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2008年6月14日 (土)

北制裁解除は山崎拓脚本「首相訪朝」への序章か

自民党の山崎拓が描くストーリーの第一幕が開いたのだろうか。

11、12日におこなわれた日朝実務者協議は、貨客船「万景峰号」の入港を認めるという、北朝鮮の思惑通りの結果になった。日本からカネ、モノ、ヒトを運ぶ動脈が再びつながるのだ。

「拉致の再調査」や「よど号ハイジャック犯の身柄引き渡し調整」などは、日本側にとってほとんど収穫とはいえない。

山崎拓は先月23日、福田首相訪朝をこの秋に実現し、日朝国交正常化に結びつけたいという意向を明らかにしている。そのために超党派の議連までつくると宣言した。

彼独自の外交ルートを通じて両国間の地ならしをしていたことがうかがえる内容である。

山崎はおそらく、いまが自分自身の政治生命をかけるチャンスとみているのだろう。不人気に嘆息する福田政権の浮揚には、安倍政権以来膠着している拉致問題を使うべきだ。そのためにひと肌脱いで、党内における存在感を高めたい。そう考えて、福田首相周辺や外務省との根回しをしてきたと思われる。

同じ志を持つ加藤紘一とともに、今月9日、森喜朗、青木幹雄といった党最高実力者と会ったのはその一環でもあっただろう。

この文脈にそうように、11、12日の公式な日朝実務者協議が開かれた。山崎や森らが会う直前の7日には日朝の非公式な話し合いがもたれている。

山崎の北朝鮮利権の実態はベールに包まれている。朝鮮総連をめぐる詐欺罪で公判中の元公安調査庁長官、緒方重威と同じ「旧満州」の出身である。緒方は公判で「旧満州から命からがら帰国し、祖国との絆の大切さを身をもって感じた。いかなる理由があろうと、絆を阻害してはいけない」と陳述している。朝鮮半島に寄せる思いは共通しているのだろうか。

北朝鮮側は非公式に「万景峰号」の日本出入港を、全ての交渉の前提として求めてきたのではないか。その見返りが、拉致問題再調査という回答。それでは日本政府は応じるはずがない。そこで、「よど号犯」を持ち出してきたが、これも「身柄引き渡しに向け調整、協力する」というもので、実行されるかどうかは疑わしい。

本来なら、日本側が乗れる話ではない。ところが、日本政府は「一定の前進だ」と、強引に評価し、「万景峰号」の入港を認める決断をした。世論の批判を浴びることは承知のはずだ。なぜなのだろうか。

「入港を認めるから、秋の福田首相訪朝時には大きな土産を用意してほしい」。日本の首相が、北朝鮮に乗り込んで拉致被害者を連れ帰るという二番煎じのドラマ。政権浮揚のため、それを企図しているとしたら、どうしょうもない浅はかさだ。

ただ、最近の報道で奇妙な現象が起きている。読売と毎日が拉致関連のあやしげなスクープ合戦を繰り広げたことだ。何者かが、何らかの意図のもとに情報をリークし、政界や世間の反応をうかがったフシがある。

とくに先月27日の毎日記事は「北朝鮮が米国に対し、日本人拉致被害者数人を帰国させる用意があると伝えていた」と報じた。町村官房長官は完全否定したが、北朝鮮が米国のテロ支援国家指定解除や、日本の制裁解除をねらって、「数人の返還」を検討していることはありうるだろう。

この情報が、山崎周辺から出たものかどうかはわからない。ただ、彼が今秋実現させたいとする福田首相の訪朝に照準を合わせ、何人かの拉致被害者の帰国を模索していると考えるのは、何ら不自然なことではない。

山崎拓はインタビューに答え「今回、対話路線によって双方一歩前進の歩み寄りがおこなわれた。圧力路線をとる方は、制裁を緩和することについて当然、反発するだろう」と語った。

これに対し、安倍晋三は「対話論者は圧力そのものを否定している人が多い。対話路線では何も得ることがないのは学習効果としてある」と山崎らの動きを批判する。

家族会の増元照明事務局長は「まず制裁の解除ありきという即決ぶりだ。永田町のなかの勢力争いがあらわれたものだ」と、無原則な政府の対応に落胆の色を隠せない。

まさに、「国益より私益」の横行する日本の政治の劣化を象徴するような外交である。
                        
                           (敬称略)

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