橋下大阪維新案に厳しい現実の壁
何ごとも評価は相対的なものだ。大阪府の橋下知事は「これまでの知事」に比べると、「大変よくやっている」のではないか。
ただし、5日発表した「大阪維新プログラム案」は現実の厳しさを実感させる。
主張し続けてきた今年度1100億円の収支改善は堅持する。これで、10年ぶりの単年度黒字を達成できる。しかし、5兆円にのぼる負債を減らすという就任当初の思いを実現するところまではいかなかった。
中身を簡単に言うとこうなる。私学助成、市町村への貸付金、医療費助成、ダム建設などの事業費320億円を削減する。「聖域」といわれた私学助成にまで切り込んだ。
これは府民に大きな痛みを強いる。府職員にそれ以上の痛みを味わってもらうため、人件費を345億円カットする。これで665億円の歳出が減る。
残り435億円の収支改善は歳入増でまかなう。その内訳は府立高校跡地など府有財産売却収入、市町村貸付金繰上げ返済、基金取り崩しなど。これらで250億円を確保する。
問題は最終的に足りない185億円を退職手当債という借金で穴埋めすることである。このため、5兆円の借金は減らすどころか増えることになる。
さて、こうして概略をながめると、いくつか切り込みゼロの部分が明らかになってくる。一つは、巨額財政赤字にいたる予算を認め続けてきた府議会議員が何ら責任を負うカタチになっていないことである。議員報酬カット、定数削減などが必要だ。
知事は諮問機関である府特別職報酬等審議会の答申にもとづいて議員報酬改正案を議会に提出できるはずだ。少なくとも報酬削減の姿勢を示すべきである。
もうひとつは、公共事業費カットへの切り込み不足である。その最大の要因は、国直轄事業に手をつけていないことだ。主要国道、港、河川など国が直接おこなう公共事業は、「国直轄」は名ばかりで、実際には都道府県の負担分が30%~50%にもおよぶ。
本来なら、この公共事業の不要部分をあぶり出し、国と交渉して事業カットすべきである。それによって、府の負担分が減り、歳出削減につながる。
それができないのは、「大阪維新プログラム案」を反映させる予算案を7月臨時議会で通すために、府議会の自民、公明両党を敵に回したくないという思惑があるからだろう。
国直轄の公共事業に切り込めば、土建業界に支えられる府議や国会議員の反発を招くことは必定だ。
しかし、就任して間がない橋下知事に100%を求めるのは酷というものだろう。この短期間でここまでこぎつけたことをポジティブに評価したい。
国直轄事業や府議報酬等をどうするかはこれからの課題としてもらいたい。
朝日新聞に東大大学院教授、神野直彦教授の厳しいコメントが掲載されている。「(この案が)どうして大阪維新につながるのか。独自の地域振興をしなければ、税収が減って地方財政を圧迫し、地域経済が悪くなるという負の連鎖に陥る恐れがある」。
こうした側面もたしかにあろう。地域経済と財政再建。そのバランスをとりながら、大阪を浮揚させていかねばならないのだ。舵取りが容易でないことはいうまでもない。
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ハコモノ行政と国直轄の官製土木大事業で
破綻寸前なのは既知であり、橋下氏の現状は焼け石に水の改革でしょう。再建団体化は時間の問題かと思っています。土木マフィアの巨大利権に切り込まなければ本当の改革はできないし、それは再建団体になってからのことでしょうか。
http://www.osaka-minkoku.info/osaka/osaka-a.htm
http://www.osaka-minkoku.info/osaka/osaka-c.htm
投稿: りゅうさん | 2008年6月 8日 (日) 21時07分