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2008年4月21日 (月)

北京からチベットの痛みが分かるのか

テレ朝の報道ステーションでコメンテーターをつとめる朝日新聞編集委員、加藤千洋は、入社して最初の赴任地が広島だった。被爆地ヒロシマの取材活動の中心は原爆関連、被爆者援護、平和運動である。

色白で痩身の肩にいつも愛用の一眼レフカメラを掛け、被爆者団体や学者らの間をかけめぐっていた。記者クラブのソファーでゴロゴロしたり、マージャンをする姿などみたこともない。“チョー真面目”な記者だった。

テレビ画面の彼に“再会”したのは30年後のことだ。いつも明るく話しかけてきた青年時代の面影が、その笑顔に残っていた。東京外大で中国語を学んだ加藤は希望通り北京特派員になり、朝日新聞を代表する中国専門家になっていた。

胡錦濤来日の下見にやってきた楊潔外相にインタビューした加藤の記事が、20日の紙面に掲載された。「中国政府の対応に国際社会が懸念を深める現状は、民主化運動を鎮圧した89年の天安門事件後の状況に通ずるものがある」と書かれている。

“親中国”の立場をとり続ける朝日にとって、「チベット」は微妙な問題である。中国政府に配慮し、慎重に言葉を選んで筆を進めるなかに「天安門事件」を持ち出したことは、意外であった。

天安門事件は重大な歴史的国家犯罪だ。東西冷戦終結前夜ともいえる時期、「民主化」を求めて立ち上がり、天安門に集まったおびただしい数の学生たちが軍部に虐殺された。言論の自由化を推進した胡耀邦総書記が鄧小平らによって失脚させられたことが、学生を突き動かし、デモのうねりとなっていた。

6月3日の夜中から6月4日未明にかけて、デモ隊で埋め尽くされた天安門広場に人民解放軍が集結し、武力弾圧を始めた。装甲車に押しつぶされた人体がどのようになるか、想像できるだろうか。身の毛もよだつ写真がネット上に公開されている。

天安門では、漢民族も少数民族も一体となって「民主化」を求めた。今回は、チベット民族自決の問題である。漢民族の若者たちはむしろ中国政府を支持し、「オリンピックの邪魔をするな」とフランス製品の不買運動や外国メディア批判などをくりひろげ、偏狭なナショナリズムを沸き立たせている。

天安門事件と少しも変わらないのは中国政府の報道管制だ。アテネでのオリンピック聖火の採火式で、抗議の旗を掲げた人物が乱入したさい、中国国内に流されていたCNNの生映像が遮断された。

20日のフジTV「報道2001」でこの件についての質問を受けた崔天凱中国大使はこう語った。

「誰もが見たい光景ではなかった。あのような行為に多くの人が反感を抱いており、神聖なオリンピックの精神と、世界中の人々の善良な思いを傷つけてはならない。あのようなことは誰ものぞんではいないし、むりやり見せる必要はない」

自分たちが見たくないものは誰にも見せない。そんな独善的な理屈によって、報道の公平さと真実性を奪うのである。北京大学の焦国標助教授は、中国共産党中央宣伝部がメディア統制の元凶だと指摘する。中宣部は国内の新聞、出版、テレビ、映画、インターネットなどを監視し、党の不利益になる情報をカットする。メディア上層部の人事権を全て握っている組織である。

こうした報道規制について、加藤は「チベットから外国人旅行者を追い出し、情報を封鎖し、被害者の立場を強調した情報を流すのみなので、中国の青年層に(中略)反発や愛国心を喚起」と言及するにとどめている。

「被害者」とはどういう人たちのことを指すのか。暴動によって店を壊された漢民族のことだろうか。それとも、長い間、人権弾圧を受け続けてきたチベット人のことだろうか。加藤の文章のなかには、天安門事件を「鎮圧」とし、漢民族を「被害者」とする、北京への細かい配慮があることを見逃してはならない。長い中国権力者とのつきあいによって会得した技であり智恵であろう。

欧米の首脳が人権弾圧に厳しい姿勢を示すなか、さきごろ訪中した自民党の伊吹幹事長は「福田総理が北京オリンピック成功のため各国の協力を呼びかけることになる」と胡錦濤主席に約束した。

このように中国に媚びへつらう日本の政治家をみるにつけ、つくづく思う。日本を代表する新聞がもう少し、中国に対して厳しく踏み込んだ発言をしてくれれば、と。

過剰配慮の言論はいらぬ誤解を招き、何の足しにもならない。文革時代、北京の秋岡特派員が重要な林彪墜死事件をあえて報じなかった前科ゆえに、長い間、中国報道のあり方を問われ続けてきたのが朝日新聞である。

北京で国賓なみの待遇を受けるジャーナリストに、はるか西方に生きるチベット民族の心の痛みが分かるのだろうか。

                             (敬称略)

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コメント

 2005年11月3日(木) 21:54~23:10 テレビ朝日 報道ステーション 
 ▽加藤千洋チベット紀行 絶景天に浮かんだ湖…極秘の横断鉄道撮った
 動画→ http://www.nicovideo.jp/watch/sm697512
 ●加藤千洋「やあ。ここら辺の人は、もうすっかり漢民族ですね!(^^」
 ●加藤千洋「チベットは中国に“併合”されたわけですが・・・」
 ●加藤千洋「この店の主人も漢民族です。ニーハオ!(^^)」
 ●加藤千洋「ここポタラ宮は、今も中国政府がしっかり管理していますね」
 ●加藤千洋「中国化に拍車がかかり、軍事的にも大きな意味が出てくるんでしょう」
 ●加藤千洋「西部大開発はチベットにとって歴史的なチャンスなんです」
 ●加藤千洋「いや~、チベットの発展はめざましい。
       ポタラ宮が無かったら、中国の他の街と見分けがつかないんですけどね」
・・・そんな加藤千洋ですが、日韓併合の話になると「日本の侵略だ」と語気を荒げます、、、(爆
  加藤千洋の 「中国の侵略は綺麗な解放(*^-^*)」 でした!

「胡錦涛さんもショックを受けたでしょう 良かれと思ってやったのに・・・」2008/3/17 報ステ
朝日新聞論説委員【 加藤千洋 】が美化する「よかれと思ってやったこと」

 【毒ギョーザ】 加藤工作員の必死な中国擁護
 http://jp.youtube.com/watch?v=iKzFxBvM-bE

YouTube - 靖国問題に火を付けたのは報ステの加藤千洋だった!
www.youtube.com/watch?v=KT-Dj8agc4Y

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