福田首相、大政奉還し「ガラガラポン」への流れをつくれ
参議院の首相問責決議は、気の抜けたビールのようだった。賛成反対討論の演者は制限時間をこえて、激しくまくし立てたが、それが馬鹿げてみえるほど、議場はシラけていた。
この熱気のなさ。国会だけではないだろう。いつのころからか、若者が政治的に決起する風景を巷で見かけなくなった。そのかわり、格差への不満エネルギーを、弱い者や、街を歩く無縁の人々の殺戮へ向けるケースが目立つ。
すべてがおカネの論理で動いていく社会。企業はコスト抑制のため、同じ仕事をしていながら正規社員と非正規スタッフを選別する。世界での競争に価格で負けないためだ。
政党もおカネにありつくために存在している。残念なことだが、同志的結合と考えるのは幻想にすぎない。政治的信条などおかまいなし。酒飲み友達でもなんでもいい。国会議員5人集まれば税金から多額のカネが渡される。いわゆる政党助成金というやつだ。
平成20年度の交付額は、自民党158億4263万8000円▽民主党118億7848万9000円▽公明党27億3072万9000円▽社民党9億229万5000円▽国民新党3億8395万5000円▽新党日本2億388万9000円。
政治にはカネが要る。確かにそうだ。福岡出身の自民党某大物議員は、かつて資金を無心し続けた実業家にこういったそうだ。
「僕の選挙区では毎年、老人3000人くらい死にます。一人1万円ずつ香典出して年に3000万円、初盆に1万円送るから倍の6000万円になるんです」
これほどしなければ、当選しないのだろうか。「票とは何ぞや」である。
票はおカネで買う。そのために政党という集金組織が、活動のベースとして必要なのだ。それが現実の政治だ。自民も、民主も所詮、烏合の集団にすぎない。どちらから公認されるか。それによって自分の政党名が決まるだけだ。
これでは、国民に政党を選択せよ、というほうがムリだろう。55年体制のころ、社会党は自民党と確かに馴れ合いではあったが、思想が真っ二つに分かれていたからまだ分かりやすかった。
小泉純一郎のように「郵政民営化」で二者択一を国民に迫るような手もあるが、1回しか使えない邪道である。
政治を分かりやすくし、将来に期待を抱かせる真の二大政党制にするには、どうしても、「ガラガラポン」で政界再編してもらうしかないだろう。選挙区など、現実の難問はあっても、同じ志を持つ者が一つの政党に集結すべきである。
福田首相も、国のことを考えれば、今の自民党ではいけないと考えているはずだ。小沢代表も、民主党内の意見対立にはうんざりしているだろう。
ここは、「自民党に不利だ」と解散を渋っている場合ではない。福田首相には国の将来のため、首相だけに与えられた伝家の宝刀、解散権を行使して、「ガラガラポン」への流れをつくってもらいたい。
欧米列強の脅威から国を守るため、徳川幕府の延命を断念し「大政奉還」を決意した徳川慶喜にならうべきときではないか。
(敬称略)
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