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2008年5月31日 (土)

少年審判の傍聴を求め土師さんが意見陳述

愛する者を殺されたら、仇を討ちたいと思うのが人情だ。もちろん、法治国家でそれはかなわぬことだが、真相がわからぬまま、ただ黙って我慢するしかないとしたら、残された人の心はいつまでも救われないだろう。

少年法は被害者側に冷たい法律である。なぜなら、少年法の基本的理念、目的は加害少年の将来に向けての健全育成であって、あくまで加害者側の保護に重点が置かれているからだ。

この法律の改正案が今の国会で審議されている。改正の中身は、少年審判を被害者やその家族が傍聴できる制度にすることである。

1997年5月、世間を震撼させるその事件は起きた。「酒鬼薔薇聖斗」と自らを称する14歳の少年によって殺害された児童の頭部が中学校正門前にさらされていた。

児童の父、土師守さんが30日の衆院法務委員会で少年法改正案について意見陳述した。

土師さんは、家庭裁判所の少年審判が一般公衆の審判傍聴を認めず、非公開でおこなわれてきたことに対し「この少年法の後進性そのものに被害者側の悲しみがある」と、次のように語った。

「被害者側はほとんど何も知らされず、何も発言できない。遺族を審判から完全に閉め出している。どのような状況で、どのような理由で被害を受けたのか、加害者はどのような人間か、どのような環境で育ったのか、どうすれば未然に防ぐことができたのか。深刻な犯罪の被害者であればあるほど知る権利があるはずです。加害者を守るために被害者の権利が奪われるのは本末転倒ではないでしょうか」

これに対し、日弁連の斎藤義房弁護士は、法案に反対の立場で意見を述べた。

「今回の法案の内容は、少年法の理念と目的に重大な変質をもたらすおそれがある。立ち直りに向けて心を開くことができるようにとの目的から少年審判は非公開とし、狭い部屋で少年と裁判官が対話をするという手続きになっている。被害者が傍聴すると、率直に事実関係を説明したり真情を語ったりすることが困難になる」

改正法案では、傍聴の対象を殺人事件など重大事件に限定している。しかも裁判所が少年の年齢、心身の状態、事件の性質などの事情を考慮して傍聴を認めるかどうかを判断する。

それゆえ、京大大学院法学研究科の酒巻匡教授は「少年法の基本目的を阻害しない範囲と考えられる」と指摘し、改正法案を支持した。

事件から11年。土師さんはこれまでに家族が味わった苦しみを淡々と振り返った。事件直後からメディアスクラムによりプライバシーが暴かれたこと。家族の一員を守ってやれなかったという思いに、残された3人の遺族は今もさいなまれ続けていること。当時まだ中学生だった兄は心に深い傷を負ったこと・・・。

加害少年に法律の配慮があるのに、被害者側には法的な支援は全くない。それでも家族は前を向いて生きていかねばならない。「被害者にとって、審判を傍聴して事実を知ること、自分のつらい気持ちを言うことは立ち直りの第一歩だと思うのです」。

被害者側の人権や尊厳をいかにして守るのか。この問題は決して他人事ではない。いつ誰が被害者になるかわからないのだ。法律論はともかく、人の痛みへの想像力は持っていたい。自分がその立場にならなければ分からないというのでは、あまりにも悲しい。

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