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2008年4月 9日 (水)

町村長官「財金連携」論が渡辺副総裁不同意の引き金

民主党が「財金分離」を主張しているのに、町村官房長官が「財金連携が好ましい」と記者会見で言ってしまっては、民主党もさぞかし困っただろう。これでは、元財務官、渡辺博史の副総裁就任に同意できるわけがない。

空気が読めない人のことを「KY」というらしいが、まさに町村がそうだ。まずは民主党をたてて「財金分離の考えはそれなりに理解できる」とでも言えばいい。町村にその器量があれば、日銀人事はこれほど揉めなかったかもしれない。

ところが8日午前の記者会見。町村は官僚出身らしい慇懃無礼な態度で、「むしろ財金連携を確保するという観点から財務省出身者が日銀に入ることは好ましい。特定省庁出身者を排除する考え自体、いかがなものか」と小沢に反発を食らう議論をふきかけてしまった。

むしろ、「民主党の考えは理解できるが、渡辺さんは識見、経験、能力ともに優れており、国際金融の分野で日本を代表する人物だ。今回だけはぜひともよろしくお取り計らい願いたい」とでも言ってくれたなら、鳩山幹事長は民主党内の“不同意派”を説得しやすかったはずだ。そもそも、鳩山や仙石ら幹部の間には容認論が大勢を占めていた。

その夜、民主党の国会役員連絡会は、鳩山が案じた通りの結果となった。小沢が最後まで反対したのである。

小沢が財務省OBを拒絶する理由は、予算編成権を持つ財務省が中央官庁を支配し、自民党と持ちつ持たれつの関係で政治に影響力を持ち続けてきたからだ。「官僚内閣制」と揶揄される現状を変革するには、財務省から日銀へという天下りルートを断ち切らなければならない。

ここには、「官僚支配体制」の解体を唱える小沢の一貫した「理」がある。「理」を溶解するには「理」ではなく、「情」とか「和」とか不合理なものをもってするしかない。

町村が自民の「理」を主張せず、民主の「理」への理解を少しでも示していたら、鳩山は会議でこう言えたのではないか。

「政府与党も財金分離には理解を示していることでもありますから、ここは福田さんや町村さんの顔をたてましょう。あまりこの件を長引かせると国民の反発も予想されますので」

少なくとも何らかの形で、小沢や山岡らが「財金分離」の原理原則論を引っ込めるきっかけをつくることができたはずである。ところが、町村が「財金連携」という言葉を持ち出してきた以上、小沢も引っ込みがつかなくなった。

国会役員連絡会のあと、報道陣のぶら下がり取材に応じた鳩山は「わが党はずっと“財金分離”を主張してきたが、“財金連携”だといわれたら、どうしょうもない」と、憮然とした表情で語った。

自民党内には「総裁が白川に決まったのだから、あわてることはない。むしろ、民主党内は造反組が出て大変なんじゃないか。容認派が多かったのを小沢が押し切ったんだから」という声も聞かれる。

町村がそういうねらいで「財金連携」をぶったのだとしたら、たいした役者だが、そこまでの力量がある人物とは思えない。

財務省はとしては、学究肌で世事にうとい白川総裁に、実力者の渡辺をつけることで、日銀に実質的な影響力を持ち続けたいハラだったのだろうが、官邸の最後の詰めが甘いばかりに、望みを打ち砕かれた恰好だ。

小沢には「ここが解散に追い込む勝負どころ」という思惑がないとはいえないだろう。「洞爺湖サミット以前の解散を第一目標とする」と公言しているのである。国民の多くも、「総選挙で意思を示したい」という思いがあるはずだ。

報ステの古舘伊知郎のごとく、大仰な修辞を弄し、何でもかんでも「国民不在」「政争の具」という言葉で片付けるのでは、報道番組が視聴者の冷静で正しい判断を妨げる「政治ショー」に成り下がるだろう。

「日銀総裁」とは何か。「財金分離」がなぜ必要なのか。これまで考えるヒマも与えられず勝手に決められていた国家の人事について、われわれ国民が興味を持つことができたのは、衆参ねじれによる政治の一時的停滞のおかげなのである。

あたかも、数の力で与党が思いのままに政策を遂行できたかつての政治がよかったかのような議論がマスメディアに横行しているのは残念なことだ。

日銀に関しては、白川総裁誕生が決まった。あとは、白川総裁に手腕を発揮してもらうだけだ。副総裁人事が多少遅れても痛痒はない。国民はゆっくり時間をかけて、財務省と日銀の関係がどうあるべきかを考えればいい。

そのうえで、小沢民主党の「渡辺副総裁不同意」が国益に反すると判断するのなら、選挙で「ノー」を突きつければいいのである。

                          (敬称略)

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