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2008年5月20日 (火)

ODAの今後で、外務・財務省間対立

タフネゴシエーター不在で内弁慶の外務省にとって、日本の政府開発援助(ODA)といえば、外国に向かって強気に出るための唯一といっていい切り札だ。

日本企業からみれば、開発途上国に進出し、ODAで拠出した国民の税金を自社の収入として還流させる美味しい仕組みである。途上国に働きかけて、日本政府への要請事業案件を出させ、自社が受注して儲けるわけだ。

援助される国にとっては「自力で大事業をしている頼もしい政府」だと自国民に幻想を抱かせるこのうえもない制度だろう。中国などは、できるだけ目立たぬよう「日本の援助」表示をしている。

さて、このODAをめぐり19日の財政制度等審議会で、財務省が外務省の要求に反論した。

ODAの援助額で日本は昨年、世界5位に転落した。06年実績171億ドルから135億ドルへの減少。「これでは国際社会での日本の存在感が低下する」。外務省は当然、省益確保のため増額を求めている。ODAをとりしきる独立行政法人JICAは重要な天下り先だ。

一方、財務省は「無償資金協力、技術協力、円借款は前年と同水準。国際開発協会への拠出が06年にはあったが07年にはゼロだっただけだ」と審議会に資料を提出して反論した。審議会の西室泰三会長は「ODA削減方針を堅持すべきだ」という立場だ。この審議会そのものが財務相の諮問機関だから当然だろう。

ODAを今後どうしていくか。財政難にあえぐ日本として、国際貢献とのはざまで悩ましい問題に違いない。、昨今では日本最大手ODAコンサルタント会社「PCI」の裏金操作がODAのイメージを悪化させ、問題をいっそう難しくしている。

4月16日の参院審議で、民主党の谷岡郁子議員は「怪しげなコンサルやNGOが国境の向こう側でうじゃうじゃとワケの分からないことをやっているイメージを一般国民が持ってしまった」と指摘した。

もっとも、ODAにまつわる不正経理はPCIだけの問題ではなさそうだ。

当ブログに「ODAに関係している者」としてコメントを寄せてくださった「コンサルタント」さんは次のように述べている。

「途上国のワイロは構造的なもので、その国で何かしようとしたら誰でも払わなければならない性質のものです。外務省やJBIC(国際協力銀行)は、そういうことを当然知っています。その公然の秘密を関係者が暴露したPCIは、外務省の強力な圧力を受け事業売却になるとか言われていますが、これは口封じと同じです。たぶん、悪者を作って世論の矛先をそらし、ODAという省益を守ろうとしているんでしょう、外務省は。こっちのほうが巨悪だと思いますよ」

実に明快に裏の実態を教えていただいたことを、感謝したい。

外務省がODAをばらまくのは、自らの外交力の乏しさをカネの力で補おうとしている面も否定できない。外交の現場において、日本の外交官は「カネと法律の話」から始めるといわれる。それは諸国の外交官の間では周知の事実である。

カネや法律論に頼らず、自らの智恵をしぼって、国益のためヒューマンパワーで外交を進めるべきだ。「国益より省益」という考え方は国を滅ぼすだろう。

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コメント

いつもクレージーパパを愛読している者です。今日のこの記事には若干追加したいことがあります。外務省はODAの窓口業務をやっているわけで、実際の省益確保で動きまくっているのは外務省に出向し大使館にて書記官を司っている各省の事務方海外派遣部隊だと思います。この10数年で援助の仕組みも大きく変わり対象国の国情を踏まえた国別援助対策という枠組みをまず設定した上で援助の実施準備が行われていますから相当進化しています。PCIのような会社または経営者個人の資本主義的利益に目がくらんだ方々が引き起こしたことがODAに真剣に取り組んできている人たちにはどえらい迷惑な話となっています。そういうことからも外務省だけをやり玉に挙げるのは片手落ちであると考えます。

上のコメントは官によるODAタスクフォースによる援助案件形成のことを指しているのだと思いますが、これが「進化」といえるのか個人的には疑問です。
世界の大きな流れは政府を小さくして、民間活力を活用しようという方向に流れているはずですが、ODAタスクフォースはこの流れに逆行しているとしか言いようがないです。コンサルタントやNGOは怪しげかもしれませんが、活力と専門知識はあります。官の方は正義感に燃えている人も一部にはいるかもしれませんが、総じて見れば、いわゆるお役所仕事をしている人が大半では?縮小傾向のODA予算から自分たちの取り分を減らさないため、こういう仕組みを作ったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

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