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2008年5月10日 (土)

親日アピールに転じた胡錦濤の狙いとは

朝日新聞コラムニスト、若宮啓文は手放しの評価である。9日の同紙朝刊。

胡錦濤主席がチベットやギョーザ問題など間の悪い時期に来日したと指摘し、そのあとの記述はこうだ。「この首脳外交が日中の歴史に大きな意義を刻んだことは間違いない」。「中国が歴史カードを使い続けると予想した人は正しくなかった」。

中国の対日政策が大転換したかのように書き、日中の「互恵関係」の意義を強調する。

たしかに、中国国内にも放映された早大の講演で、胡錦濤が「日本の円借款が中国の近代化に役割を果たした」と謝意を表したことは、かつて中国首脳の口から聞いた記憶のない言葉である。

江沢民の影響から脱した新しい中国指導者の姿を日本の国民に見せつけた。福原愛ちゃんとピンポンをする胡錦濤に、にわかに親近感を抱いた国民も多いだろう。

しかし、外交関係というのはそう甘いものでもない。なぜ、小泉政権時代に反日的で、今になって親日イメージをアピールするのか。その意味をよく考えてみなくてはならない。これは、小泉純一郎より福田康夫が親中的であるというばかりではない。

中国に、日本接近をせざるを得ない事情が生まれたのである。「反日」で国内をまとめ、中国が経済成長に突っ走ることのできた時代が、小泉政権の期間だった。

今の中国は、そのころと様相を異にする。安い人件費を武器に世界の工場となった国の、最大の輸出先であるアメリカの景気悪化。それは、内需が弱くまだ経済基盤の固まっていない中国経済に大きな衝撃波となって押し寄せた。

買えば儲かると一般の中国人が固く信じていた株価は、上海総合指数6124ポイントをピークに昨年10月から下落、この9日には3613ポイントという安値をつけた。高騰を続けた不動産も、値崩れが始まっている。

そこに追い討ちをかけたのが、豚肉や穀物など食料の大幅な値上がりだ。急速な工業化が進み、農村から都会へ人口が流入、食生活も変化した。農産物の生産量が激減し、世界的に高騰する穀物や肉類、酪農品を海外から輸入しなくてはならなくなっている。

もちろん、環境の問題もある。大気や水の汚染は深刻だ。いずれ気象変動対策にも本気で取り組まざるをえなくなる。公害大国・中国に、最も欠けているのは省エネ・環境技術だ。

胡錦濤が講演で「中国は依然として世界最大の発展途上国であり、発展の中で生じた矛盾や問題は、その規模も複雑さも世界でまれにみる」と語ったことは、現下の中国の困難な状況を率直に表現している。

中国は日本との「互恵」を名目に、技術支援を求めている。今回の日中共同声明で、中国が最も重要視したのが以下のくだりである。

「日本が省エネ専門家を派遣し、中国の省エネ制度を確立する。原発分野の協力を強化する。黄砂を共同研究する」

「困ったときの日本頼み」。だから、歴史カードはしばらく封印する。ただし、日本からの譲歩を引き出す「打ち出の小槌」を手放す気はさらさらない。それが中国のホンネだ。振れば出る。押せば引く。それが経験則の教える「戦後の日本」なのである。

胡錦濤の訪日は中国側にとって大成功だったといえよう。それにしても、中国首脳は来日するとなぜか池田大作と会う。権力を欲しがるものどうし、心の水脈でも通っているのだろうか。

胡錦濤は日本に来て、懸命なパフォーマンスで「暖かい春」をふりまいたが、日本の首相は中国で何ができるだろうか。過去20年間、「反日教育」を受けて育った世代が、日本人のように能天気なお人好しであるとは限らない。

もし、北京五輪の夢が覚めたあと、中国経済がさらに低落し、政府への国内の不満が噴出しはじめるようなことがあったら、またぞろ「邪悪な小日本」を敵にまわして、中国共産党の存在価値を高めねばならないのではないか。

                       (敬称略)

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■全体主義国家でオリンピックを開催すると10年後に国が崩壊する-北京オリンピックは?
こんにちは。北京オリンピックの壊れ具合ますます酷くなってきましたナチスドイツや、旧ソビエト連邦などのように、全体主義的国家がオリンピックを開催するとその10年後には国が崩壊しています。私のブログでは、北京オリンピックでもこの法則があてはまるのかどうか、映像で迫ってみました。是非ご覧になってください。私は、中国はこのままでいくと確実に分裂すると思っています。その意味では、北京オリンピックは共産中国の最期の壮大なレクイエム(鎮魂歌)になるのではないかと思っています。北京オリンピックは、共産主義中国の壮大なレクイエムとして、そうして新生民主中国の誕生の礎石として歴史に刻まれると思います。これから、2018年にかけて、共産中国崩壊の壮大なドラマが展開されていきます。おそらくは、一部はお茶の間のテレビでも見ることが出来ると思います。今後、目を離すことができないトピックスになると思います。オリンピック中継よりも面白いかもしれません(^^!)。

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