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2008年3月 3日 (月)

猪瀬直樹の子供じみた我田引水

こういうのを我田引水というのだろう。猪瀬直樹が「民主党は道路公団民営化委員会に学べ」と題して日経BPネットに寄稿している。

10年間で59兆円を高速道路建設に使うという国交省の中期計画は最新の交通量推計でなく、平成11年の実地調査データに基づく計量計画研究所の古い推計値を用いてつくられている。このブログでも2月15日に取り上げた

それを民主党の馬渕議員が国会で追及したことに対し、猪瀬は「こんな話、すでに民営化委員会でさんざんやったのだ」「そもそもこの計量計画研究所のデータがおかしい、と半年間かけて追及したのは僕である」と指摘する。

このあと、国交省を厳しく追及したプロセスを事細かに再現し、最後に次の文章で締めくくっている。「(民主党が)もしこのときから民営化委員会のスタイルを踏襲して国会論戦をつづけてくれたら、国土交通省の中期計画も筋肉質で、ほんとうの需要見通しに近い、締まった計画になっていたのではないか」

この子供じみた自画自賛ぶりにふれて、猪瀬の評判が芳しくない理由が何となく分かる気がした。

テレビで見せる「改革の旗手」の顔と実像の信じがたいギャップ。それは関係者の間では周知の事実だという。

櫻井よしこの「権力と道化」に、猪瀬が国交大臣になりたがっていたと書かれている。民営化委員会時代、ある有力者を介して小泉首相にさかんに働きかけていたというのだ。

櫻井はこの件を確かめるべく、猪瀬に事実確認を求める書簡を送った。当然、猪瀬は否定した。だが、櫻井は小泉首相への働きかけを依頼された有力者自身から話を聞いている。だから、以下のように確信をもって書ける。

「猪瀬氏が具体的にどのような手段で依頼したのか(中略)どのような言葉遣い、表現で依頼したのかも、考え得る細部に至るまで確認済みであることを明記しておく」

道路公団民営化をめぐる櫻井との論争の過程で、櫻井に内容証明郵便を送りつけてきた猪瀬も、ここまで書かれては黙るほかなかっただろう。

反権力的に見えた人物が、実は権力志向であるという見事なパラドックス。人間はなんと矛盾に満ちていることか。

物書きとして「ミカドの肖像」「日本国の研究」などの名著を世に出し、テレビでの歯に衣着せぬ言論もそれなりに高い評価を受けていた男が、道路公団民営化委員会によって政権中枢の空気にふれたとたん、しだいに何かが狂い始めた。

官僚を怒鳴りつけ、官僚に平伏され、専用車で送り迎えされる心地よさ。これを一度、味わうと、上昇志向はさらに高まる。

結局、猪瀬は国交大臣の野望をかなえることはできなかった。しかし、野望を捨てたわけではない。節操なく、東京都の副知事というポストにおさまっていることが、それを物語っている。

単なる物書きという潔い生き方はとうていできない男であるらしい。

                          (敬称略)

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