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2008年4月10日 (木)

社保庁解体“骨抜き”の厚労省画策に屈するな

消えた年金、保険料の無駄遣い、標準報酬額の改ざん・・・。社会保険庁はいまや、国家の犯罪的サボタージュ組織と呼んでも許されるだろう。これを「解体」するという政治的ふれこみで、政府は2010年1月に「日本年金機構」という新しい組織をつくることになっている。

ところが、この設立準備のため内閣官房で月に3,4回開かれている「年金業務・組織再生会議」を聞いていると、まことに厚労省の考え方が甘く、頼りない。これでは、新しい「機構」も「社保庁」と変わりないではないか、と思えるのだ。

まず、今まとめにかかっているのが機構の基本計画だ。これについて、3月14日の会議で厚労省が出してきた案を見てみよう。これによると、厚労省が年金制度全般の“制度設計”を担当、新機構は厚労大臣から委託を受けて“運営”にあたるという。従来は社保庁の独立性が高かったが、厚労省と年金機構の役割分担をして、最終責任は厚労大臣が負う、としている。

これまで、厚労省がこの国の年金の制度設計に関与していなかったことが、まず驚きである。国民は厚労省が社保庁を管理監督し、業務をチェックするものと思っていたはずだ。厚労省には年金局、保険局がちゃんとあるのだ。

それをいまさら、厚労省が直接、年金業務に携わることにし、運営を機構に委託するといわれても、何がどう改善されるのかよくわからない。

会議の民間委員からこんな意見が出た。

「こういう事態が起こると、いままで自分たちのどこが間違っていたのか内部調査なり、専門家をまじえて徹底的に分析してそこから制度設計していくものだ。法律上も監督権限があり、社会保険庁と関係がないとはいえない。厚労省は自ら反省し、内部調査をしているのか」。当然の指摘である。

これに対して、そんな調査をやっているはずもない厚労省の江利川毅事務次官らは「甘いといわれるかもしれないが・・・」と“ごまかし答弁”に終始し、結局、本気で仕組みを変えようとする意気込みは感じられなかった。

そもそもこの日本年金機構とはどんな組織なのか。「非公務員型の年金公法人」だという。具体的には、政府が全額出資する法人で、職員の身分は公務員ではなく、勤務成績によって給与が考慮される。

新機構の職員の採用基準として、実績、能力、過去の処分歴などを重視するというのだが、9日に社保庁が再生会議に提出した機構の職員定数案は、現在の社保庁職員のうち希望者ほぼ全員が採用されるカラクリになっていることを疑わせる内容だった。

機構発足から5年後の2015年までに、平成17年度末の社保庁職員数2万3770人を、4割減らして1万4780人にするという。17年度末に比べると現在までに2912人減っており、実質的にはこれから3割減らせばいいことになる。

2015年というと、いまから7年後である。定年で退職していく人数だけでもそのくらい減るだろう。つまり、今の社保庁のサボり集団をそのまま新機構に移動させる算段なのである。

こういう有識者会議というのは、事務局を官僚が担っているから、結局は官僚の都合のいいほうへ流れていきやすい。このままでは、社保庁解体も“骨抜き”にされる。それではわれわれ国民は困るのである。「志」を持っておられるであろう会議のメンバーの熱意に期待したい。

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