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2008年3月29日 (土)

チベット弾圧、胡錦濤主席の猜疑心

自民党の太田誠一は13年前、加藤紘一とともに胡錦濤に会った時の思い出をネット上の動画で語っている。

「夜が更けるまで談論風発という感じで話したが、チベットのことになると胡錦濤の温厚な顔が異常な興奮状態になった。チベットでよほどのことがあったんだな、と思いました」

1988年12月から4年間、胡錦濤はチベット地区共産党委員会書記をつとめ、大弾圧をもって現地の人々の反政府的な動きを抑え込んだ。一説にはこの弾圧で十数万人のチベット人が虐殺されたといわれる。

胡錦濤は権力闘争を勝ち抜いたわけでも、戦争のヒーローでもない。チベット弾圧の功績で、鄧小平の「ツルの一声」がかかり中国政府の中枢部に引き上げられた人物だ。カリスマ性という面では、これまでの指導者にとうてい及ばない。

しかし、2002年に総書記となって以来、着実に権力基盤を強化してきた。まず最初のステップは2004年、江沢民が譲ろうとしなかった中央軍事委員会主席の地位を引き継いだことだ。これ以降、本格的な胡錦濤時代がはじまった。

そして、政治的な対立勢力である上海閥の力をしだいに削ぎ、2006年9月には、“ポスト胡錦濤”の一人と目された上海市トップの陳良宇を汚職で失脚に追い込んだ。これで、2007年秋の第十七回党大会における新指導部人事を彼の思うがままにして、独裁体制を整えたのである。

その、胡錦濤にとって最も目障りな存在がダライ・ラマであろう。官僚の汚職がはびこり、都市部との所得格差が広がって、内陸部の農民らの暴動や騒動が頻発しているのが、経済発展の裏に隠された中国の実態だ。胡錦濤にとっては、自分以外の指導者は全て邪魔者である。しかも、ダライ・ラマには自分が持ち得ない「カリスマ性」があり、ノーベル平和賞受賞者として欧米各国の尊敬を集めている。「男のジェラシー」は女のそれより強いといわれる。

胡錦濤は今年の北京オリンピックと、2010年の上海万博をなんとしても成功させ、“世界の超大国”を率いる最高権力者の栄誉を、中国の歴史に刻みたいに違いない。だからこそ、彼の心にはチベットで起きた小さなデモでさえ、北京オリンピックの成功を脅かす大きな事件に映ったのではないだろうか。

その兆候はすでに昨年8月にみられた。チベットのある村での祭りの最中、「ダライラマの帰還を願う」とチベット人男性の一人が叫んだ。これをきっかけに、数百人の民衆と警官隊が衝突、1万人もの軍兵士が出動して村を包囲、不穏分子を次々と逮捕する事件が起きている。

独裁政権には共通のことかもしれないが、胡錦濤の悲しさは、「弾圧」しか解決の方法を知らないことである。権力者はその座を守ろうとすればするほど、奪われる恐怖が高まり、猜疑心に囚われる。「僧衣を着た国家分裂主義者だ」とダライ・ラマを罵ったのもそのあらわれだろう。

人を信じ、異なった考えを受け入れて、よく話し合う。それが「人間の尊厳を保ち、平和な社会の確立を」とうたうオリンピック精神に適うものだ。

                       (敬称略)

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