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2008年5月24日 (土)

医療費抑制には医師の総合判断力が必要だ

日経の連載「蘇れ医療」で、4つの病院から1日20種類37錠を処方された老人のケースが紹介されている。増大する医療費を語るときによく例に出されるのが、このような薬のムダである。

今日は別の角度から医療費のムダ遣いを考えてみたい。専門医の総合的判断力が不足しているのではないかという観点である。

もし、個々の医師に、自分の専門以外もあるていどわかる総合的な医療コンサルティング能力があれば、患者は早期に適切な医療機関にかかることができ、無駄な医療が避けられる。

具体的な例を出そう。友人の奥さんがヒザの痛みに悩まされ、近所の整形外科を受診した。レントゲン撮影、問診、触診のあと、「とくに異常はないので、運動して筋肉を鍛えてください」と、抗生物質、痛み止め、湿布剤を渡された。

その後、ヒザの状態は悪くなる一方だったので別の大きな病院で診てもらった。その診断も「年齢的なものでしょう。運動をしてください」というものだった。

5ヵ月後、奥さんは遠くの評判のいい整形外科を訪ねた。ここも「大したことはない」と診断、ヒザの周りの筋肉をつける運動を教えてくれた。

結局、その後さらに症状が悪化、ついに奥さんは精神的にも深く落ち込んだ。友人は素人ながら「ひょっとしたら更年期のせいではないか」と思い当たった。

奥さんは近くの婦人科を受診、極端に女性ホルモンが減少していることが分かった。「典型的な更年期症状ですね」と医師に言われ、女性ホルモン剤を処方された。

その後、奥さんは女性ホルモン剤の効果がしだいに現れ、ヒザの痛みが軽くなっていくとともに、落ち込んでいた心にも意欲が蘇った。

更年期で女性ホルモンが減少すると、体の潤滑油がなくなったような状態となり、関節痛なども引き起こすことがある。そのくらい、医師ならば専門分野にかかわらず、基本的な知識として持ち合わせていなくてはならない。

もし、最初に診察した整形外科医が「一度、婦人科のほうも受診されたらいかがですか」と適切なアドバイスをしていれば、この奥さんはすぐに自分が最も必要とする医療を受けることができ、むだな診療と医療費をカットできたはずである。

医学界にも官僚組織のようなタテ割り構造があるのではないか。一般の患者は見当外れの診療科を訪れることもしばしばだろう。そのときに、医師が自分の専門の垣根をこえて、他の診療科受診をアドバイスできるよう、医師のいわば「総合力」のレベルアップをはかるべきだ。

それが現実としてムリなのであれば、個々の患者にどのような医療を受けるのが適切かをアドバイスする人材やシステムが必要だろう。たとえば「医療コーディネーター」とでもいうような存在だ。

いま、社会構造そのものが数限りない専門分野に細分化され、それぞれが専門エゴを主張して、国家の大局的な判断を鈍らせている。日本のリーダーに求められるのは、専門家を統合調整する専門家であるが、残念ながらいまのところ政界にそういう人物がいそうもない。

医学界も、研究が進むにつれて新しい医療技術が開発され、さらに専門分野の細分化が進んでいる。そのために、一般患者からはよけい、どの医療機関のどの医者にかかったら自分の病状に適しているのか見えにくくなっている。患者自身が判断を間違えれば、助かる命が救われないケースも起こりうる。

一方、適切な診療を迅速に受ければ、いまの先進医療技術は大いなる力を患者に与えてくれる。

患者が適切な医療を選択するためのアドバイザー。「医療コーディネーター」でも「医療コンサルタント」でも、呼び名は何でもいい。浅くても、広くて先進的な医療情報を有し、患者と十分なコミュニケーションができる新しい専門家の誕生を切に願う。

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コメント

ピッチャーで4番が存在するのは高校野球まで。

 対GDP比で、日本の医療費が何パーセントでかつ先進国と呼ばれる国と比べてみてください。上記のようにいろいろな医療機関に自由に受診できるシステムは他の国では必ずしも保障されていません。日本の医療費は対GDP比で英国と同じレベルになっています。英国は医療費抑制しすぎて医療が荒廃し、反省して医療費を上げてはじめています。それとは逆に日本でこれ以上医療費を抑制したらなにが起こるでしょうか?年次改革要望書の次のねらいは教育と医療といわれているようですが、このような考え方は某国のまさに思うつぼと思われます。

クレイジーパパさんの言っていることは、医療費を抑制しろということが主眼ではなく、無駄遣いの部分もあるから、それを少しでもなくするにはお医者さんの親切心が必要だと言っているのだと思います。アメリカの年次改革要望書は、もちろん同国の保険業界の利益をはかるものでしょうが、その問題はまた別の機会に書いてくれるでしょう。

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