。診療報酬の引き下げの影響、保険診療の危機・・・。

そして今後、混合診療の解禁で自由診療が拡大すれば、公的保険だけでは十分な医療が受けられないという、医療格差が生まれる恐れもある。

予防ももちろん大切である。しかし、今まさに命を脅かされている多くの人々にまずは安心できる医療体制を提供すべき時ではないか。役所の各部局がいままで通りの予算を確保し網羅的な行政を進める時代は終わった。優先順位の高い課題に集中的にエネルギーを注ぎ込むことが何より肝心だ。

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コメント

いつも、ブログ読ませていただいています。

世間の今を鋭い目線で射抜いておられ敬服しています。

今回の内容も素晴らしいです。

リハ職をしている者として非常に共感する
コメントされています。

りゅうさん

コメントありがとうございます。励みになります。書き続けたいと思いますので、これからも読んでください。

メタボ健診の記事に出ていた、富山大学の浜崎教授とは、40年以上の親友で、毎日メールで情報交換をしています。先週28日に17万人の健診結果を、厚生労働省で記者発表をするために東京に来た時に会いました。
悪の巣窟、厚生労働省に行くというので、「生きて帰れないよ」と言って分かれました。でも、無事に戻ってきたようです。
浜崎教授の学説は週刊朝日で何回か、特集として掲載されましたが、その後コレステロールを少なくする薬を販売している某製薬会社の朝日に対する広告はすべて中止になったようです。勿論、浜崎研究室へは、研究費の提供は昔から無かったようです。
メタボ健診は、即座に潰すべきだと思います。何故なら、この健診が始まる事で、また厚生役人の天下り先が増えるからです。

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