中国のサミット加入を主張するサルコジの計算
仏大統領、サルコジは「サミットはすでに形骸化している」と言う。ならば、G8を解散する提案をしたらどうか。中国やインドなど、あと5カ国を加えるべきだと主張するが、それで活性化するとでも思っているのだろうか。
「主要国首脳会議」というといかめしい。英語では単に、グループ8(G8)である。もともと、1975年に同じフランスの大統領、ジスカール・デスタンが呼びかけて、民主主義の先進6カ国、すなわち仏、伊、英、米、日、西独首脳がランブイエに集まったのがはじまりだ。
1973年のオイルショックによる世界不況をどう打開するかという緊急課題があった。国連はあまりに参加国が多く、国の政治体制やイデオロギーの違いもある。世界経済に圧倒的影響力をもつG6だけで議論したほうが解決へのスピードは速い。サミットにはそういう意図があった。
参加人数の多い会議ほど「形骸化」しやすい。それぞれの立場を主張して時間切れとなるか、ホンネを出さずに議論がかみ合わないかだ。
サルコジはその軽佻浮薄ぶりを北京五輪開会式出席問題で露呈した。この3月、チベットでの人権弾圧に関して五輪開会式ボイコットの可能性を示唆、国内で高まるダライ・ラマ擁護と中国政府非難の声に迎合した。
ところが、その後に中国国内で起こったことは、彼を驚愕させた。パリでの聖火リレー妨害をきっかけに、中国国内400店舗もあるカルフールに「不買運動」を唱える人波が押し寄せた。店内で大勢の人が、シュプレヒコールを繰り広げる光景は異様だった。フランス製品の不買運動も高まった。
フランス産業界は、空母、航空機、TGV、原子炉などの売り込み攻勢をかけるなど、中国に大きな期待を寄せている。サルコジは、今度は経済界の声を受けて、エンジンを逆噴射しはじめた。
まず、特使を北京に派遣して、中国首脳の機嫌をとり、北京五輪への出席を約束した。ついで、テレビの前でサルコジがこのように語った。
「経済だけでなく、中国は大切な国です。彼らを傷つけてはいけません」
「経済だけでなく」という言葉は、「経済」の重要性を物語る。
おそらく、サルコジは「大国である中国もG8の一員になるべきだ」と、持ち上げたに違いない。中国政府首脳は「フランスの対応を評価する」と、にわかに対仏姿勢を変えた。
今朝の産経新聞によると、サルコジ大統領は「中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカを加えてG13にすべきだ」とし、イギリス首相のブラウンも「中国、インド参加のG10」を主張しているという。
これに対し、日米は「非民主主義国である中国はメンバーに加えられない」と反対の立場だ。日本の国連安保理常任理事国入りを阻止しているのは中国である。G8だけは中国などを排し、アジアでただ一国という地位を守りたいのが日本のホンネだろう。
サルコジはサミットの期間中、いずれかのタイミングで「参加枠拡大」を持ち出してくるに違いない。胡錦濤主席も会場であるザ・ウィンザーホテル洞爺に滞在し、無言のプレッシャーをかけ続ける。
真偽のほどは分からないが、胡錦濤が5月に来日したさい、福田首相との間で「日本の安保理常任理事国入りを中国が承認する代わりに、G8への中国参加を日本が認める」との密約が交わされたと某ジャーナリストがテレビ番組で語っている。
しかし、国家体制の異なる中国が加入すれば、G8は当初の軌道から外れ、さまざまな問題解決に手間取って、会議そのものの変質を迫られるだろう。密約などなかったと信じたい。
議長役の福田首相は、仏、英から「参加枠拡大」の話があったときに、きちんと日本の考えを主張し、G8本来の意義を守れるだろうか。
任期切れが近い「レームダック」のブッシュ大統領はあまり頼りになりそうもない。
(敬称略)


フランスはカッコづけですよね、いつものことです。これだけ首脳が集まれば、G8も何もないですよ。EUがいて、フランスがいてイタリアがいて、イギリスがいる。ロシアもいつのまにか常連です。
もう、ただのお祭り騒ぎになったのです。沖縄が最初だったのかもしれませんが・・
オイルショックへの対応でフランスが呼びかけたのがサミットの始まりでした。G5でしたか?
G8の本来の意義なんて、もうないのかもしれませんよ。いや、お祭り騒ぎの景気浮揚対策なのかもしれません。
投稿 箕輪伝蔵 | 2008年7月 8日 (火) 17時17分